7月13日(水)からスタートする、呪われた一万円札=“死幣”を手にした人間が次々と不可解な死を遂げるという本格ホラーサスペンス「テッペン!水ドラ!!『死幣』」(TBSほか)。本作を手掛ける伊藤雄介プロデューサーに今作への思いや、ホラー作品を作るに当たりこだわっていることなどを聞いた。
――なぜ「お金」にまつわるホラーを制作しようと思われたのですか?
ホラーで何が怖いかなと思ったときに、最初に「お金って怖いな」と思ったんですね。お金って、持ってないと持ってないで怖いじゃないですか? いろいろな人と話をする中で、お金の話題ってすごく盛り上がるんですよね。いくら必要だとか、いくらあると安心だとか。
話をしていくと、いくらたまっても安心はできないし、結局キリがないんです。また、お金がなくて餓死したり、生活保護が受けられなかったり、亡くなられる方もいるじゃないですか。格差がどんどん広がっていく中で、お金がないということは本当に怖いなと思いました。
でも、あったらあったで、取られたら怖いとか、遺産相続だとか、殺されてしまったりだとか、それもまたすごく怖いな思って。そんな「お金」そのものが恐怖の対象になったらどうだろう?というところで、使ったら死ぬという、呪われたお金っていうアイデアが出てきました。
――深夜枠だからできる挑戦や試みはあるのでしょうか?
そうですね。深夜なので特徴のあるエッジの効いたものを作りたいというのがあって、せっかくだからなるべく怖いものを作りたいよねと、いろいろ試行錯誤しながらやってます。当然、地上波で流れるものなので、何でもやりたい放題というわけにはいかないですけど。
――台本ではかなりグロテスクに描かれていますが、そこの再現もするのでしょうか?
特殊メイクなど、日々、実験に実験を重ねていますね。この間、血のりの実験を局内で行い、見つかって怒られてしまいました(笑)。
血のりの拭き残しがあって、「誰だ、これをやったの!」ってなって。CGって今、とても進化をしているけれども、同時に見ている人たちも見慣れているので、結構バレちゃうんですよね。
そこで、瞬間冷めちゃうってことも。なので、今回はCGを使用しないで、なるべく特殊メイクを使用し、リアルな人間でリアルな表情でやりたいなと思ってます。地上波の放送コード、ギリギリまで攻めます。
――これまでのホラーと違う、「死幣」ならではの売りを教えてください。
今回は“お化け”を出さないことに決めました。直接的に擬人化された人が襲ってくることじゃなくて、とにかく呪われたお金を使った人が確実に死ぬという。
あとは、日常の中に実はいろいろな怖いものって潜んでいて、その日常の中に潜む怖さを描いていきたいなと。普通に生活していても殺すものがいっぱいあるんだと。それが、ピタゴラスイッチ的に襲ってくるというのをやろうと思っています。お化けじゃないもので、驚かせますよ!
――松井珠理奈さんなどには演じる際のリクエストはされているんでしょうか?
怖い顔にはこだわりたいですよね。実際、珠理奈ちゃんも戸次(重幸)さんも怖がりなんですよ。特に珠理奈ちゃんは、ものすごい怖がりで、普通に向こう向いているときに後ろからボンっとやっただけでも、ものすごい「はっ!」ってびっくりするわけですよ。
これは本物の怖がりだなと分かったので、とてもリアルな芝居ができると思うし、もし、本当に怖い芝居がうまくいかなかったら、本気で怖がらせようかなと思っています。
例えば、この間もポスター撮りをしたときにも、怖いものを見て驚いた表情というのがいまいちつかめなかったので、僕の持っている怖い画像を直前に見せて、「はっ!」ってなった瞬間に「はい、撮って!」って撮ったりもしました。
――ちなみに、伊藤Pご自身はホラー好きなのですか?
僕はそうでもないんですよ。僕も結構怖がりなので、もともとはすごくホラーマニアみたいな感じではなかったんですけど、見始めたら見始めたでやっぱり面白いんですよね。
ホラーって怖いだけじゃなくて、どこかで世の中や社会を風刺していてその怖さを呼び込んでいるのは実は人間なんです。怖いって思ったり、憎いって思ったり、うれしいと思ったりというのは、結局人間の感情なんですよね。そういう思いでホラーを見ていくと、結構ホラー好きになってきました。
――最後に見どころを教えてください。
いかに登場人物たちが心理的に追い詰められていくかを見てもらいたいです。呪われたお金に手を出してしまった人が死ぬということは分かっているんですけど、いつそれがどうやって襲ってくるかわからない、どうやって逃げようとするかという怖さ。そもそも“死幣”を使うか、使わないかという人間的な迷いだったりとか、そこも見てほしいですよね。
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