青のオーケストラのあらすじ
ついに迎えた定期演奏会の日。会場となるホールに、部員たち自身の手で楽器や機材の搬入が行われる。最後の舞台となる3年生は寂しさを感じていた。開演を待つ観客の中には、青野の中学の恩師・武田先生の姿があった。青野の母と出会った彼は、指揮者の鮎川先生と同級生だった高校時代、共に部活に打ち込んだ日のことを語る。そして舞台裏では本番を前に、部員たちに向けた3年生のあいさつが始まる。
夏休みまっただ中、オーケストラ部員たちは、定期演奏会に向けて熱心に練習に取り組んでいた。その“定演”は、青野たち1年生には初舞台となるが、3年生にとっては引退公演となる。部長の立石は、部活動と勉強に明け暮れる“最後の夏”に、充実感と少しの寂しさを感じていた。そんな中、青野、律子、佐伯、ハル、山田の5人は、部活休みの日曜の夜の花火大会で、金魚すくい、かき氷、射的、そして花火と、つかの間の夏を楽しむことにする。
青野は「あいつとケンカしてくる」と秋音に宣言し、青野と佐伯は人けのない夜の公園で向き合っていた。青野は、あの夜佐伯が打ち明けた事実を許すことができずにいた。謝罪の言葉を繰り返すばかりの佐伯に、自分の感情をぶつける。佐伯との演奏が楽しかったこと、自分に無いものを持つ佐伯をねたんでいたこと、そのすべてを裏切られたように青野は感じていた。そして青野は「佐伯直として、俺の前に立って話せ!」と佐伯を問い詰める。
青野がまた部活に来ない。秋音はみんなで青野を訪ねた夜、佐伯が一人戻ったことを知る。最後に会ったはずの佐伯に何か知らないかと問うと、返ってきたのは「青野くんはもう来ないかもしれない」という答えだった。その言葉通り、青野は退部を考えていた。体調を崩し入院中の母に、青野はふとそのことを漏らす。しかし母は、自分のやりたいことをやってほしいと反対する。思い悩む青野は、中学時代の恩師・武田先生と街で偶然出会う。