テレメンタリー2020の放送内容一覧
ライチョウ保護に奮闘する専門家2人を通して自然と人間の関係を考える。絶滅の危機に瀕している国の特別天然記念物・ライチョウ。かつて生息地だった中央アルプスでは半世紀前に絶滅したと考えられていた。2018年、別の山から飛来したとみられる雌1羽が発見された。ライチョウ研究の第一人者・信州大学の中村浩志名誉教授と、その弟子で環境省の小林篤専門官が復活作戦に挑む。
画家・伊藤寛さんに密着。45歳で大腸と肝臓にがんが見つかり、48歳の時に余命1年の宣告を受けた伊藤さんは、青森・津軽地方の風景を描き続けている。目標は、葛飾北斎の「富嶽三十六景」ならぬ「津軽三十六景」を完成させ、絵画展を開くこと。妻と娘に支えられ、命を燃やす画家のストーリーを描く。
水俣病の惨禍を世界に伝えた写真家ユージン・スミス(1918ー1978年)に再び、脚光が当てられている。俳優ジョニー・デップが製作提案した、水俣とユージン・スミスの映画が間もなく公開されるのだ。彼が水俣で過ごした3年間、患者たちとどう向き合い、何を感じたのか。交流のあった患者たちから、彼の生き様や苦悩、葛藤が分かる数々のエピソードを取得した。
日本海に面し、水産業が盛んな北海道寿都町と神恵内村。小さな2つのマチに注目が集まっている。「核のごみ」最終処分場の文献調査受け入れを表明したからだ。急速な人口減少と産業の衰退に直面する2つのマチ。「過疎を取るか、核を取るか」そんな声も叫ばれはじめた。決断の裏に何があったのか? キーマンの取材から見えてきた、巨額の交付金で誘致を促す国の原子力政策の現実に迫る。
原発事故が起きた東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」に悩む町の状況を伝える。原発敷地内には、溶け落ちた核燃料に触れた汚染水から大部分の放射性物質を取り除いた「処理水」が溜まりつづけている。政府は近く、海洋放出する方針を決定する見通しだ。そうなると福島県の漁業は深刻な風評被害にあう恐れがある。しかし、タンクでの地上保管を続ければ今後の廃炉作業に影響が出る。海洋放出に反対する声が多い中、原発がある大熊町や双葉町は、町の復興を妨げるとして、地上保管の継続を望んでいない。
かつての満州国にあった建国大学。「五族協和」のスローガンのもと、日本、中国、朝鮮、モンゴル、ロシアから若きエリートが集ったが、わずか7年しか存在しなかった「幻の大学」だ。理想を胸に入学した彼らを待ち受けていたのは満州国の厳しい現実と悪化する戦況だった。大学はどんな存在だったのか? 祖父が建国大学の学生だった記者が、90歳を超える証言者たちの思いを取材する。
新型コロナで再び“介護崩壊”を起こさないための教訓を探る。新型コロナウイルス感染の第2波が押し寄せていた2020年4月下旬、北海道テレビにメールが届いた。送り主は札幌の介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」で働く介護職員の親族。「内部はもう崩壊している」という悲痛な訴えの内容だった。同施設は、4月末にクラスター認定され、入所者と職員92人が感染、17人が亡くなった。札幌市などの報告書、独自取材をもとに、施設で起きていたことを検証する。
水害と隣り合わせの産地でリンゴを作る農家の思いに迫る。2019年10月、台風19号により千曲川の堤防が長野市で決壊した。「アップルライン」と呼ばれた全国トップクラスの生産量を誇る地域一帯が濁流にのまれ、収穫を目前にしたリンゴは壊滅状態に。この被害で高齢の農家の多くが離農を検討。そんな中、復活を決意し、行動を続ける男性の奮闘を追った。
温泉旅館を舞台に、既成概念を打ち破ろうと格闘し、新たな可能性を模索する人々の姿を追う。経営破綻した鬼怒川温泉の旅館を買い取った社長。コロナ禍で再オープンは延期となった。「目玉」が必要と悩み抜いた末、同じコロナで仕事を失った演劇舞台人に再建を託すことを決意。演出家や美術、照明、俳優など14人のチームを結成した。温泉旅館×演劇人の異色のコラボは衝突を繰り返す。さらに老朽化による建物の欠陥が次々と見つかる。
薬物依存症から立ち直り、生き直そうとする高知東生さんの、執行猶予が明ける8カ月間を取材し、薬物依存当事者のの実情を伝える。2016年に覚せい剤・大麻取締法違反で逮捕れた高知さん。現在、依存症の回復プログラムに取り組んでいる。プログラムを通じて過去の自分の考え方や行動を見つめていくが、それは両親から愛情を受けられず、さらに母親が自殺するという壮絶な生い立ちに向き合うということでもあった。
