テレメンタリー2020の放送内容一覧
広島市南区にある旧陸軍被服支廠(ししょう)。爆心地から約2.7km、原爆投下後には救護所としても使われた、現存する最大級の被爆建物だ。2019年12月、広島県が管理する3棟のうち1棟のみを保存する案を示し、市民から全棟存続を求める声が上がった。かつて解体案があった原爆ドームは存続されて原爆被害の象徴となり、当時の判断は英断として評価されている。被爆建物の持つ力を知る広島で、なぜ解体案が出されることになったのか。行政の協議録をひもとくことで被爆建物保存の難しさを検証。被爆者の証言や資料をもとに被服支廠の歴史的価値を確認し、今あらためて被爆遺構・戦争遺構の意義を考える。広島ホームテレビ制作。
性犯罪法改正に取り組む人たちの戦いを追う。性暴力を受けた人の声は、その多くが、何事もなかったかのようにかき消されてしまう。2019年、性暴力への無罪判決が相次ぎ、手に花を一輪たずさえた人たちが判決に抗議するデモを始めた。「フラワーデモ」と呼ばれた小さなうねりは全国へと広がり、大きな波となった。2020年、法務省は、性犯罪法に関する検討会を設置。初めて、被害当事者が検討委員会のメンバーに入った。
2019年10月、甚大な被害をもたらした東日本台風。宮城県では、河川の氾濫や土砂災害で19人が死亡、2人が行方不明になった。一方、105世帯311人が暮らす吉田川流域の大郷町中粕川地区では、堤防が決壊し、地区すべての住宅が被害を受けたにもかかわらず、死傷者は1人も出なかった。犠牲者ゼロの町の住民は、どう行動したのか。50人以上の証言を基に、当時の避難行動を映像化。激甚化する豪雨災害で、命を守る避難行動を検証する。
緊急事態宣言解除後も、10万人あたりの感染者数は全国トップが続いた北海道。対策を打つも「救急医療体制のひっ迫」は避けられなかった。「医療崩壊」の理由の一つは、高齢者の患者が多いこと。介護施設でクラスターが生じても、陽性者を移動させる病院が見つからない。”コロナ専門病院”での介護を交えた治療も困難を極めた。さらに快方に向かっても一人での生活が困難な人は病院で診なくてはならず、ベッドが空かない。負の連鎖が現実に起こった。コロナ渦の中、いのちと向き合う医療従事者の覚悟を伝え、第3波をどう乗り越えるべきなのかを問う。
滋賀県に住む和田智泰さんは、重度の知的障害と強度行動障害がある。強度行動障害とは、自閉症の人にあらわれる後天性の障害だ。物をたたいたり、自分自身を傷つけたり、激しい行動があらわれる。父・進さんと母・泰代さんが、生活の全てを支えてきたが、歳もあり息子の介助をするのが限界になってきた。強度行動障害の男性と家族を2年半追った。
老化が進む男の子。宮城県仙台市に暮らす須知誉くんが抱える病は、50万人に一人という希少難病「コケイン症候群」だ。知的障害・歩行障害などの症状が現れ、患者の平均寿命は10代後半と言われる。誉くんは2014年から6年の間、体力・視力などさまざまなものを失った。老いていくわが子を育てる母親は悩み続ける中で、誉くんの中にある“揺るぎないもの”に気付く。
長年人道支援を行い、2019年12月にアフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲医師を取り上げる。中村医師が造った27kmの用水路は砂漠に緑をよみがえらせ、65万人の生活を支えている。今回、そんな中村医師を知る家族や支援者、部下からの証言と過去の取材映像を基に、中村医師の生涯をひもといていく。