TRICKSTER-江戸川乱歩「少年探偵団」より-のあらすじ一覧
花崎は小林を置いてひとりで二十面相のアジトへ乗り込んだ…全てを終わらせて決着をつけるために。納得がいかない小林も後を追う。しかし、彼は傷を負っていた。すでに“もや”が消えてしまっていたのだ。そうとも知らずに、花崎は明智の元へたどり着く。そこに二十面相が現れて、このままだとアジトは崩壊すると告げた。花崎は明智を脱出用シャトルに無理やり押し込み、二十面相へ向けた銃の引き金に指をかける。
新東京万博に来た少年探偵団。花崎と小林は、空に浮かぶ二十面相のアジトに捕らえられた明智を助けるためにシャトル乗り場へ。ところがシャトルが爆破されてしまい、警備ロボに足止めを食う。井上たちも特別警備隊と応戦するが分が悪い。万事休すかと思われたその時、地鳴りとともに展示品の月面採掘機が地面を突き破って登場。大友が助けに現れたのだ。しかし、喜びもつかの間、採掘機の動きが急に鈍くなってしまい…。
中村刑事が二十面相に洗脳されていたと知ってあぜんとする明智は、特別警備隊に拘束されてしまう。その頃、新東京万博の会場では成層圏プレーンが墜落するという事件が発生していた。事態が把握できずに困惑する少年探偵団は、明智に電話をかけるもつながらない。すると突然、モニターに二十面相の姿が。どうやら成層圏プレーンを墜落させたのは彼の仕業らしい。そして次に映し出されたのは、捕らえられた明智の姿だった。
宮西が中村刑事によって射殺された。取り調べを受ける中村は、二十面相の正体は明智だと証言。彼女は明智によって操られていた可能性があると判断され、警察は明智探偵事務所を家宅捜索する。明智が二十面相のはずがないと花崎は抵抗し、井上もその根拠を問うが、警察はとりあってくれない。少年探偵団は自分たちの非力さを思い知らされる。一方、追われる身となった明智は今回の一件に裏があると疑い、秘密裏に行動を開始する。
夢に出てきた場所を探す小林と井上。そこに花崎とひでちゃんも加わり、小林の夢の謎を解明しようと協力を申し出る。すると、イチョウ並木を見た小林の記憶がフラッシュバック。赴くままに駆けた先には、一軒の廃墟が。その頃、警察では緊急事態が起きていた。服役していた偽二十面相を脱獄させる明智が監視カメラに捕らえられたのだ。警察は明智が真の二十面相ではないかと考えるが、信じられない宮西は独自で真相を探っていく。
銃創の療養で横になっていた小林は、不思議な夢を見る。ベッドで眠る女性と、寄りそう男性の姿。見覚えのない男女の夢は、小林に謎の頭痛を引き起こす。その頃、ひでちゃんは花崎に接触。匿名で自作自演の被害報告をネットにあげる不届き者を成敗しようと誘う。だが、花崎は拒否。ひでちゃんは「やりたいことが多すぎて時間が足りない」と去る。その言葉を聞いた花崎は、いま自分がしたいことを考え、小林の見舞いに行くが…。
少年探偵団の解散が宣言され、井上たちは悲嘆に暮れていた。“もや”が復活した小林も傷を癒そうと懸命だ。その頃、明智はひとりで二十面相との過去を思い返していた。それは戦場での記憶…傭兵だった明智は、二十面相と2人で幾多の戦火を潜り抜けてきた。しかし、二十面相が用意する刺激に、次第と飽きてきたのも事実だった。そんな明智の前に日本人ルポライターの文代が現れる。二人は次第に魅かれあっていくが…。
銃撃を受けて、激痛に襲われる小林。いつも彼を守っている“もや”が消えてしまったのか? 現場に駆け付けた明智の推測に、井上はハッとする。小林はいま生きたがっているのでは…。瀕死(ひんし)の小林を前に動揺する花崎。明智は小林を助ける方法として「死にたいって思わせてやることだ」と助言するも、「生きたいと思わせちまったのはお前だ」と突き放す。そして、自分で何とかしろと言い放ち、次いで衝撃的なせりふを口にする。
死刑囚を狙うグループに追われ、少年探偵団は小林が根城にしていた廃虚へと避難。野呂が寄こした脱出用のヘリが来るまでの間、何とか応戦することに。そのかたわら、死刑囚の蕗屋が仕掛け続ける連想ゲームに仕方なく答えていた小林は、次第に変調をきたす。一方、ひでちゃん率いるレッドビートルの一員として迎えられた花崎は、彼らが今回の事件に絡んでいることを知る。レッドビートルか少年探偵団か、花崎の心が揺れる。
音信不通の明智から電話がきた。小林が花崎の不調を訴えると、明智は「花崎がお前にしたことをしてやれ」と助言して電話を切る。そこへ、奇妙な依頼が。殺害予告をうけた死刑囚の護衛を明智探偵事務所にしてほしいという。それは死刑囚自らが望んだこと。実は、この死刑囚を捕まえたのは明智だった。井上はこの厄介な案件を渋るが、依頼を花崎とともに解決すれば探偵団が元通りになると考えた小林は、勝手に引き受けてしまう。
