ムロツヨシが主演を務めるAmazonオリジナルドラマシリーズ「宇宙の仕事」を手掛ける福田雄一監督を直撃! 見どころや出演者陣の印象について話を聞いた。
本作は、地球侵略に来た異星人から地球を救うため、地球防衛軍に突然任命された個性豊かな6人の男女が奮闘する姿を描いたコメディードラマ。全10話が現在「Amazonプライム・ビデオ」で絶賛配信中だ。
福田監督が脚本と演出を担当した劇団ブラボーカンパニーによる「宇宙の仕事」('07年公演)が原案で、ハリウッド大作とは全く違うアプローチで作り上げられた新たな宇宙エンターテインメント作品となっている。
主演のムロの他、菅田将暉、賀来賢人、西野七瀬(乃木坂46)、池谷のぶえ、橋本じゅんといった若手からベテランが顔をそろえた注目作だ。
――宇宙を舞台にしたオリジナルストーリーですが、どのようにこの物語が誕生したのでしょうか?
単純に物珍しいだろうなと思ったんです。日本のドラマでまず見たことないですし、なかなか日本人には受け入れられない設定だと思うんですけど、今まで受け入れられなかったことをやりたい欲っていうのが強いんですよね。
そういうのを受け入れてもらえるようなテレビ局もなかなかないと思うので、それを考えると「Amazonプライム・ビデオ」でやるしかないのかなと思いました。
宇宙ものはずっとやりたかったんです。(アメリカ映画の)「オースティン・パワーズ」('97年)みたいなものをやりたいなと思っていて。絵面的に日本のドラマで見たことないようなものをやるという挑戦をしてみたかった。
「Amazonプライム・ビデオ」もオリジナルでいろいろ作られてるでしょうし、多数あるラインアップの中で異彩を放つというか、「これは他とは違うな!」というものを作らないと、この役者陣でやった意味もないですし、僕のやる意味もないので、そこは思い切って挑戦してみました。
――本作は配信ドラマですが、テレビドラマとは違うなと感じたことはありますか?
やっぱり尺ですね。僕、変な間ができるのが好きなんです。普段生活している中でも、話をしていて何かしら気まずいことがあったり、「ん? 意味が分かんねぇぞ」って時に間が空くじゃないですか、それをやる余白が地上波ではないんですよね。
一個一個テンポよく運ばなきゃいけないし。それを全て破壊できる(配信ドラマの)感じが楽しかったです。
もしこのドラマを地上波でやるってなったら、そういうところを削っていかなきゃいけないだろうし、それはもったいないなと思うので、面白いと思うところを泣く泣く削らなくてもいいっていうところに一番の魅力を感じましたね。
――出演者陣の現場での印象はいかがでしたか?
現場は完全に戦場でしたね(笑)。みんな僕の組に来たら無法地帯なんです(笑)。誰が笑いを一つでも多く取るかっていう感じなので。主演のムロくんだって、先輩であるじゅんさんやのぶえさんに負けていたくないだろうし、菅田くんも同世代の賀来くんに負けたくないだろうし、そういう意味で、和気あいあいの雰囲気に見えながらものすごくバチバチな戦場なんです。
僕の現場はそれが全てなんです(笑)。演技がうまいとか関係ないですから! それを抜きにして、とにかく笑いを一個でも多く取った人が勝ち!みたいな(笑)。バトル感がすさまじいんですよね。
――特に印象に残った出演者は?
今回、賢人くんの勝負感ハンパなかったですね! 去年彼は“劇団☆新感線”で「五右衛門vs轟天」に出演していたんですけど、その公演を見て、賢人くんはだいぶ成長したなって思いました。その上で、満を持してこの作品に呼んだんですよ。
僕、彼の初舞台だった「スマートモテリーマン講座」('11年)を演出したんですけど、彼からすれば今回、久しぶりに呼ばれた福田組なんですよね。
それもあって、彼自身も言ってましたけど、「この『宇宙の仕事』の中で、新感線で得た全ての自分の武器を福田雄一に見せつけることで、俺なしでは成立しない福田組にしてやるんだ!」っていう気持ちを強く感じたんですよね。
あと、彼のことですごい覚えてるのが、おととしくらいに作と演出を担当した「SUPERハンサムLIVE」っていう作品に彼も出ていたんですけど、僕が公演当日どうしても他の仕事で行けなかったんです。
他のメンバーたちが「どうしたらいいんだろう」っていう顔の中で、賀来賢人だけは1人、「あ、じゃあ自由に何やってもいいんだ」って言ったらしいんですよ(笑)。
「スマートモテリーマン講座」やってる時は、あまりに彼がハメを外してると注意することもあったんですけど、それを覚えていたから「福田さんいないからどんだけハメを外してもいいんだ!」っていう気持ちがあいつにだけあったんでしょうね。
それは素晴らしいことだと思うし、その話を聞いてすごいうれしかったんですよね(笑)。
「宇宙の仕事」はクランクインから「暴れてやるぞ!」っていう気合がハンパなかったんです。ムロくんが若干イラッとするくらい暴れたんじゃないですかね(笑)。
そんな彼の気合が、菅田くんにも火をつけてくれたと思います。菅田くんからしたらムロくんや(佐藤)二朗さん、じゅんさん、のぶえさんたちベテラン陣が面白いのは当たり前でしょうけど、同年代でそんなに年が変わらない賀来賢人があそこまでふざけてるのをだまって見てられない!っていうのが、菅田くんの中に芽生えたんだと思うんです。最終的には彼も彼でふた皮くらいむけた瞬間があるんですよね。
「宇宙の仕事」が終わった時点で菅田くんとの次の仕事は(映画)「銀魂」って決まってたので、「楽しみだな!」って思いましたね。
案の定、「銀魂」の現場ではそれはそれは自由に遊んでましたよ(笑)。僕の組は楽しみ方を一回覚えたら楽しいことしかないんですよ!
ムロくんとか二朗さんみたいに毎回出ていると楽しみだけじゃない苦しみはあるでしょうし、「福田雄一に『飽きたな』と言われないように頑張らなきゃいけない」って言ってくれたりもするんですけど、菅田くんとか若い世代からしたら本当に楽しいばかりのところだと思うんです。
それでいうと「宇宙の仕事」はいろんな化学反応的に良かったと思います。本当に後半やばいです(笑)。
――最後に見どころをお願いします!
いわゆる演劇を中心にやってる人たちの演劇的なお芝居ってなかなかテレビで見られないと思うんですよ。お芝居を堪能して笑うっていうことがあまりないと思うんです、俳優さんの演技を見て笑うとか。
テレビとは全然違う仕上がりになっていて、そこが十分に味わえるものになっているので、そこをがっつり見ていただければと思います!
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