とある科学の一方通行のあらすじ
人間を取り込んで肥大化し、進化を遂げて完成形に近づいていく「完全なるゴレム」。だが、舜帝の剣でその符を突き、「檮コツ」の疑似魂魄に干渉すれば止められるかもしれない。エステルたちは符を宿す本体たるイサクの居場所を探して、ゴレムの体内を進んでいく。取り込んだ者たちの思念が混じり合い、意識が浸食され始めたイサクの隙をつき、極大の力を振り絞って本体の元へと道を切り開くアクセラレータ。エステルは大事な約束を守るため。禍斗は主人を護るため。菱形幹比古は蛭魅を取り戻すため。ミサカ10046号は記憶をもてあそばれた報いを与えるため――それぞれの立場とそれぞれの目的のため、5人がイサクの前に立ちはだかる。そして、エステルの手に握られた舜帝の剣がイサクを貫いたその時…!!
ローゼンタール家の400年に渡る悲願である「完全なるゴレム」を生み出すべく、「檮コツ」をそそのかした「悪魔」こそ、ローゼンタール家第4代当主イサクだった。己の魂魄を転写した「檮コツ」の中に潜み、蛭魅となって菱形幹比古を操って手に入れた「神」の体。ミサカ一〇〇四六号から抜き出した10031回分の死の記憶こそがそのキーとなったことを知り、アクセラレータは激怒する。しかしどんな攻撃を加えようともゴレムは再生を続け、完全なる「神」となるべく成長していく。その惨状を前に、自分が誰も救えなかったどころか、全ての元凶が自分の家系にあったことに、立ち上がる力すらなくしてしまうエステル。自分のその手で何を救いたいのか。エステルに、アクセラレータが問い掛ける――!
非情にも届かなかった舜帝の剣。「公式」をインストールされた蛭魅は、爆発的な勢いで周囲を巻き込み肥大化を始める。そして、なんとか脱出したエステルたちの前へと現れ、その正体――「ナンバーズの悪霊」の4体目、「檮こつ」であることをあらわにする。もはや誰をも欺く必要はなくなったとばかりに。ローゼンタール家の悲願である「完全なるゴレムの完成」を達成すべく、「悪魔」の声に従って行動していたと語る「檮こつ」に、エステルは当主として、死をもてあそぶ行為をやめるよう命じる。肥大化は止まり、事件は結末を迎えるかに見えたその時。一連の事件の裏で全てを操っていた「悪魔」が顔を出す。最後の符に写されていた最悪の存在の正体は――!
なんとかして蛭魅を救いたい。そんな思いから犯してしまった自分の過ちを、今こそ正すと決意したエステル。ミサカ一〇〇四六号を回収し、10031回分の死の記憶を完全にコピーして「絶対能力(レベル6)」への「公式」を手に入れんとする菱形。3体の「棺桶」の攻撃を潜り抜け、菱形のラボにたどり着いたアクセラレータは、ミサカ一〇〇四六号の救出に成功するも、すでに「公式」は完成していた。 菱形は本命である蛭魅へ「公式」をインストールする時間を稼ぐため、残る「窮奇」と「饕餮」をアクセラレータに差し向ける。「公式」をインストールされたことで大幅に能力の強化された両機の連携攻撃の前に、アクセラレータは足止めを余儀なくされる。一方、エステルは別ルートから菱形と蛭魅の元へとたどり着き――!
「絶対能力(レベル6)」――「超能力(レベル5)」を超える途方もない力を求めて、研究と実験を積み重ねていた菱形。そして、被験者として兄の夢を応援していた妹の蛭魅。そんな二人と出会った「死霊術師」エステル。自らが身に着けた死霊術とは何のための力なのか。そんな悩みを抱えていた彼女は、請われて訪れた学園都市でも答えを見つけることができずにいた。そんな彼女に、蛭魅は一つの約束を提示する――自分になにかあったら、自分の役に立ってほしい。自身が余命幾ばくもないことを知った蛭魅は、兄の役に立つため、ある決意を固めていたのだ。そして、実行された蛭魅の決意を受けて、エステルと菱形の下した「選択」が悲劇を呼ぶことに――。