尾野真千子×遊川和彦対談! 運命を感じた出来事とは?

2016/07/20 06:00 配信

ドラマ

「はじめまして、愛しています。」の脚本を担当する遊川和彦と主演の尾野真千子(C)テレビ朝日

毎週木曜に放送中のドラマ「はじめまして、愛しています。」(夜9:00-9:54テレビ朝日系)で、主演を務める尾野真千子と脚本を担当する遊川和彦に対談インタビューを敢行。

お互いの印象や撮影の裏話、“運命”を感じたエピソードなどについて、本音で語り合ってもらった。

――お互いの印象を教えてください。

尾野:よく喋る人だなというのが第1印象です。その中で作品に対する愛情や、私たちに対する愛情を、目に見えるように出してくださる方なので、ある意味すごく分かりやすい人だと思いました。物語もこういうふうに描きたいんだなというのがストレートに伝わってきます。

遊川:俺はバカなのかなと思いました。でも、ずっとバカでいられるのは実はすごいことなんですよ。まだ彼女のことをよく分からないですけど、自然の流れでいろいろとやる人なので、すごい人なのかなと思う時もありますし、バカなのかなと思う時もある(笑)。真面目なのか不真面目なのかも分からないし、つかみどころがないですよね。前に会った時は本当にいい子だったんですけど、その時は俺のことを嫌いだったらしいんですよ。嫌いな人の前ではいい子になるらしくて。でも、今はいいところも悪いところも見せてくれるので、それこそ俺のことを嫌いじゃないことの証明なのかなと。それに、こんなに女優さんっぽくない女優さんはいないと思いますよ。

尾野:そうかな。昔はいい子でした?

遊川:そうそういい子だったよ。余計な緊張感を人に与えないし、真面目にやっていますって感じも出さないし、でも言われれば何でもやりますよというスタンスで。本人としては何も意識せずに自然とやっていることなのかもしれないですけど。その辺も含めて自分の中でもちゃんと計算しているのかなと思いました。

――と、仰っていますけど尾野さんはどうですか?

尾野:自分では分からないですけど、確かに“作って”いますね。誰でもそうでしょうけど、人と話しているときって一定のキャラクターを作るじゃないですか。それは疲れるのですが、自分にとってその疲れが「今日一日頑張ったな」という一つの証明だったりするので、嫌いじゃないです。

自分がバカをやることによってみんなと打ち解けられることもありますから。スタッフの皆さんは、裏方として力を発揮されている方たちなので、その人たちとの距離を縮めるには、表に出ている自分がバカになることも大事で。私がすごくこまめに「ここはこうですか? ああですか?」ってやっていると、監督さんとも脚本家さんとも距離が縮められなくて、互いに言いたいことも言い合えない。でも、バカをやっていると、こいつにはこれくらい言っても大丈夫だろうと思ってもらえるので。

――遊川さんは、最初から尾野さんをイメージして美奈を作られましたか?

遊川:誰がやっても面白い役を作ろうと考えていたんですが、尾野さんに決まった時点で、もっと面白くしようと思いました。実は美奈のキャラはお嬢さまっぽい役なので、他の女優さんの方がいいかなとも思っていたのですが(笑)。

これで今まで見たことがない尾野真千子に出会えるかなと。人それぞれの色に合った役がオファーされることの多い中で、普段とは全く違う役が来ることって役者さんにとってはなかなかないこと。今回も、違うイメージのものから生み出される新しい尾野真千子の姿が見られるかなと思いました。

――尾野さんはこれまでの役との違いは感じましたか?

尾野:何か昔に戻されている感じです。最近は大ざっぱだったり、がさつだったり、すごく元気が良かったり、という役が多いですが、それ以前は本当に上品でおとなしい役が多かったんですよ。今度もまた違う自分と出会えるような感覚ですので、大変ですけど一つの挑戦であり、ありがたいお話をいただいたなと思います。

――遊川さんは尾野さんなら難しい挑戦もこなせると思われたと?

遊川:もちろんそうですよ!

尾野:ふふっ。本当かなあ。

遊川:彼女の「計算しないところ」がすごいと思っているから。逆に計算して「私はこう思うんだけど」となっちゃったら困るし。普通に考えたら計算しないより、ちゃんと計算して臨む方が楽だと思うんです。それなのに、彼女はゼロからどんと構えてすっとやっちゃうので、すごいと思う。

尾野:ちゃんとできる、できないは別として?