科学実験部員で大友久の後輩・山根たすくには悩みがある。ひとつは、大友にイジられ過ぎること。ふたつめは、すぐ話題に取り残されること。そしてみっつめ、山根最大の悩みとは、どうしたら少年探偵団の一員になれるのかということだった。すると、山根を探偵団員と勘違いした夢子が、瑠璃野学園のイケメン私物盗難事件を調査してほしいと依頼を申し込んでくる。まんざらでもない山根は、つい依頼を引き受けてしまうが…。
ル・ワッカでの事件は解決、怪人二十面相も逮捕されて世間は平穏を取り戻したかのように思えた。だが、事件の渦中にいた花崎は精神的に不安定となり、少年探偵団の輪へ再び入っていくことを躊躇(ちゅうちょ)していた。一方、井上たちは宮西刑事から依頼を受ける。有名人の盗撮写真をリンチショットと呼ばれるウェブサイトに無断で上げている者を捕まえてほしいというのだ。井上たちは調査を開始するが、小林は花崎のことが気がかりだった。
二十面相に銃を突き付けられながらも、明智との会話に心が揺れ動いた花崎は涙する。そこに探偵団が到着。井上と勝田は警備ロボを制して人質の従業員を助けようと協力する。野呂と大友も暴走する警備ロボを止めるために奮闘。小林は感じたことのない衝動に駆られて花崎の元へ走り出す。しかし、全て計算済みだった二十面相はあらかじめ洗脳していた従業員に井上たちを襲わせる。そして、花崎を殺せば彼らの洗脳を解くと明智に決断を迫る。
一芝居うった花崎は、明智と探偵団に自分が誘拐されたと思い込ませることに成功。そうとも知らない明智は花崎を助け出そうと一人で事務所を飛び出す。場所も見当がついているらしい。残された小林たちだったが、ふらっと現れた大友のヒントによって居場所を特定する。花崎は《ル・ワッカ》にいた。彼は二十面相の指示のもと、警備ロボを操って建物内を占拠しようとしていた。そこに明智が登場。警備ロボと壮絶な銃撃戦を繰り広げる。
明智たちと口論になり事務所を飛び出した花崎は二十面相に監禁され、とある映像を見せつけられる。まずは、一命を取り留めたが入院中の晴彦。次に、探偵団が臓器売買事件の犯人を捕まえたことにより臓器を提供してもらえずに娘を失った夫妻。今度は、総合施設《ル・ワッカ》のオープンを祝して記者会見を行う花崎の父親。そして、花崎不在のまま事件を解決する探偵団と明智。それらの映像と二十面相の言葉が、花崎の心を深くえぐる。
花崎は「一緒に暮らそう」と晴彦に言われ困惑する。が、五十鈴は三十億円を用意すれば強行突入と住民の排除を許す警察に交渉していた。彼女は住民と金を引き換えに、自分だけ逃げるつもりだった。そこへ、中村刑事からの依頼で明智と少年探偵団が到着。警備システムをダウンさせるため、小林は銃弾の雨をもろともせずに団地へ突入し、発電施設を破壊した。花崎が明智を呼んだと勘違いした晴彦は激昂(げっこう)。銃を花崎に向けるが…。
都市再開発による立ち退きに反対する心が丘団地の住民が、団地全域を自治区と名乗り独立を宣言。それを発表したのは、過去に家を飛び出した花崎の兄、晴彦だった。花崎は明智に助けを求めるが、依頼がない限り動く気はないと一蹴され、外出禁止を言い渡される。そこへ怪しい小包が届く。開封すると、今回の件は二十面相が仕組んだと判明。じっとしていられない花崎は一人で団地に駆けつけるも、晴彦によって眠らされてしまい…。
明智は事件の疲れを癒すために健康ランドでくつろいでいた。TVからは警備ロボ事件、臓器売買事件、地下水路誘拐事件のニュースが流れ、その騒動を収めた警察の協力者、すなわち明智のことをうわさしていた。そこへ現れた中村刑事に、二十面相との因縁を問い詰められる。明智はひょうひょうとかわしながらも二十面相との出会い、幼少のトラウマを思い返す。そのころ、花崎は父親に呼び出される。彼もまた、複雑な過去を背負っていた。
小林が死ねるようにさまざまな実験を試みる花崎だったが、ことごとく失敗する。そこで、明智がいない隙に六件もの依頼を勝手に引き受けることに。小林がけがを負ったのは全て事件解決後だったので、依頼をこなすことで彼の願いをかなえることが出来ると考えたのだ。しかし、なかなか思い通りにいかず、全て失敗に終わってしまう。2人では無理だったのか…落ち込む小林だったが、花崎は調査と並行してある計画を立てていた。