優しい時間のあらすじ一覧
行方不明になっていた梓(長澤まさみ)が、雪に埋もれた車の中でリストカットして倒れているのを発見される。それは皆空窯へ至る道の途中だった。勇吉(寺尾聰)は梓の自殺未遂の原因が拓郎(二宮和也)にあるのではないかと考え、拓郎に梓の現状を知らせてほしいと朋子(余貴美子)に頼む。同じころ、拓郎は元家庭教師の堂本(徳重聡)と再会。勇吉が拓郎を心配し、会いたいと話していたことを堂本から聞き、拓郎は深く安堵する。やがて、朋子から梓が自殺未遂したと聞いた拓郎は、仕事に集中しきれず梓を呼び出す。
激しい吹雪が富良野を襲う。勇吉(寺尾聰)は、梓(長澤まさみ)の口数が少なく、ようすのおかしいことが気にかかっていた。そんな中、かつて拓郎(二宮和也)の家庭教師をしていた堂本(徳重聡)が、偶然「森の時計」を訪問。勇吉が家庭を顧みなかったころの拓郎を知る堂本は、拓郎の心がすさんでいった背景や、めぐみ(大竹しのぶ)の死の直後の拓郎のようすを、勇吉に語って聞かせる。勇吉は、それまで思い至らなかった息子の苦しみの深さを思い知るのだった。吹雪がさらに荒れる中、外出した美可子(清水美砂)と連れのスキー客、さらに梓が行方不明になる。
勇吉(寺尾聡)は、クリスマスの晩に見た青年が拓郎(二宮和也)なのか気になり、朋子(余貴美子)に確認。拓郎が1年以上も近所にいた事実を知り、衝撃を受ける。動揺するあまり、拓郎は意図的に梓(長澤まさみ)に近づいたのかと疑う勇吉に、朋子は「息子をそういう目で見るな」と厳しく言い放つ。複雑な心境で勇吉が店に戻ると、「森の時計」が息子の店だと言い張る老婆(佐々木すみ江)が現われる。一方、拓郎は新人陶芸展に出す作品の制作に専念。事情を知らない梓は、拓郎から「当分会わない」と告げられ深く傷つく。
勇吉(寺尾聰)と言い争い、店を飛び出した梓(長澤まさみ)が戻り、勇吉らは安堵する。だが、当の梓は拓郎(二宮和也)と勇吉が親子だと知り、激しく混乱していた。梓は、勇吉がいまだに拓郎を許せずにいることが理解できず、朋子(余貴美子)のもとを訪問。朋子は梓に、勇吉の亡き妻・めぐみ(大竹しのぶ)のことや一家の歴史を語り、家族を心から信頼していたがゆえに勇吉が受けた傷は大きいと諭す。同じころ、凍結した道で足を滑らせ、頭を打った拍子に記憶を失った男(小日向文世)が来店。記憶を取り戻そうと必死になる。
「森の時計」に、寄り添ったまま動かないカップルが来店。何時間も微動だにしない2人に、勇吉(寺尾聰)らは不安を募らせ警察に通報する。そんな折、なじみ客の音成 (布施博)が勇吉を訪ね、電機店の経営難を訴えて金を貸してほしいと懇願。だが、勇吉は友人だからこそ助けられないと冷静に説明し拒絶する。同じころ、拓郎(二宮和也)の部屋を梓(長澤まさみ)が訪ねた現場を目撃した六介(麿赤兒)は、朋子(余貴美子)に連絡。朋子は拓郎に、修業中の身は不謹慎なつきあいをやめるようにと念を押す。一方、梓はレジの計算ミスをめぐり、勇吉と対立する。
北海道を舞台とした、父子のきずなの再生の物語。脚本は倉本聰。元商社マンの勇吉(寺尾聰)は、息子・拓郎(二宮和也)の運転ミスで妻・めぐみ(大竹しのぶ)が死んだ後、会社を辞め、妻の郷里・富良野でコーヒー店「森の時計」を始めた。日々穏やかに暮らす勇吉のもとを、知人の水谷夫妻(時任三郎、手塚理美)が訪ね、脱サラし民宿を始める夢を語る。一方、拓郎は勇吉には黙って、富良野に近い窯で働いていた。拓郎は、父への還暦祝いに自作のカップを匿名で贈る。その後、拓郎は「森の時計」で働く梓(長澤まさみ)に出会う。