ドッグシグナル

【最終回】ドッグトレーナーとして順調に経験を重ねてきた未祐だったが、ある日のレッスン中に、サンジュが未祐にかみつくという事件が起きる。「このままでは関係が悪化するだけだ」と、丹羽がサンジュを預かることになり、未祐はサンジュと強制的に引き離されることに。原因にまったく心当たりがない未祐だったが、自分と母親との関係を振り返るうちに、思わぬ一言がサンジュを傷つけていたことに気付く。

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未祐は鈴之介のペットクリニックでの幼犬向けのレッスンに加え、“Proud Dog”でも初心者へのトレーニングを任されるようになる。愛犬のサンジュも未祐が発するさまざまなコマンドに従うようになり、“見習い”として採用された未祐もすっかり自信を深めていた。しかし、師匠である丹羽は、そんな未祐とサンジュの様子に違和感を覚える。

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漫画家の林温之は2年前にデビューしたものの、最近はまったく企画が採用されず、さえない日々を過ごしていた。そんな温之の唯一の相棒が、デビュー直後に迷い犬として引き取った、柴犬の茶太郎だった。温之の目には、茶太郎の言いたいことが漫画のせりふのように浮かびあがり、二人はいつしか気持ちを通わせることができるようになっていた。

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愛犬について尋ねられた律佳は、亡くなった愛犬・リサラと自らの生い立ちについて、アルバイトの絵麻に語り始める。律佳の祖母が始めた犬の美容室“フォンテーヌ”に、律佳が小学4年生のときにやってきたのが、ショータイプのトイプードル・リサラだった。おしゃれにトリミングされたリサラは、律佳にとって愛すべき自慢の妹であり、幼なじみの丹羽や丹羽の愛犬・ウルソンにとってもかけがえのない存在だったという。

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将来トリマーを目指す動物専門学校の1年生の東山絵麻は、律佳の美容室“フォンテーヌ”に年末のアルバイトとして加わる。地元を離れてペットOKの学生寮に住む絵麻は、つい1カ月半ほど前にジャックラッセルのリュウタを引き取り、一緒に暮らし始めたという。ところが、パワフルなリュウタにスマホやリモコン、寝具などを壊されてしまい、すっかり困り果てた絵麻は、律佳に相談を持ちかける。

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オールドイングリッシュシープドッグのリボンと暮らす小山田さんは、定年退職後、妻から離婚を切り出され、日々慣れない家事に追われている。律佳のサロンや公園のドッグランにリボンを連れていくなど、一生懸命リボンと向き合おうとするが、肝心のリボンの身動きが緩慢で、反応も遅れがちであることに気付く。そこで、小山田さんは「トレーニング教室に通わせたい」と丹羽や未祐の元を訪れる。

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初老の男性・加藤さんは「仏壇の前から愛犬が動こうとしない」と、思わぬ相談を持ち掛けてくる。およそ1年前、大学に合格したばかりの息子・岳広さんが事故で亡くなり、それ以来、岳広さんがかわいがっていたゴールデンレトリーバーのロッキーが仏壇の前にうずくまったまま、動こうとしないのだという。幼い頃に父と愛犬を事故で失った丹羽にとって、この依頼は心理的負担が大きいのでは、と未祐は心配をする。

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トリマーの泉律佳が営む犬の美容室“フォンテーヌ”に、毛むくじゃらのシーズー・しずを連れた飼い主の敷島さんがやって来る。だが、しずはトリマーが手を近づけるとかみつこうとするため、幾つものサロンからカットを断られ続け、毛むくじゃらになってしまったという。さらにしずは、“謎の悪臭”も放っていた。なんとか愛犬をキレイにしてあげたいと困り果てる敷島さんに、律佳はトリミングをする前にとある場所を勧める。

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ウルソンは「Proud Dog（プラウドドッグ）」で突然くしゃみをしはじめる。するとそこに、かつて未祐にサンジュを押しつけていった元カノ・優子が現れ、いま飼っている、ひときわ小型のトイプードル・ティアラのしつけをしてほしいと言ってくる。キツい香水の匂いを振りまき、ハイヒールに、ペット用ではないバッグでティアラを持ち運ぶ姿を見て「犬はおもちゃじゃない！」と未祐は憤り、犬と過ごすために大切なことを伝えていく。

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ストレスで食事を食べなくなってしまった、ヨークシャーテリア・はな。丹羽は、飼い主の浅沼さんに、あえて“トレーニングしない”ことを提案する。普段は飼い主に遠慮なく改善要求をつきつける丹羽が「トレーニングをしない」と言い出したことに未祐は驚く。その意外な発言の背景には、愛犬・ウルソンに関わる過去の苦い体験が隠されていた。

