装甲娘戦機のあらすじ一覧
【最終回】装甲娘になれない状況で一度は窮地を切り抜けたリコたちだったが、その代償は我が家も同然の装甲車であった。地上と空の時空クラックからミメシスが無限に出現し続ける中、さらに強化したLBXユニットを携え駆け付けたオタクロスと共に、遊撃隊は最後の任務「阿蘇作戦」に臨む。「スイッチ」をビルドインした時空兵器「ドック」を敵の猛威から守る戦いは熾烈(しれつ)を極め、残弾をすべて撃ち尽くしライフゲージも底をついた装甲娘たちに残されたのは、アサシン=リコのアタックファンクション――自爆装置だけだった。
福岡のラボファイブにやって来たリコたちは、遊んでいるうちにうっかり「スイッチ」のアイドリングを停止させてしまっていたことを知り途方に暮れる。出迎えた現地スタッフに平謝りするも大事ないことを知らされ安堵(あんど)したのもつかの間、熊本で決行されるミメシス掃討最終作戦の中核を担わされることを通告されるのだった。最期の地となるかも知れない熊本城で、キョウカ、ユイ、ミハル、スズノ、そしてリコは、初めてお互いの生い立ちや将来の夢について語り合い、奇妙な修学旅行でもあった日々の終わりを覚悟していく。
政府要人や防衛隊首脳の間でリコたち遊撃隊はその功績から“ジャガーノート部隊”と呼ばれ、いつの間にか人類の命運を背負う装甲娘の精鋭部隊となっていた。彼女たちが京都から運んできた「スイッチ」が福岡のラボファイブに無事届けられることを心待ちにする要人たちであったが、九州上陸を果たしたリコたち一行は任務を忘れてご当地グルメと観光スポットを満喫したり人助けにいそしむなどして一向に届く気配がない。焦燥渦巻く中、北九州工業地帯を平らげた観測史上最大級のミメシスが再起動したとの急報がもたらされる。
人類の存亡を懸けた装置「スイッチ」を携え九州到たちを目前にしたリコたちは、その全域を囲む時空ゆがみのため上陸できずにいた。唯一の進入路である関門橋をふさぐ巨大ミメシスの融合体を撃破すべく装甲娘として出撃する5人だったが、敵と間近で相対したキョウカを突如異変が襲う。融合体の中枢に居座るミメシス“アンモナイト”が、キョウカと深い因縁を持つ個体だったのだ。スズノの発案とオタクロスの協力により、砲台跡を利用した関門橋突破作戦が開始されたとき、そこにキョウカの姿はなかった。
アタックファンクションの使用によってライフゼロとなったキョウカ、ユイ、ミハル、スズノは、四国の地で異様な食欲に駆られていた。遊撃隊の中で友達のような連帯感が増してゆくのを拒むように、かたくなにみんなと距離を置こうとするスズノは、ネイトから四国1周観光ツアーのアテンダー役を任されて困惑する。いっときミメシスとの戦いを忘れた旅行気分の中、リコがスズノとの距離を思い切って縮めようとするも、いつになくきつい態度で拒絶されてしまう。そんなスズノの胸には、元いた世界で味わった痛みがあった。
おチヨによって起動された「スイッチ」のコアによる強力な反応は、京都に巣喰うすべてのミメシスたちをラボスリーに呼び寄せてしまう。名刹の金閣、銀閣、そして銅閣をとりこんだ大型ミメシスのゴールド・シルバー・ブロンズの脅威が迫る中、人類の存亡が懸かっているというその装置をラボスリーから運び出すリコたち。京都全域から押し寄せるミメシスの群れに抗いながらの空中輸送は困難をきわめ、追い詰められた5人はついにLBXの必殺技であるアタックファンクションの使用を決意する。
修学旅行に行けなかったリコにとって特別な場所である京都は、そのほぼ全域がミメシスたちの巣窟と化し、憧れたいにしえの都の面影は無残なまでになくなっていた。奇しくも全員がなんらかの理由で修学旅行に行けていない遊撃隊には、リコの加入によっていつしか戦闘集団というだけではない連帯が生まれつつあったが、装甲娘としての非情な任務はそれを少女たちに自覚させない。救援メッセージの発信源であるラボスリーに単身出向いたミハルを、人類の命運を懸けたシステム「スイッチ」と共に、謎の老婆・おチヨが出迎える。
装甲娘に救援を乞うメッセージを受信したリコたち遊撃隊は、その発信源である京都を目指していた。だが時空ゆがみの無限ループにはまってしまい、お風呂にも入れず、絶え間なく続くミメシスとの戦いに疲弊しきった5人の乗る装甲車のキャビンには部室のような臭いが立ち込めつつあった。いよいよ食糧も尽き途方に暮れ掛けた少女たちの前に突如、異様に元気な謎の老人が現れる。不審者としか思えず一度は逃げるリコたちだったが、そのおきなこそ伝説のハッカーにして天才LBXビルダー・オタクロスその人であった。
大型ミメシス“スパイダー”の猛威に苦戦するリコたち。スナイパーとしてのリコのデビュー戦は惨憺(さんたん)たる結果となるが、スズノの解析によって起死回生の作戦が立案される。現状の火力ではなせないその作戦を実行可能としたのは、亡き装甲娘サヤカが遺したLBXマスターコマンドのパーツだった。だがそれを強化カスタムしていた若者は、自身で携えスパイダーに立ち向かおうとする。サヤカを誰よりも悼む彼は、装甲娘に頼り切りで何もしないエリア民の在り方に疑問と憤りを抱き、自ら敵を討つ機会を待っていたのだ。