ホラーファンにはたまらない「残穢─」スピンオフ作品

2016/07/01 00:00 配信

芸能一般

DVD「鬼談百景」に収録されている中村義洋監督の「追い越し」(C)2015「鬼談百景」製作委員会

映画「残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-」のスピンオフ作品「鬼談百景」のDVDが7月2日(土)に発売される。

「残穢─」原作の小野不由美が、初めて手がけた百物語怪談集「鬼談百景」は99話で構成され、100話目が「残穢」ともいわれている。今回は、その中から10のエピソードが映像化された。

監督は「残穢─」の中村義洋監督の他、白石晃士監督、安里麻里監督、岩澤宏樹監督、大畑創監督、内藤瑛亮監督と、Jホラーを代表する6人が手掛けている。本作のプロデューサーを務めた永田芳弘氏が、「残穢─」との関係、製作の裏側などを語った。

──「鬼談百景」の製作の経緯は?

中村義洋監督と映画「残穢―」の脚本の打ち合わせをしていく中で、監督が「『鬼談百景』の原作は99話しかないんですよ。『百物語』は100話目を語ると災いが起こると言いますが、その100話目が『残穢』らしい」と話してくれたんです。その仕掛けを聞いて、何て魅力的な話なのだと思い、最初は「残穢─」だけで動いていましたが、途中で「鬼談百景」も製作することになりました。

──そもそも「残穢─」を映像化したいと思われたのは?

私がもともとホラー好きだということと、小野先生が大好きだったということ。そして自分自身の経験談ですね。

独身のころ、とあるマンションに引っ越したんですが、その夜10時ごろにドンドン!とドアをたたく音がしたんです。セキュリティーのしっかりしたマンションだったのでおかしいなと思いつつ、ドアを開けたら誰もいない…。

その日は気味が悪いなと思いながら寝たんですが、翌日もそのまた翌日も、同じ時間帯になるとドアをたたく音がして、のぞき穴から見ても誰もいない、というのが毎晩続いたんです。怖いですよね。でも、人って不思議なもので、毎晩続くと慣れてくるんです。そして、慣れたら聞こえなくなってしまったんですよ(笑)。

だから小野先生の原作を読んだ時にも、とてもリアルに感じましたし、意外と多くの人が共感できるのでは、と思いました。

あとは、身近で嫌なことが起きると、つい関連させて考えてしまう日本独自の“穢(けが)れ”への意識も「残穢─」に通じると思いました。これまでのJホラーのテーマとしては斬新だし、Jホラーのセカンドステージになるという期待感もありました。

──6人の監督がそろいましたね。

中村義洋監督や白石晃士監督のいわば、Jホラーの第2世代から2.5世代の安里麻里監督、そして第3世代の岩澤宏樹監督、大畑創監督、内藤瑛亮監督がそろいました。

岩澤さんに関しては、中村監督が手がけた「ほんとにあった! 呪いのビデオ」の後輩に当たる監督で、中村監督から「すごく面白い監督がいる、メンツに入れてもらいたい」と推薦されました。皆さん、お声掛けしたらとても喜んでくれました。

今回6人それぞれに優先順位をつけて、原作からやりたいエピソードを挙げてもらったのですが、全員の第1希望が見事にバッティングしなかったんです。みんな、個性的でおのおのの趣味嗜好があるからでしょうね。だから、どの作品を誰にやってもらうかという点は困らなかったです。

──映像化に当たって気を付けられたことは?

怪談特有の“余韻”は大切にしたいと思っていました。それもあって、「鬼談百景」のナレーションは早い段階から「残穢─」主演の竹内結子さんにお願いしたいと考えていました。竹内さんのナレーションと安川午朗さんの音楽のおかげで、「残穢─」と「鬼談百景」の世界観が統一されたと思います。

一方で、「鬼談百景」は「残穢─」とは違ってもいいんだ、とも思っていました。「残穢─」は2時間かけて怖がらせる。でも、「鬼談百景」はクライマックス×10本でいい。6人の監督さんには「余韻は大事だけれど、個性も出してください」とむちゃぶりをしました。10本それぞれ監督の世界観が表現された作品になっています。

──特典映像に1日限りのオールナイト上映で、6人の監督が一堂に会したトークイベントが収録されていますね。

Jホラーの第2、第3世代を背負っている6人が勢ぞろいしたわけで、ホラーファンにはたまらない特典映像になっていると思います。実際、私自身も感動しました。

──その特典映像の中で、白石監督は最初からトリを狙っていたとお話しされていました。

こちらとしても、漠然と頭は中村監督で最後は白石監督だと話していました。白石監督のストイックな感じがトリに合うよね、と。

──「鬼談百景」ではどんな点を楽しんでほしいですか?

やはり6人の監督と小野先生とのジョイントですね。それぞれの監督のファンに小野先生を知っていただきたいですし、小野先生のファンの方には、先生を通して6人の個性を楽しんでもらえたらと思います。