全国屈指のダンス強豪校・三重高校ダンス部の高校生たちが、新型コロナ禍という状況を乗り越えていく姿を追う。2019年12月、ニューヨークの「アポロシアター」の舞台に立つという大きな夢を掲げた彼ら。準備が整った矢先に新型コロナ禍が襲った。渡航は延期され、生徒たちの日常から部活動が消えた。次に進むための「区切り」を失った生徒たち。それでも、めげることなく目標に向かって動き出す。
国会議員の夫妻が100人に対し現金約2,900万円を配ったとされる前代未聞の買収事件「河井事件」。現金を受け取ったとされる地元議員らは40人に上り、広島の政界は大混乱に陥っている。初公判で河井克行・案里夫妻は現金提供を大筋で認めた上で、「当選祝い」などと無罪を主張した。現金の授受はどのように進められたのか。そして買収事件は広島に何を残したのか。受け取りを認めた議員のその後も取材し、“政治とカネ”の在り方に迫る。
混迷の世に新たな脅威となって忍び寄る半グレの実態に迫る。未曾有のコロナ不況で、ネット上には闇バイトの募集があふれている。「雇い主」として浮かび上がっているのが半グレの存在だ。取材班はコロナ禍の影に身を隠す半グレのアジトの映像を入手。また、衰退する暴力団から半グレへと流れた新手の集団も直撃する。
名古屋のミニシアター「シネマスコーレ」の「新しい日常」を追う。シネマスコーレは定員51人の映画館。1983年に映画監督の若松孝二が立ち上げた。支配人の木全純治さんは、全国ロードショーではかからない魅力的な作品を精力的に紹介。作品と観客の距離を近づけ、いわば“密”を売りに映画館の斜陽期を生き抜いてきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で、初めて「休館」に追い込まれた。試行錯誤を続ける支配人らの奮闘を追う。
豪雨によって被害を受けた熊本・球磨村(くまむら)の復旧作業を通して気候危機を考える。7月の豪雨で、九州では球磨川などで氾濫が相次いだ。川と共に暮らしてきた球磨村は、豪雨時にとるべき行動をまとめたタイムラインを策定するなどしていたが、多くの犠牲者が出た。激甚化・頻発化する豪雨災害の脅威。日本のどこで同様の被害が起こっても不思議ではない状況で、どう生きていくべきなのか。その現実を見つめる。
南西諸島の小さな島、鹿児島県・馬毛島(まげしま)の現状を伝える。馬毛島は40年前、無人島となった。その後、島を買収した地権者のもとで大規模な開発が進められ、2019年、防衛省はこの土地を160億円で買収することで地権者と合意した。自衛隊の基地を整備し、アメリカ軍の空母艦載機の訓練(FCLP)を移転する計画を進めているのだ。騒音や治安の問題を訴える反対派と経済特需を期待する推進派とで地元・西之表市は揺れている。
2019年8月、常磐道で起きたあおり運転・暴行事件。暴行する男と一緒にいて、携帯電話で撮影する女性をネット上では“ガラケー女”と呼んで非難した。しかし、“ガラケー女”として投稿・拡散された実名・顔写真は全く別人のものだった。突然、犯罪者扱いされ、ネット上にさらされた山田ミカさん(仮名・30代)。生活は一変し、外出もできない日々。誹謗中傷した「匿名の加害者たち」を割り出し、法的責任を追及する彼女の1年間に及ぶ闘いを追った。
仙台市内では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で仕事や住まいを失った人たちが増加している。東北で職を失った人たちは、新たな仕事を探して、仙台に集まってくる。しかし、仙台にも仕事は無い。彼らはコロナ禍で、どのように生活しているのか。そして、新たな仕事を見つけることはできるのか。コロナ禍がもたらした生活困窮者の実態と生活再建への道のりを追う。
陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」計画のてん末を追う。計画の断念は、ブースターを基地内に確実に落下させるための改修に多くの費用と期間を要するためだという。配備先とされた山口県へのこれまでの説明とは真逆の理由だ。防衛省の説明を見返すと計画はほころびだらけだったことが見えてくる。約2年半、住民は国策に翻弄された。