精霊幻想記のあらすじ一覧
【最終回】セリアを乗せた馬車が結婚式場の大神殿前に到着したその時、パレードの人垣を縫って素早く接近してくる黒い人影――護衛の騎士たちを軽々とねじ伏せ、セリアを連れて逃げるその人影はリオだった。もう一度セリアの意思を確認するリオの真っすぐな思いに、セリアもついに本心を伝える。その時、王都から一筋の光が上空へ打ち上がり、シュトラール地方の各所からも同じように、合わせて6本の光柱が天空を貫く。
セリアとシャルル=アルボーとの政略結婚を知りがくぜんとするリオ。結婚式は明日に迫っている。アイシアの力を借りて王城の迎賓館に忍び込み、リオはセリアとの再会を果たす。リオの顔を見て喜びがあふれるセリアだが、本当に望んだ結婚なのかという問いには同意していると答える。終始にこやかな態度を貫くセリア。リオには彼女の本心が見えなかった。翌日、結婚式が執り行われる王都の大神殿に向かって盛大なパレードが始まる。
リオは精霊の民の里に帰ってきた。翌朝目を覚ますと、リオの隣には全裸で眠っている見知らぬ美少女が…。部屋を覗いて色めき立つラティーファと里の少女たちだが、その美少女は「春人(リオ)」の契約精霊であるという。名前も分からない彼女にリオはアイシアと名付けた。強力な精霊の気配を感じて現れた大樹の精霊ドリュアスに促され、謎多き契約精霊の戦闘力を知るためにリオはアイシアと戦うことになる。
年貢を運ぶ交易隊の護衛としてカラスキ王国王都を訪れたリオたち。役目を終えたリオとサヨが城下町で買い物や食事を楽しんでいると、幼い少女をさらおうとしている浪人に出くわす。難なく迎え撃ち少女を助けるリオ。その少女コモモは検税官ハヤテの妹だった。ハヤテの父・ゴウキはユバからの手紙を読んで驚愕(きょうがく)し、妻のカヨコと共にリオの宿を訪ねる。そして、自分たちはリオの母・アヤメに仕えていた者だと告げるのだった。
リオは精霊の民の里を出て両親の故郷であるヤグモ地方へ。何の情報もつかめないまま、カラスキ王国の小さな村を訪れたリオは、村長のユバと出会う。リオの両親の名前を聞いて驚くユバ。実は彼女はリオの祖母だった。ユバの勧めで村で暮らすことになるリオ。従姉のルリや村の少女・サヨとの穏やかな生活が始まる。やがて秋になり、年貢の量を決める検税官が近々派遣されるというある日、サヨの兄・シンと隣村の男達の間でケンカが起こる。
リオが里で暮らすようになって一年が過ぎ、精霊大祭の日が訪れた。大樹の精霊ドリュアスの祝福を受け、リオは精霊の民の盟友として認められる。楽しいうたげの夜、リオから里を出るつもりであることを告げられたラティーファは、それを受け入れられずに森へと走り去ってしまう。一方、上空で侵入者を警戒する里の戦士たちが不審なオドの反応を察知する。その正体は里を鋭く狙うブラックワイバーンの大群だった。
ラティーファと未開地の森に入ったリオは、眠っている間に亜人らしき集団に取り囲まれた。「精霊の民」と名乗る彼女らと話し合いを試みるリオだが、翼獣人のウズマは同じ獣人であるラティーファをリオが拉致したと思い込み、問答無用で襲い掛かってくる。ウズマの電撃で意識を失ったリオの夢に現れたのは、ピンクブロンドの髪をなびかせた見知らぬ美少女と、“天川春人”の幼なじみの少女・綾瀬美春だった。
セリアに別れを告げ、ベルトラム王国から旅立ったリオは、隣国ガルアーク王国の交易都市アマンドにたどり着く。城門前の露店には「パスタ」や「マンジュウ」という名の料理があった。それらの開発者であるリーゼロッテは自分と同じく日本人の記憶を持っているのではと考えるリオ。都市を出て森に入ると行き倒れた少女の姿があった。リオが近づいて声を掛けた瞬間、少女は目を見開きリオにナイフを突き出してくる。
誘拐された王女フローラを救出したリオは、その恩賞としてベルトラム王立学院の初等部に特待生入学することに。だが王侯貴族の子弟が集う学院の生徒たちは孤児であるリオを歓迎しない。周囲からさげすんだ視線を向けられるリオを気遣ってくれるのは、12歳の若さで初等部の担任講師を務める少女・セリアだけだった。文字を読むことができないリオのため、セリア先生とリオ、放課後の研究室で二人きりの個別指導が始まる。
20歳の大学生・天川春人は路線バスの事故で命を落とす。薄れゆく意識の中でただひとつの後悔は、高校の入学式以来姿を消してしまった幼なじみの美春への伝えられぬ思いだった。ところ変わってベルトラム王国のスラム街。薄汚い小屋の隅で悪夢にうなされて目を覚ます孤児の少年・リオ。ある男への復讐(ふくしゅう)だけを目標に生きてきたリオの脳内に突然、見知らぬ世界で暮らすもう一人の自分“天川春人”の記憶がフラッシュバックする。