10月9日(日)からスタートする「キャリア~掟破りの警察署長~」(夜9:00-10:09フジテレビ系)。玉木宏が主演を務め、市民から身近な存在であるキャリアの警察署長が、実際に街で事件に立ち向かう姿を描くオリジナル作品だ。主人公の遠山金志郎(玉木)は、ひょうひょうとした性格で、気になることがあると自ら街に出て事件を解決する“平成版遠山の金さん”とのことで、本作を手掛ける永井麗子プロデューサーに、主人公・金志郎のキャラクター設定や、気になる今後の展開について聞いた。
――遠山金志郎は永井プロデューサーの中でどのような刑事をイメージされていますか?
語弊はありますが、時代劇のお殿様のようなイメージでした。権力はあるのに、それに執着せずに、気になることがあるとフラフラと街に出て、事件を解決。爺や(副署長)は肝を冷やしている…というような。(金さんは奉行所の人ですが…)
そして、このフォーマットを刑事ドラマに当てはめる中で、ストーカーやいじめなど、なぜもっと警察は早く動けなかったんだろうか、というようなニュースをよく見る現在、警察のルールにとらわれずに小さい声を拾ってくれるヒーロー的な存在でもあってほしいと思いました。
玉木さんが取材で、金志郎はヒーローといっても、藤子・F・不二雄さんの作品に出てくるキャラクターのように、困っている人がいたら寄り添って道具を貸してあげるような感じの人、と言っていらしたのがすごく「その通りだな」と思っています。
強引にこっちが正しいんですよ、ということは決してなくて、人の気持ちを大切にしつつ、いつのまにか周りを変えている人です。こう書くとあまり刑事っぽくないですね。
そういう意味では、日曜の夜に見やすい、ある定番がありながらも、金志郎のような主人公がこのストーリーの中で動くことで、自ずと新しい刑事ドラマになっているのかもしれません。
――今作では、署長らしくない金志郎が捜査をしていく中で市民に自分の身分を明かすシーンが毎話あるとのことですが、演出などこだわられている点を教えてください。
「遠山の金さん」('70年ほかテレビ朝日系)をはじめとする時代劇や、私の小学生の頃で言いますと「スケバン刑事」('85年ほかフジテレビ系)など、自分が子供のころにテレビを見て、お約束のシーンがくると「キタキタ」とワクワクしていたように、視聴者の皆さんにもこのシーンが近づいてくるとワクワクしていただきたいなと思っています。
私は脚本に思いを込めたつもりですので、後は、監督と玉木さんの思いの中で、どのような化学反応が起こるのか楽しみにしていて、あえてこのシーンについては深く聞かないようにしています。
プロデューサー的な立場から言いますと、お約束のシーンではあるけれど、秘められたものが放送回によって違うものにできればと思っています。例えば今回は大人っぽいバージョンだったな、とか。
成敗する相手や、事件の内容によって、たとえ同じせりふを言うにしても変わるものってありますし、それがお約束をやる醍醐味(だいごみ)かなと思っています。
大人の人たちにはある懐かしさと爽快感を感じていただきながらも、子供たちにも金志郎のまねをしてもらえるようなシーンになるとうれしいですね。
――今後どんな大きな事件や犯人が出てくるのでしょうか?
遺産狙いで老人を殺害していると疑われる妖艶な介護ヘルパーの下で、ヘルパーの仕事を手伝う回があります。みんなに疑われる中、あえてアリバイを言わない彼女の謎に迫るのですが、これまでと少しテイストが変わって、「古畑任三郎」('94年ほかフジテレビ系)のような要素もあり、ラブっぽくもあり、ちょっと違う金志郎の一面が見ていただけそうです。
また、先々では高嶋政宏さん演じるノンキャリアの刑事・南が警察への恨みをもつ犯人に狙われるはめになったり…ぜひ楽しみにしてください。
ただ、たとえどんな事件が起ころうとも、金志郎は事件の大小にとらわれず、一人の人間として、何を大切にするかブレない人なので、今までの刑事ドラマと少し違う視点で楽しんでいただけるのではないかと思っています。
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