遊川:そう、それは別としてそういうふうに持っていけるところが愚かであり、裏を返せばいい意味でバカなんだろうなと思っています。

尾野:そういえば、先日も現場であったことなんですけど、美奈の衣装をどうしたらいいか分からなくなって。ここはスカートでいるべきか、パンツでいるべきか、美奈という役だからこういう場合はこうしようとか。いざ、やってみたらイメージと違ったりして。その時に初めて思うんですよ。この人(遊川)がここにいて良かったなって。いっつも現場にいるんで。

遊川:そんなこと初めて聞いたよ!

尾野:そう、だって言ってしまえば邪魔な存在なわけじゃないですか!

遊川:おっと~!?(笑)

尾野:だって、普通に考えたら脚本家さんって本を書いて届けてくれて、料理するのは私たちの仕事なんですから。監督さんがいて、私たちがいて。脚本家さんはその場にいたらいたで邪魔になってくるんですよ。

「俺はこういうつもりで書いているんだ!」ってなるから。でも実はそうじゃなくて、書いているそのままの気持ちや、このシーンは本来こういうつもりで書いているというのが分かるので助かります。書く人にしか分からない気持ちが分かるので、ここにいて良かったって思いました。

遊川:ふ~ん。あとでぶっとばしておきます(笑)。

――男の子役の横山歩くんとは現場でどうですか?

尾野:仲良しですよ。仲良し過ぎるほど仲良しです。

遊川:どうせ手なずけたんだろ?(笑)

尾野:何を言っているんですか! やっぱりいい人のところにはみんな寄って来るんですよ(笑)。冗談はさておき、本当に人懐っこいです。大人な部分もあるし、子供っぽいところもちゃんとあって、いつも現場を和ませてくれています。

遊川:かわいいですよ。途中から僕を偉い人だと認識したのか、近寄ってくるようになりました(笑)。

尾野:“遊川さま”って言ってね(笑)。

遊川:大人顔負けの芝居もするし、現場での立ち居振る舞いは大人も考えるところがあるよね。

尾野:見習うところも多いですね。

――運命が大好きな信次(江口)にちなんで、お二人が運命を感じたエピソードは?

尾野:何かありますか?

遊川:運命は、俺は感じるけど、相手は感じていないことが多いですね(笑)。結婚前にベネチアで今の嫁とゴンドラに乗っていたとき、誰もいない方に行って。静かな時が流れていたので、幸せってこういうことなんだろうな、ってしみじみとかみ締めていたんです。それでプロポーズするなら今だなって思って。

尾野:え! したんですか!? ゴンドラに乗って?

遊川:(苦笑)。ゴンドラに乗って「幸せってこういうことなんだろうな~」って相手に言って「そうだね」って返されたら、「じゃあ結婚しようか!」って言おうと思っていたんですよ。で、いざそれを言ったら、嫁は「でも、水汚いよね!」って返したんですよ(笑)。

尾野:残念!!(爆笑)

遊川:いやいや、そういうことじゃねーだろ!って心の中でツッコミましたよ(笑)。今この瞬間に二人でゴンドラに乗っていて、幸せってこういうことだって言っているのに。それから2年くらい結婚が延びましたよ(笑)。

尾野:そっか! そうなんだ。その時に結婚できたら良かったのにね。

遊川:ね。だから運命なんてある種の思い込みですよ。それは言い過ぎだけど、でも結局その後に結婚しましたから。だからこれは運命!と思いながら前向きに捉えれば何でも運命になるんじゃないですか。尾野さんは何かある?

尾野:何だろう…。

遊川:旦那と結婚したなれそめとかを言えばいいじゃねえか。

尾野:言わないから!

遊川:じゃあ女優になったきっかけでもいいよ。

尾野:…あ、でも私運命は結構いろいろな時に感じています。運命だなと思うことが多くて、最近で言えば時間を見るたびに0時ピッタリとか。2のゾロ目とか、信(次)ちゃんじゃないので、そこで語呂合わせとかはしないですけど。現場に入った途端、時計を見て時間ピッタリだったりすると、これってこの現場に入ったのも運命なのかなと感じることもありますね。

その他にもこの仕事を始めた時は何も思っていなくて、運命だなと考えたこともなかったですが、今自分がこういう大きな仕事ができているのも、振り返るとあの時が運命だったのかもしれないなと思います。その時は何も感じなかったけど、今こうして感じることができているので、何事も運命だと信じて頑張ることが大事なのかなと思います。