血界戦線のあらすじ一覧
これまでにない深く濃い霧で覆われたヘルサレムズ・ロットの街。この街を支えていた“結界”は、紐育大崩落を再び起こそうとする絶望王によって破壊されてしまった。しかし「術士協会」の長老は、クラウスたちに「まだ“結界”は壊れ切ったわけではない」と告げる。残された最後の“結界”とは…? ライブラのメンバーたちは、事態の中核にいるはずのレオを探して、ヘルサレムズ・ロットの街中を疾走する。一方そのころ、当のレオは、堕落王フェムトと対面していた。
生まれながらに超能力を持つ“術士”の家系、マクベス家に生まれたふたり。しかし、妹のホワイトはまったく超能力が使えず、反対に兄のブラックはまるで妹の分の力を受け継いだかのように強い力を持ち合わせていた。ところが、ブラックはある日を境に超能力を使うことを止めてしまう。力を持っているのにそれを使おうとしないブラックにホワイトは憤りを感じていたが、彼が超能力を使わないのは、彼なりの強い決意があってのことだった…。ついに明らかとなるホワイトとブラックの過去。紐育(ニューヨーク)大崩落と、“術士”によって張られた“結界”。絶望王との間に結ばれた契約。そして、ハロウィンのにぎわいに大勢の人々が街中へと繰り出すなか、絶望王の恐るべき計画が静かに幕を上げる。
ここは相変わらずゴチャゴチャでドタバタで異常が日常の忙しない街だ。僕は何とか生きながらえて、最低で最高な日々を過ごしている。世界は何でも起こる…まったくその通り。「WHLミストストリーム。続いてはお悩み相談のコーナーです。本日の悩める境界の住人は…ラジオネーム“Lの悲劇君”」今日は、この街に来て僕が出会ったいろいろな出来事と、すてきな人たちの話をしようと思う。
新たなメンバーとしてライブラに加わったツェッド・オブライエンだが、彼の兄弟子にあたるザップとはどうやらソリが合わない様子。仲を取り持とうと考えたレオは、2人を誘ってランチに出かけるが、入ろうとする店がことごとく怪しげなゲテモノ料理店ばかり。しかも、なにかにつけては反目しあい、ケンカを始めようとするザップとツェッドの様子に、さすがのレオも手の施しようがなく…。一方そのころ、クラウスとスターフェイズはダニエル・ロウ警部補とひそかに会っていた。ダニエルは彼らに“レギオカ千兄弟”なる新興のファミリーヤクザのうわさを伝える。彼らは一気に勢力を広げるべく、中古のパワードスーツをひそかにヘルサレムズ・ロットに持ち込んだらしい。千人同時に動く彼らを検挙(けんきょ)するには頭数が足りないと話すダニエルの協力要請に、スターフェイズは渋々ながらも応じるのであった。しかもこの日の厄介事はそれだけにとどまらず、珍しく「術士協会」に呼び出されることとなったクラウスたち。呼び出したのは協会の長老だった。果たして彼の用件とは…?
インドに出現した血界の眷属(ブラッドブリード)が、何者かと揉み合いながらヘルサレムズ・ロットに侵入。彼が戦っていた相手は、ザップの師匠である「斗流血法」の創始者、裸獣汁外衛賤厳(らじゅうじゅうげえしずよし)だった。見事な腕前で血界の眷属の動きを封じる賤厳だが、彼は弟子であるザップの肥え太った身体を見て激怒。修行をやり直させるべく、ザップを連れて帰ろうとする。
ヘルサレムズ・ロットの犯罪者たちを収容したパンドラム・アサイラム(超異常犯罪者保護拘束施設)を目指し、暴走するモンスタートラック。乗り込むは“13王”のひとり、偏執王アリギュラ。彼女は、パンドラムに収容されている元恋人にして懲役100年の凶悪犯、ブローディ&ハマーを奪還しようというのだ。施設が破壊され、凶悪犯が街に放たれるという最悪の事態を避けるべく、現場に急行するクラウスたち。その頃、偶然にも現場に居合わせたレオは、モンスタートラックの上でアリギュラと対峙することに…。
レオが地下鉄で見かけた翼の形をした赤く光るオーラの持ち主。その正体は、人類を遥かにりょうがする血界の眷属のひとり、女吸血鬼のギリカだった。そして吸血鬼の出現を嗅ぎ付けたかのように、クラウスの師匠筋でもある吸血鬼対策のスペシャリスト、エイブラムスがヘルサレムズ・ロットに降り立つ。レオの“神々の義眼”があれば、吸血鬼たちを封印する「真名」を読み取れるかもしれない。そう考えたエイブラムスに連れられ、街の中心部にあるユグドラシアド中央駅を訪れたレオ。そこから奈落の向こうに目をやったレオが目撃したのは、無数にうごめく赤いオーラの光だった…。
ヘルサレムズ・ロットだけでなく、外の世界にまで流出を始めた強力な合成麻薬「エンジェルスケイル」。事態を重く見たクラウスは、この薬の情報を求めて異界の“顔役”ドン・アルルエルの屋敷を訪れる。アルルエルはプロスフェアーと呼ばれるゲームの愛好家で、彼に勝負を挑んで負けなかった者には、欲しい情報を与えてくれるのだ。クラウスはそこで、チェスの最高位・グランドマスターの座に輝く男、ウルツェンコと遭遇する。彼もまた“ある願い”を胸に秘めて、アルルエルの屋敷を訪れていた。
「ライブラ」の一員となったレオは、宅配ピザのアルバイト中、街中で一台のクリーニング屋のトラックを見つける。“神々の義眼”で、その荷物の中身が「真空パックされた人間」であることを見抜くレオ。同行していたザップは急ぎライブラの本部に連絡を取るが、敵の妨害に会いレオを見失ってしまう。違法な「人間パック」を扱っていたのは、街の小悪党・シボロバの一味。幻術で姿を隠し、顧客の待つ魔界に向かって疾走するトラック。はたしてレオは、窮地を脱することができるのか。