ブギーポップは笑わないのあらすじ
モニターに映った寺月恭一郎から語られた事実。それはムーンテンプルで起きている現象は寺月と歪曲王の合作によるもので、この舞台を創り上げた歪曲王を褒めたたえるものだった。そして最上階まで登ってきた新刻敬は、ブギーポップと共に歪曲王の本体と対峙する。ついに明らかになった歪曲王の正体を見て、ブギーポップはなぜ彼が自らを知っていたのかを理解する。歪曲王は、これはあくまでも実験であり、誰も傷付けるつもりは無いと告げるのだが…。
床下に降りられそうな入り口を見つけたという田中志郎と共に、その場所までやって来た羽原健太郎。しかし、入り口の上には道本咲子が倒れていた。目を覚ました咲子をどかせ、床下へと降りる羽原と志郎だったが、そこは換気用のスペースで、歪曲王につながりそうなものは何もなかった。ふいに入り口の扉が閉まり、どんな目的があるかにしても歪曲の邪魔はさせないという咲子の声が聞こえてくる。入り口の扉は固く閉ざされてしまい、戻ることができなくなった羽原たち。そしてさらに何かが閉まる音が鳴り響き…。
ブギーポップと共にムーンテンプルの中を進んでいく新刻敬。ブギーポップが言うには、世界に危機が迫っていることは確かだが、それがどのような危機なのかまでは、まだ分からないらしい。歪曲王と名乗っている何者かを倒せばいいのではないかと問う敬だったが、事態はそんなに簡単なものではなく、それこそ歪曲王と敵対するかどうかさえ分からないと答えるブギーポップ。そんなときふいに敬のお腹の虫が鳴り、それを聞いたブギーポップは、空腹は神経を乱すと、かわいらしいお弁当を敬に差し出す。
ムーンテンプル内に鳴り響く音楽、そして人々を閉じ込めるかのように非常用シャッターが作動し、館内の明かりが落ちる。停電の暗がりで、パニックに陥る人々。しかし、誰もが気が付けばムーンテンプルではない別の場所にやって来ていた。やって来た場所は人それぞれ違っていて、共通しているのはかつて通り過ぎてきたはずの過去の続きにいるということ。そこには自らを歪曲王と名乗る存在がいて、心から消し去ってしまいたいと願う苦しみを、逆に金に変えるようにしなければならないと語り掛けてくるのだが…。
一代で巨万の富を築き、さまざまな分野に多大な貢献と進歩をもたらした伝説的起業家である寺月恭一郎が、人生の最期に残した異様かつ巨大な塔のような建築物、ムーンテンプル。その観覧イベントが開催され、多く人々が行列をなして開場を今かと今かと待ちわびていた。そこには偶然にも、宮下藤花と待ち合わせをする竹田啓司、予備校の願書を出しに来ていた新刻敬、かつて紙木城直子とムーンテンプルが完成したら一緒に見に行こうと約束していた田中志郎ら、あの事件の関係者たちが集まっていて…。