もののがたりのあらすじ一覧
【最終回】武具一式を一単位の器として生まれた異例の付喪神にして、京都三大付喪神の一角、大具足の“挂”が兵馬の前に姿を現す。あっけなく押し負ける兵馬に対し“唐傘”の名を出してあおる“挂”。戦闘が激化する中、“薙”と“硯”が駆け付け事態は一時収束する。“挂”の目的はうわさの渦中にある兵馬にあいさつをすることであった。“唐傘”が動く原因はぼたんにあると告げる“挂”に対し、怒りをあらわにする“薙”と“硯”。そのさなか、ぼたんが現場に居合わせてしまう。
“叢原火”との戦いを終え、つかの間の平穏が訪れる長月家に京都“塞眼”の通販カタログが届く。兵馬は、対付喪神装備を発注し、受け取りに必要な適性試験を受けることに。付喪神が作った生きた衣服である装備と“関係”を築くことが必要であることを告げられ、付喪神をまとううことに難色を示す兵馬であったが、大怪我をしてぼたんを心配させないために試験を受ける覚悟を決める。装備である反物と拳で語り合うという型破りな方法で共闘関係を築いた兵馬に一同はあぜんとするのであった。
“結”とのかみ合わない連携により、“挽切(ひききり)”に大ダメージを与えることに成功した兵馬。壊れかけの“挽切”は器の役割に従って生きているにもかかわらず仕打ちを受けることに納得がいかないと主張する。器にこだわり己を生きようとしない“挽切”に、現世に生きる資格はないと告げる門守は、情けをかけることなく“挽切”を処分するのだった。“叢原火(そうけんび)”を無事討伐した兵馬は、椿もまた“唐傘”を追っていることを告げられ、手を組まないかと持ちかけられる。
“煽(あおぎ)”から聞いた“憑坐(よりまし)”という言葉の意味を確かめようと、ぼたんに「付き合ってほしい」と告げる兵馬。びっくりしたぼたんは逃げるように走り去ってしまう。“羽織”は、ぼたんを守るため秘密を知りたがる兵馬に、ぼたんを尾行するデートを持ち掛ける。そこで兵馬が目の当たりにしたのは“匣”の結界がない外の世界でぼたんに向けられる、おびただしい数の付喪神からの視線。ぼたんの異常な日常に触れた兵馬は「長月ぼたんを用いるな」という不文律と共に、彼女の秘密を知ることになる。
長月家の付喪神“薙”、“鏡”、“硯”、“結”、“匣(くしげ)”、“羽織(はおり)”、“婚礼調度”全員の支持を得られた兵馬。改めてぼたんにこれまでの非礼をわび、居候の権利を無事獲得する。和やかな雰囲気で握手を交わし和解する中、“婚礼調度”たちに呼び出される二人。中央に“寿”の酒樽(さかだる)、「旦那様候ご来臨」と書かれた幕が掛かる居間に通され、困惑する兵馬。居候の交渉の際、“婚礼調度”の本意、ぼたんの嫁入りに関する密契(みっけい)を、造兵と“婚礼調度”が交わしたことが告げられる。
長月家の付喪神“婚礼調度”との戦闘のさなか、家主の長月ぼたんが帰宅。兵馬と衝突する“婚礼調度”を叱るぼたん。人と付喪神の距離の近さを目の当たりにした兵馬は、ぼたんが“婚礼調度”にたぶらかされているのではないかと誤解してしまう。ぼたんを案ずる思いから、目を覚ますように諭す兵馬。しかし、家族同然の存在として“婚礼調度”に守られて育ったぼたんは、当然気を悪くしてしまう。居候の条件に、期限内での“婚礼調度”への歩み寄りを言い渡され、初日から塞眼の資格を剥奪される危機にひんしてしまう。
付喪神(つくもがみ)を常世(とこよ)へ送りかえすなりわい、“塞眼(さえのめ)”。塞眼御三家の一つ・岐(くなと)家の次期当主である兵馬(ひょうま)は、付喪神を手当たり次第に封じてしまう問題児だった。それを見かねた現当主であり祖父の造兵(ぞうへい)は兵馬に対し、荒療治として付喪神と共生する長月家への居候を命じる。「1年間の居候を果たさなければ塞眼の資格を剥奪する」と告げられた兵馬はしぶしぶ長月家のある京都へ向かう。付喪神に兄姉を奪われた過去から付喪神を強く恨む兵馬は、長月家の付喪神“婚礼調度(こんれいちょうど)”と初日から衝突する。