もののがたり 第二章のあらすじ一覧
【最終回】“藁座廻”天日は隼人を思わせるしぐさで兵馬に迫る。意識もうろうとなった兵馬の脳裏に、かつてまぶしく見つめていた隼人の姿がよぎる。ズタボロになった兵馬は敵である天日と対峙し、「ぼたんを守り通してみせる」と覚悟を新たに引手へ力を込める。そんな兵馬の姿を、ぼたんは真っすぐに見つめていた。門守大樹を先頭に、松太や梅吉ら京都塞眼たちも駆け付け、“藁座廻”は数的不利な状況となる。しかし、凩と吹雪は動じることなく戦闘態勢を取るが、“時雨”はある気配を察する。
“雅楽寮”と“藁座廻”が結託し、兵馬・椿と相対する。奴らの思惑は二人を供物としてぼたんを絶望させ、現人神を顕現させることにあった。思惑通り顕現させることに成功するも、想定以上のプレッシャーを放つ現人神に“雅楽寮”は恐れを覚える。“鼓”を“物”としていとも簡単に“廃棄”してしまうほどの圧倒的な支配力に、付喪神たちは身動きが取れない。兵馬は満身そういになりながらも、ぼたんを現人神から取り戻すために語り掛け続ける。その思いは結界に閉じ込められている“婚礼調度”にも届く。
“門守の麒麟児”こと椿は、狂気の笑い声を響かせ“唐傘”との闘いを楽しんでいた。一方、兵馬は“爪弾”と戦いながら、そのたくらみが何かを問い詰める。激闘を繰り広げる兵馬と椿だったが、“鼓”と“吹枝”も参戦し“雅楽寮”全員がそろってしまう。さらに、“唐傘”の仲間たちも集結し、状況はますます悪化する。ぼたんを守るために戦い、傷だらけになってゆく兵馬と椿。そんな彼の姿を目の当たりにしたぼたんの脳裏に、過去の“とある記憶”が浮かんでくる。
兵馬とぼたんは“雅楽寮”と“唐傘”がぐるであることを知る。ぼたんを引き渡すよう迫る“雅楽寮”に対し、兵馬をはじめとする塞眼たちは真っ向からその要求を拒否し戦闘が始まる。“爪弾”と“唐傘”はぼたんをさらうため、兵馬を引きはがそうと激しく攻める。兵馬はぼたんを守りながらの戦いに苦戦を強いられるが、そんな窮地に門守椿が降り立つ。すさまじい攻防を見せる椿にあぜんとするぼたんだったが、兵馬はその様子に違和感を抱く。
京都塞眼での生活になじみつつあるぼたんは、八衢のいる東京へと向かった“婚礼調度”から連絡が一向に来ないことを気にしていた。一方、塞眼たちは相次いで出現する野良付喪神の討伐に追われていた。門守松太は、やる気のない割にしぶとく向かってくる付喪神たちの様子を不審に感じ、代表である大樹に報告をする。大樹は、松太の報告から敵の狙いを察知し、事態の深刻さをみて“辛の三番”を発令する。そんな中、“婚礼調度”を乗せた車は“唐傘”に強襲されてしまう。
長月家の屋敷が破壊されてしまったため、ぼたんは門守家でかくまわれることに。ぼたんはその身を守るために門守から休学を指示され、“婚礼調度”はマレビト対策室の八衢に呼び出しを受ける。“婚礼調度”不在の間、一人残されたぼたんを守護する役割に、“雅楽寮”が付くことになる。兵馬は崩壊した長月家の屋敷を前に、“婚礼調度”に代わって付喪神の襲撃からぼたんを守る決意を固める中、薙から“守ること・誓うことの重み”を理解しているか試される。
兵馬は、宿敵である唐傘の付喪神を“婚礼調度”と“雅楽寮”と共に討伐することに成功するが、まだ心に疑問が残っていた。そんな中、長月家で外敵の侵入を防ぐために結界を張っていたはこが襲撃され、その影響でぼたんが倒れてしまう。兵馬と長月家一同は、屋敷も一部崩壊してしまったため、門守家の世話になる。そんな中、兵馬は早速椿からデートの誘いを受けるが断ってしまう。その事で門守家の長男・松太、次男・梅吉は憤慨し、兵馬は二人から5時間説教を受ける羽目に。その後、兵馬は目を覚ましたというぼたんの様子を見に行くと、思いを打ち明けられる。
サークル活動後、友人たちと街に繰り出したぼたんは、唐傘を差す不審な付喪神に襲撃され結界内に閉じ込められてしまう。兵馬はまがまがしい霊気をすぐに感じ取り、“雅楽寮”の“吹枝”と共に一同を助けに向かう。目の前の相手が兄姉の敵なのか疑念を抱く兵馬だったが、「隼人」と「鼓吹」の名前を口にしたことで敵が因縁の“唐傘”であることを確信する。激高した兵馬は周りが見えなくなってしまい、ぼたんを危険な目に遭わせてしまう。
“雅楽寮”が京都に里帰りした本当の理由は、休暇ではなく新たな指定付喪神の捜査のためだった。特例付喪神の“煽”が唐傘を差した付喪神と遭遇したと話しており、雅楽寮と羽織、匣は兵馬の兄・隼人、姉・鼓吹を殺した“岐殺”ではないかと推測する。胸中がざわつく一同をよそに、ぼたんは大学の百人一首同好会の部員獲得に奔走していたが、必死すぎる友人たちの重圧により部員候補を逃してしまう。しかし友人たちは次の標的に兵馬を定め、ぼたんへの気持ちを問い詰める。
京都三大付喪神の一角“雅楽寮”が十数年ぶりに里帰りする。全員が楽器の付喪神である彼らの本懐は「人間に音を聴かせること」。突如として路上でがい旋ライブを始めるが、その実力は確かで観客が沸き立つ。それをけげんに思う兵馬を、鏡は強引に遊びに連れ出すことに。日々、修行に明け暮れていて遊ぶということが理解できない兵馬は、鏡にエスコートされてボウリングやカフェ巡りなどに行く。一方、鏡の目的は兵馬の恋愛観を調査することだった。少しずつぼたんとの距離が縮まり始めた兵馬に、鏡は率直な思いを聞く。
“挂”に未熟と言われてしまった兵馬は、門守家に通いながら椿と修行をすることに。かつて“唐傘の付喪神”に殺されてしまった兵馬の兄・隼人、姉・鼓吹との思い出話を聞いた椿は自身が二人に愛されていたことを知り、兵馬とともに“唐傘の付喪神”を倒すことを決意する。そんな中、京都三大祭りの一つである葵祭の警備及び休暇のため、“雅楽寮”が現れる。京都三大付喪神の一角であり、全員が楽器の付喪神である“爪弾”“鼓”“吹枝”は、群衆を襲う“花傘”の付喪神を難なく制し、ただならぬ威圧感で兵馬を圧倒する。