9月9日(金)に全国公開される映画「キング・オブ・エジプト」で、ヒロイン・ザヤの声を担当する永野芽郁にインタビューを行った。
初めて声優に挑戦した感想と、作品全体の印象、ザヤの魅力や今後演じてみたいキャラクターについて語ってもらった。
――作品を見た感想を教えてください。
エジプトについて語るところから始まるので、初めて見た時は正直難しいお話なのかなと思いました。でも、徐々に自分がその世界に入っているかのような感覚になっていって、ドキドキしましたし、泣ける部分もあって、“アトラクションムービー”だなと感じました。
――演じるザヤという女性の魅力は?
玉森裕太さん演じるベックの恋人なのですけど、彼のことを理解して静かに支えてあげている女性です。どこか包み込むような優しさがあって、お母さんのようなところもありますし、女性の私から見ても芯の強いステキな女性だなと思います。
――ザヤ役のコートニー・イートンさんの声の出し方などは参考にされましたか?
自分がアフレコしているときも彼女の英語のせりふが流れているので、その英語の雰囲気を聞いて、息遣いだったり、笑い方だったり、少しだけまねしてみました。
――普段の永野さんとは声の出し方も違う感じになりましたか?
そこは意識して変えたつもりです。普段の自分の声は結構高めなのですが、ザヤはあまり甲高い声で喋るタイプではなかったので、落ち着いた声を出せるように、お腹の底を意識して、芯の強い声を出せるように心掛けました。
――初めてのアフレコで印象に残ったことを教えてください。
アフレコはみんながずっと同じ場所に立っているのに、映像の中では互いに距離感がありますし、何よりも自分自身の動きが付いているので、それに合わせて自然とせりふを言わないといけないのはとても難しかったです。
自分がつい動きたくなったとしても、そこで動いちゃうと、動いた音でさえもマイクに入ってしまうので、ずっとその場で固まっていなきゃいけなくて…。動きたくても動けないので、手だけに力を入れていたのですけど、結果的にそのおかげで自然と声にいい具合に力が入って、想像以上に声のトーンが落ちました。一石二鳥でしたね(笑)。
――やっぱり初めてだから緊張しましたか?
すごく緊張したわけではありませんでしたが、スタジオに入った時「本当に自分の声が吹き込まれるんだ…」という実感が湧き、その時はちょっとだけ焦りました。でも、楽しみでもありました。
――むしろ緊張というより前向きな気持ちですか?
はい、楽しみの方が大きかったかもしれないですね。アフレコしているときもずっと玉森さんの声を聞いていたので、自然と玉森さんが演じているベックに引っ張ってもらってザヤが出来上がった感覚でした。
――1番大変だったシーンはどこですか?
ザヤとベックが人混みの中ではぐれちゃうシーンは大変でした。アフレコでは玉森さんとはぐれていないですし(笑)。お互いの距離は近いけど、映像では遠くて自分の声だけで距離感を変えないといけないというのは大変でした。
――以前自分の声が好きじゃないというお話をされていましたが、学校の朗読の授業などはどうでしたか?
そういうのは全然平気なのですけど、出来上がった作品などを見ていて、自分の声を聞くと中盤にいくまで慣れないです(笑)。映像から自分の声が流れてくるのは何とも不思議な感じですね。
――ちなみに情報解禁時に「セクシーボイスを出せるように…」と仰っていましたが、出せましたか?
どうかなあ…自分の中ではセクシーな声だと思っています(笑)。
――おおっ! その心は?(笑)
えー!?「その心は?」って何ですか!(笑) でも、お風呂でたくさん練習したんですよ。でも、お風呂ってただでさえ結構いい感じに声が響くじゃないですか、だから自然とセクシーになるんですよね(笑)。
――駄目じゃないですか!
そうですね(笑)。それで自然と満足しちゃっていました。声ってやっている方と聞いている方では全然違うので、聞いている方に指示してもらって、アフレコ中もちゃんと大人っぽい声を出せるように意識しました。
――主演ドラマで共演中の声優・櫻井孝宏さんにはアドバイスをもらいましたか?
ドラマの撮影ではほとんどお会いしていないので、アドバイスを頂く機会はなかったのですが、この作品が決まってから勝手に櫻井さんの録音された声を聞いて、勉強させていただいています(笑)。
――声のお仕事が決まって、それに向けてトレーニングはされましたか?
トレーニングは特にしていませんが、台本は前日の夜に実際やるところの映像を見ながら声を当てて、練習しました
――前日に…ですか(笑)。
いやいや、一夜漬けじゃないですよ? 前から軽くはしていて、前日に再復習したんですよ!
――声の仕事に臨むに当たって戸惑いもありましたか?
ありました。すごく当たり前のことですが、声はガラガラにならないようにしようと思っていました。なので、アフレコ前日の夜に…。
――また前日ですね!(笑)
いやいや、前日って結構大事じゃないですか(笑)。なので、前日の夜は強めに加湿器を付けて、アイマスクをして、口もマスクをしたので、とても苦しかったです(笑)。息をするポイントがないので…。大変でしたけど、トレーニングの一環のような感じになりました。
――演技と声のお仕事の違いや難しさは?
お芝居は表情と声と顔、全身使ってやっているので、どこか一つがうまくいかなくても何となくそれぞれをフォローできるのですが、声優はそれこそ声だけで表現するので…。実際にやってみて、声だけで全てを表現するのはすごく難しいことなのだなと思いました。
――その中でも声のお仕事の魅力はどこにあると思いましたか?
そもそも自分がやれることだとは思っていなかったのですが、今回挑戦してみて英語の声を聞くのと自分の声では、ザヤが同じ人なのに違う人のようにも感じました。
声によって感じ方が違うのかなと思うと、表情ももちろん大事ですが、声もその人を表す上では大事なんじゃないかなと思うようになりました。そういう意味ではまだまだ難しいですが、表現方法の一つとして魅力的なお仕事なんじゃないかなと思います。
――特にどういう人にこの作品を見てほしいですか?
ハードなアクションとか、こういうハラハラドキドキする映画は私もあまり得意ではなかったのですが、これは見終わった後にいい意味でのドキドキ感で「楽しかった!」って言える作品なので、女性同士で見に行ってほしいです! ワイワイしてもらって、もう一回見に行こうって感じになってくれたらいいですね。
――ドキドキするようなお気に入りの方はいましたか?
やっぱりベックは格好いいですよね! ベックかホルスかな。彼氏にしたいのはベックで、お父さんにしたいのはホルスです!(笑) だって絶対守ってくれそうですもん!
――では、もし今後吹き替えのお仕事がもらえるとしたら何のキャラがやりたいですか?
「サザエさん」(フジテレビ系)のタラちゃんの声がやりたいです!「○○です~」ってかわいいですよね。そういう自分では絶対に出さないような声を出すのが楽しそう。もちろん、いくつになってもその声を保たないといけないという難しさはありますが、キープできる人間になりたいです。
――確かにタラちゃんが渋い声を出しても似合いませんからね。
そうですよね。でも、渋い声も出したいです! 波平さんとかもやりたいなあ!
――どちらにしても「サザエさん」のキャラなんですね。洋画じゃなくていいんですか?
やっぱり「サザエさん」が一番思い浮かびやすいんですもん(笑)。あ、確かに今回洋画ですもんね。ごめんなさい!「サザエさん」が好きなんです。でも、「キング・オブ・エジプト」も「サザエさん」に負けないくらい魅力的な作品なので、皆さんぜひご覧になってください!
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