戦国妖狐 千魔混沌編のあらすじ一覧
万象王があふれさせた水は大地を覆い、瞬く間に戦場を洗い流す。あらためて万象王に挑みかかるムドだが、軽くあしらわれてしまう。それどころか、万象王はムドを相手にせず、道錬と神雲の戦いを観戦し始める。その頃、道錬と神雲の戦いも佳境を迎えようとしていた。極限まで研ぎ澄ませた道錬の拳は一条の光となり、若かりし日に道介、雲蔵と呼び合い、互いの技を鍛え合っていた頃の記憶を呼び覚ます。
無の民の指示に従わず、神雲は道錬との対決を望む。二人から激しい闘気が立ち上り、戦いを見守っていたたまたちをも圧倒する。一方、無の民は、道錬と神雲の戦いには構わず、千夜に闇たちを差し向ける。膨大な数の闇たちの攻撃に、千夜は徐々に押されていく。だが千夜の肉体は消耗しつつも、霊気は止めどなく湧き水のようにあふれ出していた。「操られている全ての闇たちを救いたい」という真理にたどり着いたとき、千夜はさらなる高みへと向かう。
無の民が千夜との決戦の地に選んだのは、8年前に激戦が展開された断怪衆総本山だった。断怪衆僧正・印河は、千夜、ムド、道錬の3人の闘気が、闇の大群に匹敵する力があると感じ、本山奪還への希望を見出す。千夜らは、それぞれが因縁を持つため、「最初に出会った者が神雲と戦う」という取り決めを交わし、総本山へと突入する。無の民に操られた闇の兵たちを退けながら、3人は総本山を突き進んでいく。万象王を追ってきたたまも加勢するが、そこに現れたのはたまがもっとも戦いたくない相手だった。
万象王という移動基地を手に入れた無の民は、各地の闇を洗脳し、闇の軍団を組織する。無の民は猩々たちも取り込もうと万象王を差し向けるが、その前に立ちはだかったのは道錬とムドだった。だが万象王の懐に飛び込んだムドは、予期せず同じ龍族のナダレと遭遇、返り討ちに合ってしまう。辛くも逃げ切った道錬とムドは、タゴの導きで龍の気配をたどってきた千夜と再会する。一方、無の民はさらに軍を増強すべく、闇の群れを求めて岩の闇の村へと向かう。
千夜は山の神に捕らえられていた野禅から、迅火を人間に戻す方法を告げられる。迅火の結界を破るカギは移動可能で、土地神に匹敵する能力を持つ者だった。一方、無の民は、千夜との戦いには基地となる移動要塞が必要だと考えていた。両者の思惑に合致するのは、雲の闇・万象王の力だった。一度村に帰った千夜一行だったが、千夜は無の民が起こす事件の要因は自分だと考え、一人で村を旅立ってしまう。その頃、たまは一足先に単独行動で万象王を捜索するが、恐るべき事実を突きつけられる。
たまと合流を果たした千夜と月湖だったが、一行が目の当たりにしたのは千本妖狐となった迅火の姿だった。迅火は海神の力を自らのものにし、周囲に強力な結界を張り巡らせてしまう。結界を突破する方法を探るべく、一行は占い師・八卦猫の元を訪れるが、狂神と化した泰山が突如現れる。なうの助けにより、千夜は幽界干渉を発動し泰山を解放する。そして、仲間に加わった泰山と共に旅を続ける千夜たちの前に、銀髪の一族を探す犬の闇(かたわら)が姿を現す。一方、強くなりたいと悩む月湖に危険な影が忍び寄る。
ムドとの戦いを終えた千夜は、無事月湖や真介たちと合流を果たす。回復に専念する千夜たちだが、華寅の術により、真介と斬蔵はその地から離れられないことが発覚する。また、予期せずに無の民が襲撃を仕掛けてくる。無の民と武でなく対話で向き合うことを決めた千夜は、幽界で彼らの真の目的を知らされる。封印されている父を助けるため、守りたいものを守るために、千夜と月湖は華寅に修行をつけてもらうことに。
一行の前に現れたのは、テルさんこと室町幕府第十三代将軍・足利義輝だった。義輝は、京の大土地神・華寅を千夜たちに引き合わせる。華寅は、狂神と化した自らの分霊(わけみ)を止めてくれた千夜をねぎらい、自分を責めるなと伝える。それでもなお、戦ったことを後悔し続ける千夜だったが、義輝の常識にとらわれない考え方に触れ、自分の持つ力について改めて考え始める。だが、千夜の気持ちが変わり始めたのもつかの間、京にムドが襲来し、月湖をさらって行ってしまう。
千夜と狂神との戦いにより、月湖の父が亡くなり、村は壊滅的な被害を被る。真介と千夜は誰にも知らせずに村を去ろうとするが、月湖が同行を申し出る。やむを得ず月湖を加え、旅の途中で出会った謎の闇・なうと共に、一行は京へ向かう。戦いで人の命を奪ったことに苦しむ千夜は、内なる千の闇たちの声をさえぎり「俺はもう戦わない」と決意する。だが、黒龍・ムドが天空より急襲し、千夜に代わって戦った月湖がさらわれてしまう。
断怪衆総本山での戦いの後、真介と千夜はとある村に身を寄せていた。千夜は全ての記憶を失っていたが、「これは人生をやり直せという天の采配」と真介は考え、千夜を普通の子供のように扱う。そして千夜は、村の娘・月湖との関わり合いのなかで、徐々に子供らしさを取り戻していく。そんなある日、闇の集団が夜の闇に紛れて村の子供たちを拉致し、絶体絶命の危機に陥る。だが、千夜に融合された千体の闇たちが目覚める。