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3歳のヨークシャーテリア・はなと飼い主の浅沼さんが、丹羽と未祐の元にカウンセリングにやって来る。はなが食事の時にご飯を部屋のあちこちに隠してしまう行為をやめさせたいという。丹羽はその原因を「一緒に暮らしている浅沼さんの子供たちに食べ物を取られたくないからではないか」と推測する。丹羽は解決法として、はなの食事の回数を増やしたり、子供たちと別の部屋で食事させることを提案する。

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ドッグトレーナー・丹羽の元で、サンジュは江口さんのレオ、小塚さんのココといっしょにトレーニングを受ける。「おすわり」や「フセ」など飼い主からのコマンドを順調にクリアしていくレオやココと比べ、いまだに一度もコマンドを聞いてくれないサンジュに未祐は焦りを募らせていた。丹羽がアドバイスしようとするも、未祐は「自分で考えてトレーニングしてみたい！」と主張して、愛犬・サンジュととことん向き合うことにする。

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丹羽は師匠・藤原との対立から立ち直る様子を見せ、未祐は“なりたいドッグトレーナー像”に向かってまい進する。この日、二人が働くトレーニング教室に、ダルメシアンの久美を連れた飼い主の角田さんという新しい客がやって来る。角田さんは久美が自宅でインターホンが鳴るたびに激しくほえて鳴き止まず、人に勢いよく飛び掛かることに悩んでいた。しかし目の前にいる久美はとてもおとなしく、未祐は不思議に思う。

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未祐は、律佳から丹羽の過去を聞く。丹羽が子供の頃に、父親と愛犬を失ったこと。律佳や鈴之介と共に通った動物専門学校で敬愛する師匠・藤原誠二に出会い、理想のドッグトレーナーを目指して腕を磨いていたこと。そして、その藤原が丹羽の身を守るためとはいえ、犬に体罰を与えてしまい二人が決別したこと。話を聞き、丹羽がふさぎ込んでいた理由を知った未祐は、ある場所へ向かう。

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一人の女性が一通の紹介状を携えて丹羽の元にやって来る。その紹介状の差出人は、“藤原愛犬訓練所”の所長・藤原誠二だった。丹羽はひどく動揺し、客の応対も充分せぬまま部屋に閉じこもってしまう。未祐は、以前、未祐たちが出掛けたディスクドッグの大会の会場で、丹羽に声を掛けていた怪しげな風貌の男が藤原ではないかと感づく。未祐は少しでも力になりたいと、事情を探るため律佳の元を訪ねる。

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丹羽のトレーニング教室は少しずつ客が増え、にぎわいを見せる。この日はおどおどした様子のミニチュアダックスフンドのココと、飼い主の小塚さんがカウンセリングにやって来る。家を空けようとするとココが鳴き出してパニック状態になってしまい、留守番ができない状態に悩んでいた。ココは“分離不安”なのではないかと、丹羽と獣医師・久宝鈴之介に訴える。

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三宅さんが飼い犬の悩みを相談しにやってくる。愛犬のボーダーコリーのリコシェは、散歩中に車やバイクが通りかかるとその場でグルグル回り出してしまい、危険なのでやめさせたいと話す。三宅さんが夫と娘の3人家族であることを知った丹羽は、家族全員そろってのトレーニングが必要だという。ところが三宅さんの表情は思いつめているようで、未祐は違和感を覚える。

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元カノから押し付けられた未祐の愛犬に、フランス語で“猿”を意味する「サンジュ」という名前が付けられる。無事に名前が決まり、ようやく丹羽のトレーニングを受けられることに。しかし、サンジュは未祐のコマンドを聞く様子が見受けられず、トレーニングに集中できていない。そんな振る舞いを見た丹羽は、サンジュがそろそろ“去勢手術”を考える時期にあることを伝える。

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ドッグトレーナー・丹羽の魔法のような技術に魅せられ、未祐はトレーニング教室「Proud Dog」で働くことになる。早速、教室を訪ねるが、そこは開店休業状態で、丹羽は腕は良いのに全く働く意欲を見せない。その様子に幼なじみでトリマーの泉律佳もいらだちを隠せずにいた。「キミも給料もらえなきゃ困るでしょ？」と発破をかけられた未祐は、教室にお客を呼び込むためのある案を思い付く。

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元カノから押し付けられた愛犬の世話に手を焼く主人公・佐村未祐は、ある日腕利きのドッグトレーナー・丹羽眞一郎に窮地を救われる。これまで優柔不断に生きてきた未祐だったが、丹羽との運命的な出会いをきっかけに、イヌと触れあう面白さやドッグトレーナーという仕事に引き込まれていく。

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