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2年生になり武蔵野第一高校のエースを任されるも3回で6点を失った加具山は、その後に登板した1年後輩の榛名の力強い投球を見て、野球に抱いていた情熱が揺らいでしまう。これまで何のために自分は野球をやってきたのか、がんばるだけでは追いつくことすらできない榛名の才能をうらやむ加具山は、榛名に己の本心をぶつけ野球を辞めることを決意する。
桐青戦が終わった翌日、三橋は試合の疲れから、高熱を出してベッドで寝込んでしまう。この日、今日は授業もなく、一日球技大会ということもあり、母の計らいから三橋は学校を休むことにする。今まで体験したことのないだるさと疲労感で辛い思いをしていた三橋だったが、西浦野球部のみんなに昨日の試合のことでとがめられるのではないかという懸念から、安堵(あんど)もしていた。一方球技大会中の阿部は、田島、花井、泉とともに三橋の家に三橋の様子を見に行くことに。
桐青が予想することができなかった展開と状況。最後の攻撃となる9回裏を目前にし、河合たち桐青ナインは自分たちが1年生だけの西浦に対して、なめてかかっていたことに気付く。桐青ナインは残り1回に勝負を懸け強い気持ちを奮い立たせる。一方、三橋は、「“自分が”打たれなければ勝てる」というプレッシャーから、球威に迷いが出始める。
1点差で迎えた西浦最後の攻撃。打席に立つ阿部は、絶対に塁に出てやると気合十分。西浦スタンドも、これが最後の攻撃だからと応援に力が入る。もちろん西浦ナインも、強豪・桐青相手に誰一人、負けることなど考えておらず、ベンチから阿部に力強く声をかける。一方、桐青の捕手・河合は、速球を空振りした阿部にそれが有効だと判断し決めにかかる。阿部も高瀬の決め球が速球だと気付き、タイミングを合わせようとする。
試合は8回裏まで進み、3対3の同点。桐青の4番バッター青木が打席に立っており、次の打者の河合は、ネクストバッターサークルから阿部のようすをうかがっていた。一方、ここから先の打席は三橋のまっすぐで逃げ切れると考えた阿部は、青木をストレート4球で抑える。その阿部の配球を見た河合は自分の読みに確信を持ち、島崎を通して監督にそのことを伝える。
桐青守備陣のミスに助けられ、なんとか一塁に出ることができた巣山。そして次の打者は4番の田島。河合はこれまでの田島の打席から「楽な4番」と思いつつも、バッターボックスに立った田島の自然な構えを目にして、彼の力量を計りかねていた。一方、投手の高瀬は河合のリードが打者を探るためのものだと察し、これまで自分が抱いていた「打てない4番」という印象を捨て、全力で勝負に臨む。西浦の4番打者と桐青のバッテリーの長い勝負が始まる。
桐青に追加点を許し2対2の同点となった西浦高校。それでも三橋の投げることへの集中力は変わらない。しかし、阿部の要求どおりに投げる三橋の体力の消耗は明らかだった。そんな様子を見て阿部は、自分が三橋に対してしてやれることの少なさを悔やむ。「この試合に勝って、三橋にも良い思いをさせたい」と思う阿部の気持ちを察したかのように、三橋は阿部に「勝とう!」と自分の気持ちを伝える。
両監督の緊迫する読み合いと駆け引き。その勝負を制したのは西浦の監督、モモカンだった。スクイズ警戒だった桐青の裏をかき、見事にバントを成功させた栄口。西浦ベンチは追加点を取れたよろこびに沸く。そして五回。「もっと投げたい」という気持ちが三橋をマウンドへと駆り立てるが、阿部がいないことに気付き右往左往する三橋。阿部が来るまでと、田島が相手をする。田島からの返球を受け取った三橋の無防備な笑顔に、田島はなぜか驚く。
1点を追う桐青の猛追を、田島の的確な判断と、その指示通り素早く対応した三橋と阿部の活躍により、なんとか防ぐことができた西浦高校。桐青の監督と主将・河合は、1点リードしたプレッシャーのかかる場面で落ち着いたプレーを見せる西浦高校に感心する。一方、次の打席で三橋の投球に違和感を覚えた河合は、何かを感じ始める。
3回が終わった時点で、桐青から三振を7つも奪っていた三橋。連続三振によろこぶ三橋は、チームメイトからも調子が良いことをほめられ、さらに上機嫌に。しかし阿部とモモカンは、この回の勝負を見送り、徹底して三橋の投球を見てきたことに気付いていた。打席が1番に戻る4回からを勝負と考えている様子の桐青に、次の回から何か仕掛けてくることを予測した二人は警戒する。
