【愛踊祭】“広島発”SPL∞ASH、リベンジならず!

2016/09/11 12:44 配信

芸能一般

SPL∞ASHがしんちゃんの愛犬・シロをイメージした衣装で登場した

全国各地のアイドルたちが一堂に会する、国民的アニメソングカバーコンテスト「愛踊祭~あいどるまつり~2016」の決勝大会が9月10日、東京・TOKYO DOME CITY HALLで行われ、中国・四国エリア代表としてSPL∞ASHが2年連続で出場した。

SPL∞ASHは、アクターズスクール広島から誕生した広島県・広島市を拠点に活動する、頑張る人にエールを送る7人組応援団ユニット(決勝は5人のみ)。

決勝大会には、各エリアの代表に選ばれたアイドル10組が集結。SPL∞ASHは'15年に出場した際、赤白帽子をかぶり、持ち前の伸びのあるハーモニーとボンボンを使った元気いっぱいのパフォーマンスを披露し、優勝こそ逃したものの審査員特別賞を受賞していた。

今回、'15年の優勝グループ・ミルクス(本物)、同じく審査員特別賞を受賞した柊木りおが出場しないとあって、関東Cエリア代表のアイドルネッサンスや東北の絶対王者・りんご娘らと並び、SPL∞ASHは優勝候補の一角とされていた。

さらに、彼女たちのホームグラウンドとなる広島のプロ野球チーム・広島東洋カープが、同じ後楽園の東京ドームで巨人相手に優勝を懸けた1戦に臨んでいるという“追い風”も吹いており、広島から駆け付けたファンたちは「絶対にW優勝を!!」と息巻いていた。

SPL∞ASHのメンバーは、課題曲の1つである「オラはにんきもの」にちなみ、エリア代表決定戦同様「クレヨンしんちゃん」野原しんのすけの愛犬・シロをイメージした衣装で勝負に臨んだ。

広島の方言交じりの言葉で「みんな好きじゃけん!」などとあおりながらオリジナル曲を披露し終えると、「移動!」の掛け声でフォーメーションチェンジして「すきすきソング」へ。

中国・四国エリア代表決定戦で2位だったライバル・悪女時代が客席で見守る中、鍛え抜かれたダンス力を生かし、滞空時間の長いジャンプや飛んでいるかのような軽やかなステップなど、ずばぬけたパフォーマンスを披露。

「昨年私たちは悔しい思いをしました。なので、ことしは受験でお休みしている2人の思いを背負って、この5人で優勝という忘れ物を取りにきました」と、力強く宣言。続けてシロルックを生かして「オラはにんきもの」をかわいらしく、そしてコミカルに歌い踊った。

パフォーマンスを終え、審査員のボイストレーナー・岡田実音氏は「基本的に歌が皆さんお上手です。難しい音階で、ピッチを取りにくいんだけど、皆さん動きながらちゃんとできているなあと思って感心しました」と、ポテンシャルの高さを絶賛。

しかし、求められるレベルが高いからこそ課題も見つかったようで「歌い出した瞬間に『あ、歌える子たちだなあ』って思うからこそなんだけど、Bメロの頭でちょっとフレーズが欠けちゃったのね。やっぱりユニットでやっている以上、フレーズの頭は欠けちゃ駄目なんです。そこは本当に命懸けでパスしてほしいんですよ。それでも楽曲と歌のうまさに引き込まれていったんだけど…」と顔を曇らせる。

さらに話していくうちに、トレーナー魂に火がついたのか「割と中低音メインにしたあまり高くない曲だったんだけど、唯一出てくる一音二音のトップの高い音、ここは絶対につかんでほしかったんです。ここをつかんでバーンってそろって抜けてくれると、すっきりしたと思って引き込まれたまま、スカッとするんで、もうちょっと抜け感を徹底して勉強してほしいです。それから…」と本腰を入れた指導に入ろうかというところで、MCのヒャダインが「あとは終わってからお願いします(笑)」と慌てて割って入った。

プロのボイストレーナーを本気にさせるくらい、彼女たちの実力は本物だということが会場中に伝わった。

また、振付師のミキティ―本物は「まずね、振り付けがすご過ぎる! 本当にどんな鬼のような先生がいるのかと思うくらい!」と絶賛すると、SPL∞ASHは「振り付けは自分たちです! すごくないですか? オリジナル曲は先生なんですけど」と語り、さらに審査員たちの度肝を抜いた。

ミキティ―本物は「うそ! 自分たちでやったの? すごい! 本当に素晴らしいと思います。カバーの方は2曲とも、1曲を通して抑揚がちゃんとあって、後半にかけて盛り上がっていく感じがすごくストーリー性があって、何度でもリピートしたくなるような振り付けだと思いました。

SPL∞ASHのダンスは、ダンスがうまいという表現よりも、この子たちは本当にダンスが好きで踊っているんだなっていうのが見ていて伝わってくるんですね。見ていてこっちまで踊りたくなるようなそういうパフォーマンスができているなと思いました」と、賛辞を惜しまない。

ただ、こちらも課題はあったようで「オリジナルの曲の方なんだけど、すごく世界観があって、歌唱力とダンスだけで世界観に引きずり込めているんだけど、途中のあおりの部分が果たして必要だったのかな?と思っちゃって、そこで現実に戻されちゃったかなと。あそこはバキバキに踊っていても、逆にお客さんはコールをしてくれると思うので、あおらない方が良かったのかなあと思ったくらいですね」と、期待の裏返しであえて厳しい言葉を送った。

決勝大会は激闘の末、東北エリア代表のりんご娘が優勝し、SPL∞ASHは“忘れもの=優勝”はもちろん、審査員特別賞も受賞できなかった。くしくも隣のドームでは広島東洋カープが25年ぶりのセ・リーグ優勝を果たしたのとは裏腹に、残念な結果で会場を後にした。

しかし、SPL∞ASH自身、プロの審査員から的確なアドバイスをもらったことで、開催が決定した「愛踊祭~あいどるまつり~2017」へ向けてさらなる成長が期待できそうだ。さらに、審査員だけでなく会場に集まった各地のアイドルファンたちにも強烈な印象を残したのは間違いないだろう。

今回はあえて「忘れものを置いてきた」SPL∞ASH。無限大の可能性を秘めた7人が、ますます大きくなってこの地に帰ってくることを切に願いたいところだ。

ちなみに、メンバーの米田みいなが大会公式サポーター・こぶしファクトリーのパフォーマンス中、客席で踊りまくっていた姿にはほのぼのとさせられた。