テレメンタリー2021の放送内容一覧
愛知県碧南市の寺で、巣鴨プリズンの教誨師(きょうかいし)だった花山信勝の肉声を収めたテープが見つかった。教誨師は刑の執行を控えた死刑囚らに宗教家の立場から助言を与える役割を担う。僧侶であり仏教学者でもあった花山はGHQの要請で、東條英機ら「A級戦犯」の教誨師となり、処刑の直前までを見届けた。花山の肉声をもとに、彼の思想や巣鴨プリズンの内幕をひもとき、学術が国家に無批判に協力することの意味を問う。
新型コロナ禍の影響で、日本人でさえ就職が困難な状況の中、頼るものもなく奮闘する留学生たちの姿を追う。モンゴル人留学生のサンブさんは家族で日本に住む夢をかなえるため、海を渡ってきた。しかし、卒業を間近に控えた2020年、新型コロナで生活が一変。就職活動も頓挫し、先行きが見えない状況に。国が打ち出した「留学生30万人計画」の名のもとに増えた留学生。一方で国内就職率は日本人を大きく下回る状況が続いている。
若手農家の活動を通して、山間部の小さな農村で行われている地域再生の物語を伝える。大分県北部の宇佐市安心院町は、日本有数のぶどう産地。大学卒業後にぶどう農家を継いだ宮田宗武さんは「農家のチカラで農村イノベーション」を活動テーマに掲げ、ぶどう生産のほか6次産品の開発・販売、交流イベントに取り組む。2019年からは耕作放棄地を買い取り再生事業に着手。単なるぶどう園ではなく、新たな交流拠点にしようと計画している。
2020年11月放送のアンコール。新型コロナで再び“介護崩壊”を起こさないための教訓を探る。新型コロナウイルス感染の第2波が押し寄せていた2020年4月下旬、北海道テレビにメールが届いた。送り主は札幌の介護老人保健施設で働く介護職員の親族。「内部はもう崩壊している」という悲痛な訴えの内容だった。同施設は、4月末にクラスター認定され、入所者と職員92人が感染、17人が亡くなった。札幌市などの報告書や取材をもとに、施設で起きていたことを検証する。
絵を通じて被災した子どもの心の復興に取り組む神戸の画家を取材。神戸で絵画教室を開く中嶋洋子さん(68)は、阪神淡路大震災の経験から、東北を何度も訪れている。気仙沼の小学校で出会った後藤桃佳さんや岩渕楓さんらは当時小学校2年生。彼らは中嶋さんの姿を見て自分たちも気仙沼のために何かしたいと思い、中学の時に語り部活動を始めた。2020年11月、中嶋さんは、高校生になった後藤さんらに復興への思いを込めたバトンを渡すため、気仙沼を訪れる。
若年性認知症は、平均発症年齢約51歳と、働き盛りを襲う病。長崎県の56歳の男性は若年性認知症の一種「前頭側頭型認知症」を発症し、仕事ができなくなってしまう。男性は「性格が変わる」「感情の鈍麻」「常同行動」など諸症状に家族は惑う。病の診断に2年以上の歳月を要し、有効な治療法もない中、男性と男性を支える家族を追う。