AR performersによるライブ「AR performers『1st A'LIVE(ファースト アライブ)」が1月14日(土)、15日(日)に東京・ディファ有明で行われる。それを前に、内田明理プロデューサーに話を聞いた。
【新感覚エンターテインメント“AR performer”とは? より続く】
――実在のアーティストと比べてのメリット、デメリットは何でしょうか?
デメリットは、まず大人数が関わること(笑)。1人のパフォーマーを動かすためにいろいろなプロフェッショナルが訓練して、デジタルの機材や技術を使って人形浄瑠璃みたいなことをやっているわけですよ。1人の人が練習して、歌って踊った方が早いですよね。
最近、こういうAR performersに興味を持った方がアクセスしてくださるんですけど、「タレントが実際にいなくてもできるわけだから、安く上がりそうだ」って言う方がいらっしゃって、そういう方には「いや、むしろ高いですね」って言っています。安くできると思って、こういったエンターテインメントに興味を持ってらっしゃる方は、ちょっと考え直した方がいいですね。余計なお世話かもしれないですけど(笑)。
メリットとしては、やっぱり人形浄瑠璃でスーパーマンが作れることです。AR performersの中の人たち、例えばシンジは、歌や声はすてきな声のプロフェッショナルの方が、普通の立ち居振る舞いや芝居は役者さんが、ダンスシーンはプロ中のプロのダンサーさんがやってらっしゃるという、一流の技を結集してスーパーアイドル、スーパーアーティストを作れるっていうのが強みだと思いますね。あと、写メを撮られてスキャンダルになったりすることがないのも、いいところです(笑)。
生のアーティストをトレースして近づけようと思っているわけではなくて、せっかくデジタルで表現されている彼らなので、生のアーティストでは絶対にできないような表現もできるわけですよ。例えば、ステージ上で歌って踊って、宇宙船に変形することだって、やろうと思えばできるわけじゃないですか。ドラゴンと闘うことだってできるわけじゃないですか。もちろん、この例えは半分冗談ですけど。
あと、実際に次回のライブでもやるんですけど、“音ゲー”っていうゲームですね。ステージ上で踊っている彼らにゲーム的な映像を混ぜて、観客の皆さんにスマホでステージと一緒に遊んでいただく。ステージ上に演出の花火みたいな物を投げていただいたり、自分の応援コメントを投げていただいたり、あるいは音ゲーのように曲に合わせて一緒にリズムを取って点数を競っていただいたり、そういった事をやっていこうと思っています。
単に見るライブということではなくて、観客の皆さんが「演出に参加した」っていう実感を持っていただけるようなライブにしたいですね。最近はお客さん側で、特に2次元系のイベントだとペンライトの振り方をみんなで決めてきてくださったりするんですけど、これは客席側でも一生懸命パフォーマンスしてくださっているということだと思うんです。
だから、そういう皆さんの気持ちやパフォーマンスをステージに生かすということを提案としてやってみたいなと。例えば、ライブのDVDを観て「あのコメント、私の!」とか、昔の花火大会で「次は○○商店さまのご提供です」みたいなのがありましたが、それをやれないかなって考えています。
――1月にライブを控えていますが、その前に「βライブ」を少し振り返っていただけますか?
「こういう物を作りました」というのを、とりあえず見ていただきたいということでやりました。「まず見ていただきたい」という気持ちが先走り過ぎまして、それ以外何もできてないのにやっちゃいましたね。その後の展開が何もなかったので、皆さんをお待たせしてしまいました。
みんなビックリするだろうと想像はしていたんですが、想像よりも遥かに強いリアクションを頂きましたね。最初にシンジが出てきて歌って「皆さん、こんにちは」って言った時は、みんな再生映像だと思っているんですよ。でも、そのうちシンジが会場の方の質問を拾って「あそこの方ですね、こんにちは」ってやり始めた時にザワザワして、「一体、何が起こってるんだ?」という反応になって。
皆さんがすごく驚いて、盛り上がってくださったことも嬉しかったんですけど、それはリハーサル中に僕自身が感じたことでもありました。僕が観客席側に行って、舞台に立っているシンジに指示を出すんです。シンジが「はい。はい」って聞いているんですが、その不思議さというか、そういうところに自分でもビックリしました。
頭では分かっていても、その不思議な感覚っていうのが本当に新鮮でしたね。そういう驚きもあって、その場に立ち会えたという経験が来ていただいたお客さまに強い愛着を感じていただけたようで、その日のアンケートでライブの内容やパフォーマーを支持する割合がズバ抜けていましたね。
――では、1月のライブに向けて考えている事や、期待している事はありますか?
今はてんやわんやで、毎日ハラハラし通しの状況で仕事をしていまして、あんまり考えられなくなっているんですけど。βライブの時よりも遥かに進化していて、会場にあるライトがキャラクターたちに実際に当たるんですよ。そういう事って、いまだかつて2次元のエンターテインメントではなかったと思うんですけど、その臨場感というか、存在感たるや、現場で見ていると自分が何を見ているのか分からなくなるくらいの奇妙な感覚です。面白いし、とにかく新しいですよね。
そういった、視覚的にも、感覚的にも新しいエンターテインメントだと思っていて。βライブの時よりもパッと見で意味が分かる、自分がいかに不思議な体験をしているかを直感していただける舞台になってきたなと思っています。曲数もずいぶん増えました。パフォーマーが全員で歌う楽曲もできて、AR performersっていうチームっぽくなってきています。
音楽ライブとして楽しんでいただけることはもちろん、生で彼らと会話していただけるシーンもたくさんご用意していますので、そういったところでも楽しんでいただけると思います。 βライブではさわりしか出せなかった、会場で遊んでいただくアプリ「ふれフレ」も充実した内容になっていますので、おそらく体験したことのないエンターテインメントをお楽しみいただけると思います。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)