スピードの虜となった美しき史上最速女王

2016/12/08 16:39 配信

芸能一般

マールー・ファン・ライン

両足の膝から先がない状態で生まれたマールー・ファン・ラインは元々、障がい者水泳のオランダ代表として国際大会にも出場していた。2010年、陸上競技への参加を誘われると、初めて競技用の義足「ブレード」をつけて走った。それまでは、(生活用の義足のため)バスに乗ろうとしても、急いで走ることができなかったが、ブレードをつけると「髪に風を感じた。最高の気分だった」という。

それから1年9ヵ月後の2012年夏、彼女はロンドンパラリンピックで女子200mT44クラスで(彼女が属するT43クラスと一緒に競技を行なう)金メダルを獲得した。100mでは銀メダルを獲得、初出場のパラリンピックで2枚のメダルを手にした。

ファン・ラインの活躍はさらに続き、100mでも世界記録を樹立し名実ともに最速女王となると、2014年にトレーニング環境を変えた後にも世界記録を更新。2015年のIPC陸上世界選手権では、100mと200mで2冠を達成した。

100mと200mの女王、そして世界記録保持者として挑むこととなった9月のリオパラリンピック。「私には守るべきタイトルがある。だから、できればそれを守りたい」と語った。

わずか6年前に生まれて初めて走ってから、彗星のごとくパラリンピックに現れたファン・ラインが世界に見せてくれたシンデレラストーリー。私たちは、「スピードの虜」となった彼女が描くその続きを、リオデジャネイロの地で目撃することとなる。

オランダが生んだ史上最速ブレード女王、ファン・ラインが築いてきた栄光や、日々取り組む過酷なトレーニングや家族や周囲の人たちとの日々、そして、女王として挑んだリオパラリンピックまでを描く。