降り出した雨の中、あの桐青高校から西浦ナインが先取点を取る。西浦ナインと応援団たちがよろこぶ一方、西浦に先取点を取られ、高瀬はようやく自分が緊張していたことに気付く。河合は、高瀬を励まそうと掛ける言葉を探すが、逆に、三橋の逃げる姿がおかしかったと笑う高瀬にあっけにとられる。しかし、そのおかげでようやく緊張が解け、目が覚めた様子の高瀬は、自分のモーションが盗まれたことを河合に告げる。
1回裏、桐青高校の攻撃が始まった。1番バッター・真柴は、桐青のレギュラーの中でただ一人の1年生。阿部は、真柴こそがスタメンの穴だと考えていた。一方の真柴が三橋へ抱いた印象は「ヒョロイ投手」。全員1年生の西浦ナインの中でも投手が1番頼りなさげだと目星をつける。この相手なら探り役をするまでもないとなめてかかる真柴だが、三橋の投球と阿部の配球にほんろうされる。
西浦高校野球部にとって初の公式戦が始まった。対戦相手は去年の県大会優勝校の桐青高校。桐青にとって1年生ばかりの西浦ナインは、負けるイメージが湧かない相手。一方、三橋は、観客席に続々と集まる西浦の応援客を前に、中学時代の苦い思い出がよみがえり、弱気になってしまっていた。
練習中の西浦ナインのところに、徹夜で桐青高校の詳細なデータをそろえた、ふらふらなマネージャーの篠岡が現われる。“モモカン”こと百枝監督は、花井と阿部にデータの解析を指示するが、その阿部を三橋が呼び止める。三橋は「見てほしいものがある」と、モモカンから「体幹を鍛えるように」と渡された角材を持ってくる。
小学2年生の秋、三橋はギシギシ荘から引っ越しをした。転校先の小学校では、なかなか友達ができず、一緒に野球をした友達がいたギシギシ荘のことを思い出してはいつも涙ぐんでいた三橋。そのギシギシ荘にいた幼なじみのハマちゃんが、実は西浦で三橋と同じクラスの浜田くんだということが分かる。
6月、夏の全国高等学校野球選手権埼玉大会の組み合わせ抽選会場には、埼玉県の高校球児が集まっていた。1年生だけの新設野球部で参加する西浦にとって、周りはみんな体格のいい選手ばかり。そんな中、緊張のあまりトイレに行った三橋は、そこで意外な人物と遭遇する。
チームとして形になってきた西浦高校野球部。でも彼らには、夏の大会を勝ち上がるために足りないものがあった。それは控えの投手と捕手。阿部の口から「もう一人投手がほしい」と言われ、阿部とちゃんとバッテリーになりたいと思っていた三橋は「マウンドを奪われてしまうのではないか」という不安から、その場でボロボロと泣き崩れてしまう。それを見た阿部は、なぜ控えの投手が必要なのか、三橋にその理由を話し始める。
武蔵野第一高校の榛名はライバル校も注目する豪腕投手。そんな投手と中学時代にシニアリーグでバッテリーを組んでいた阿部は、榛名のことを”最低の投手”と吐き捨てる。なぜ最低なのかが気になる三橋。栄口に促され、阿部はしぶしぶ榛名との過去を話し始める。その話を聞いた三橋は、阿部が今まで自分に掛けてくれた言葉の意味と理由を悟る。
三星学園との練習試合に逆転勝利した西浦高校。しかし勝利の余韻に浸る間もなく、西浦高校は翌日も朝から練習を始める。そこで三橋は、阿部と中学が一緒だった栄口から、阿部がシニア時代に“すごい投手”とバッテリーを組んでいたと聞かされ、どんな投手なのか気になっていた。その日、練習の一環として県大会の試合を見に行くことになった西浦ナインがスタンドで観戦をしていると、ある投手がスタンドを見上げて「タカヤ!」と声を掛けてくる。
7回裏、畠に逆転ホームランを許してしまい2対3で三星学園の1点リードになる。ベンチに戻る三橋に栄口や西広が声を掛けるが、三橋はベンチに入らず脇に座り込んでしまう。それを見た阿部は逆転されたのはノーヒット・ノーランで勝つことを狙った自分の責任だと三橋に謝る。しかしそれは三橋に残っている三星学園に対する未練を断ち切るためだった。攻撃は8回表。4番の田島を敬遠させないためには塁を埋めるしかないと指示をするモモカン。そしてここから西浦高校の反撃が始まる。
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2025年12月13日18:00
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2025年12月13日 18:00時点