【試写室】「三都IDOL物語」は笑って泣ける“本物”だ

2016/06/24 10:00 配信

芸能一般

「三都IDOL物語」に出演する東京03とアイドルたち(C)HTB/メ~テレ/KBC

HTB(北海道テレビ)、メ~テレ(名古屋テレビ)、KBC(九州朝日放送)による三局合同特別番組「三都IDOL物語」が、6月24日(金)夜11時15分から三局エリアで同時放送される。

同番組は、札幌、名古屋、福岡それぞれのエリアのご当地アイドルが東京で出演するアイドルフェスの舞台裏を描くドキュメンタリードラマ。東京03の3人がそれぞれのアイドルのマネジャーを演じ、中山忍田中要次ら実力派俳優との共演でドタバタ劇が繰り広げられていく。そんな本作を、一足先に視聴し、見どころを紹介する。

出演するご当地アイドルは、実際に各地で活動し人気を博す、札幌のミルクス本物、名古屋のdela(デラ)、福岡の四色定理。3組のご当地アイドルたちは、本作でそれぞれの地域の有名グルメをモチーフにした架空のアイドルグループを演じている。

札幌のミルクス本物は、ジンギスカンをPRするアイドル「GGK20(ジンギスカン・ジュージュー)」。名古屋のdelaは名古屋コーチンをPRする「LOVEコーチン」、福岡の四色定理は博多ラーメン組合が運営する「ハリガネーゼ」という、一度聞いたら忘れようもないグループ名だ。

ご当地グルメの名前を背負ったアイドルだけに、ラーメン一つとっても自信とプライドがあり、お互いをののしり合う3組。「福岡って、バリカタとかイキっててウザい!」「札幌の麺って縮れてるとかウケるんだけど」「名古屋の台湾ラーメンなめんなよ!」「てか名古屋じゃないじゃん、台湾じゃん!」などと自由に言い合う姿が、印象的に取り入れられている。

グルメ以外でも、「香典返し」をはじめとする北海道の冠婚葬祭経費の捉え方、名古屋の喫茶店文化が生んだ合理的なコーヒーチケット制、福岡のバス事情を表す特異な時刻表など、地元民は当たり前だと思っている各地のローカルネタを勉強することができ、他の地域の人は何のことなのかさっぱり。そんな“ご当地あるあるネタ”も満載だ。

あるグループの一人の少女が失踪するところから物語は大きく動き出すのだが、やはり東京03がメインキャストなだけあって初っ端から彼らのコントのような世界が広がっていた。

個人的には「刑事をかじっていた」という豊本明長に対し、飯塚悟志が「刑事ってかじれんの?」という、小さくボケとツッコミをするやりとりがお気に入り。某局の深夜のシットコムドラマのようで、あのドラマファンとしてはたまらない雰囲気だ。

でも、コント仕立てで終始するのかと思いきや、ちゃんとしたドラマとして一本のストーリーが紡がれており、笑いを度外視にしても楽しめる内容となっている。

そして、クライマックスでご当地アイドルたちが全員で歌う番組オリジナルソング「NE・GA・Iマシテハ?01☆55」が、これまた面白い仕上がりになっている。地元への愛、東京への憧れ、そしてご当地アイドルの悩みと希望を詰め込んだメッセージソング。

決してコミックソングというわけではなく、これまで数々のヒット曲や人気アニメ音楽を手掛けてきた山口朗彦氏が作曲を手掛けているだけあって、メロディーラインもそれこそ東京で活躍するアイドルも顔負けのものだ。

作詞・吉川スミス氏による3つの地域の市外局番をからめたユニークな歌詞は、ダブルミーニング、トリプルミーニングが仕掛けられており、聞けば聞くほど新しい発見がある。その濃厚な味わいは、ジンギスカンのようであり、手羽先のようでもあり、はたまた博多トンコツラーメンのようでもある。どういうこと?

全然うまいこと言ってないが、一粒で二度おいしいならぬ、一つの番組で三度おいしさが味わえる本作。ミルクスならずとも“本物”と言えるドラマとなっているので、ご当地情報を知るためでも、アイドルの青田買いでも、もちろん東京03のコント仕立てのやりとりでも、それぞれの楽しみ方でご賞味あれ。

個人的にはハリガネーゼとバリカタの麺を食べたいなあ。