新米オッサン冒険者、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。のあらすじ一覧
【最終回】拳王トーナメント決勝戦のさなか、ブロストンは自らの孤独な生い立ちと“オリハルコン・フィスト”創設の経緯、そして対等な実力者と殴り合いをしたいという夢をリックに語り始める。リックは冒険者になるという夢のために付きっきりで修業をつけてくれたブロストンの思いに応えることを決意し、二人の戦いは防御と回避を捨てた純粋な殴り合いに突入する。魔力も体力も尽きたその時、ついにリックの固有スキル“蛮勇覚醒”が発動する。
ブロストンが決勝の対戦相手に決まり、リックはあまりの恐怖から部屋に立てこもってしまう。あの手この手で出場するよう説得する一同の中、ミゼットはブロストンの内に秘めた願い、リックをここまで鍛えてきた理由を語り出す。アリスレートやアンジェリカの励ましも受けてブロストンに立ち向かうことを決意したリックに、試合直前、リーネットが“ある言葉”を掛ける。拳王トーナメント決勝戦、S級同士の師弟対決が始まる。
準決勝第二試合は、三連覇中のチャンピオン・ケルヴィン対ブロストン。ケルヴィンはブロストンを人生最強の相手と称えるが、ブロストンからは「おまえの拳には迷いが見える」と指摘されてしまう。翌日に試合を控え街外れで練習に励むケルヴィンは、偶然通りかかったリックに強引に手合わせを申し込み、その実力を認めると全力で戦えない理由を語り始める。絶対王者と呼ばれる彼は、強さと引き換えにある苦悩を抱えていた。
アンジェリカは厳しい修行の末、リーネットから習得した身体操作の奥義“糸斬り”でギースに一矢報いる。そのまま優勢かと見えたが、ギースの拳闘士としての才能はアンジェリカの現時点の実力をはるかに上回っていた。戦闘不能のアンジェリカを一方的になぶるギースに、リックの怒りが頂点に達する。準決勝のカードはリック対ギース。アンジェリカに「お前の修行のその先を見せてやる」と告げて、リックは闘技場へと向かう。
アンジェリカは、死が垣間見えるほど過酷なリックの修行から逃げ出してしまう。その気持ちが痛いほどよくわかるリックは、かつて自らがブロストンから受けたある教えを伝える。その言葉で修行を再開したアンジェリカに、リーネットは「素手を剣にする」という技を伝授する。修行に耐えきったアンジェリカは圧倒的な力でブロックリーグ最終戦に勝利し、予選突破を決める。16人が出そろい、いよいよ拳王トーナメントが始まる。
アンジェリカはトーナメントの予選を勝ち上がる。リックとブロストンも国中の闘技場で開かれる試合を非常識なスピードでこなして予選を突破し、ブロックリーグへと進む。そんな二人の異例の活躍を知ったチャンピオンのケルヴィンは、不敵な笑みを浮かべていた。一方、リックは裏社会との関係をうわさされるトーナメントのスポンサーであるスネイプと出会う。アンジェリカと親しい仲だというスネイプの言葉を、アンジェリカは否定する。
リックたちは「六宝玉」を求め、闘技大会でにぎわうヘラクトピアにやって来る。拳王トーナメントのチャンピオンベルトに「六宝玉」の一つがはめ込まれていることを知り、三連覇中のチャンピオン・ケルヴィンと交渉するも決裂。ベルトを手に入れるため、リックとブロストンはトーナメントへの参加を決め、出場資格を得るためのテストを受けることに。そこで、リックの前に立ちはだかったのは、かつてEランク昇級試験で決闘したアンジェリカだった。
リックを鍛え上げた最強パーティー“オリハルコン・フィスト”に興味津々なローロットは、彼らが集う城に遊びに行きたいと願い出る。城を訪れ、規格外なパーティーメンバーたちにほんろうされながらも次第に打ち解けたローロットに、ブロストンはパーティーの目的を告げ、その鍵となる“六宝玉”の情報収集を依頼する。ローロットの情報を元に北方の街を訪れたリックたちは、たまたま居合わせた新人冒険者レイと共にワイバーン討伐へ向かう。
合格発表を待つ間、リックは“ヤマト伝説”に憧れた少年時代を思い出していた。英雄ヤマトも持っていたという固有スキルの因子が見つかり、冒険者になると宣言したリックだが、スキルが発現することはなく日々が過ぎていく。やがて夢を諦めてギルド職員として働き始めたリックは、冒険者となり経験を重ねていく友人に言いしれない思いを抱きながら見守っていた。そんな時、圧倒的な戦闘力を持つSランク冒険者リーネットと出会う。
“オリハルコン・フィスト”の先輩たちが見守る中、リックは“Fランクつぶし”ラスター・ディルムットが立ちはだかる模擬戦に挑む。17歳でAランク冒険者になった天才ラスターと、30歳から冒険者を目指した出遅れの新人リックの力の差は明らかだと思われたが、ラスターが冒険者になった理由を聞いたリックは、ラスターには絶対に負けないと宣言する。戦いの中で、最強のパーティに鍛え上げられたリックの実力が明らかになる。
一次試験の結果発表を待つリックとリーネットの元に、二次模擬戦試験官の一人で“Fランクつぶし”の異名を持つラスターが現れる。しつこくリーネットをナンパするラスターを制止したことで、リックは彼の恨みを買うことに。一方、模擬戦でリックを担当予定の試験官ローロットは、30歳を過ぎて冒険者を目指したリックに共感し激励に訪れる。模擬戦の直前、リックはフリードのたくらみによってラスターの手下に取り囲まれてしまう。
若者たちでにぎわうEランク昇級試験会場に、30歳を過ぎてギルド事務員から冒険者に転職したリック・グラディアートルの姿があった。試験官や受験者たちから年齢や魔力量の少なさを馬鹿にされながらも、大陸最強のパーティ“オリハルコン・フィスト”による訓練を乗り越えてきたリックは次々と試験をクリアしていく。だが、同じ試験を受けていた“神童”フリードに逆恨みされ、その姉アンジェリカから決闘を申し込まれてしまう。