ばいばい、アースのあらすじ一覧
【最終回】飢餓同盟の闇に飲み込まれ、アドニスは首魁ドランブイの歓迎を受ける。ベルの“唸る剣(ルンディング)”を始め、あまたの名剣を生み出した剣作家の彼女は、アドニスのためだけの剣“錆びた爪(ラスティネール)”を作り、彼に与える。さらに、旧知のシアンを呼び寄せ、剣の修行をつけさせる。アドニスは戸惑いながらも徐々にドランブイとその闇の温かさに心酔していく。そしてベルが“理由(ことわり)の少女”と呼ばれる由縁にも近づいていく。
三つの使命を終えたベルはローハイド王の元へ赴き、改めて“剣の国”を出て旅の者になることを宣言する。しかし、いざ旅の扉の鍵を前にしたベルは、まだ自分が旅への準備ができていないことに気づかされる。一方、アドニスは舞踏会での出来事から、ティツィアーノとキールが“魔(ニドホッグ)”に落ちた原因が自分のせいではないかと思い至り、失意の底に沈んでいた。懐疑を問うため、アドニスもまた王の元を訪れる。
シェリーから城の舞踏会に招待されたベルは、ドレスを照れくさく感じながらも、キティに誘われ広間で踊る。一方、ガフはアドニスを連れ出し、ティツィアーノ討伐戦の際、カタコームの管理者であるアドニスの父親を、神言に従い倒したことを告げる。すると、父親の形見の剣を巡り、アドニスはガフに決闘を申し込む。だが、そこに突如キールが現れ二人を襲う。まるでかつてのティツィアーノのように正気を失い猛るキールは、広間のベルへと迫る。
多くの犠牲を出したティツィアーノ討伐戦は終結し、都市は浄化の雨に包まれた。そんな中、ベルは傘の開き方も知らない女性シェリーと出会う。シェリーは城の筆頭歌士であり、ガフの婚約者、そしてローハイド王の娘であった。世話になった礼をしたいというシェリーの申し出に、ベルは彼女の歌を希望する。一方、キールの元を訪れたアドニスは自分が「剣を砕かれた剣士の元を訪れる王の試者(エグザミナー)」であることを打ち明ける。
ティツィアーノを倒すため、“正義”と“悪”とが手を組んだ異例の混成楽隊が編成される。“悪”陣営のジンバックが指揮者、旅の者のキティ=ザ・オールが演出家を務め、“正義”の脚本家ギネスが全三幕にわたる壮大な戦略を練り上げる。だが、ティツィアーノと彼女の死兵たちは非常に手強く、混成楽隊は多くのものを失う壮絶な死闘を繰り広げる。そして、彼らは最終幕の舞台として、カタコームの死の花園“天道墓地”を目指す。
ティツィアーノが根城とするカタコームの洞窟を進む“正義”の楽隊だったが、結束力に欠け、早々にわなにかかり散り散りになってしまう。ベルは討伐隊の演出家である水族のベネディクティンと落ち合うも、彼女の恋人であるはずの仲間に襲われる。ティツィアーノは倒した相手を死兵として操る能力を持っていた。危機一髪で逃れたベルたちは、他の生き残った面々とも合流するが、そこでアドニスが予想外の提案を持ち掛ける。
ベルは最初の使命を終え、“悪”の陣営からも一目置かれる存在となる。ある日、四大剣士の一人でありながら“剣盗人”とも呼ばれる訳ありの剣士アドニスと知り合う。二人は城からの招集により、消息不明の水族(マーメイド)ティツィアーノが“悪”側に落ち、“正義”への復しゅうを企てていることを知る。そんな中、ローハイド王の命で三楽隊からなる大掛かりなティツィアーノ討伐隊が編成されることとなり、ベルとアドニスも選抜される。
ローハイド王に謁見したベルは、四大剣士の一人キールとの剣闘を言い渡される。しかし剣士にとって手足同然に大切な剣を砕くベルのやり方は、観衆の反感を買ってしまう。ベルは王からは認められ、旅の者(ノマド)になるための三つの使命を待つよう言い渡される。やがて下された初めての使命はジンバック率いる“悪”の剣士の襲撃から都市の人々を守ることだった。ベルは狙われた場所が彼女の養父母の住む街であることを知る。
ベルは城のある都市を目指す。途中、“悪”の剣士たちに斬られそうになっていた長耳族(ラビッティア)の子供を助けるが、決闘許可証なしに剣を振るったことで投獄されてしまう。やがて兄弟子であり“正義”の四大剣士の一人、シャンディ=ガフにより牢獄から解放されたベルは、ガフのはからいでローハイド王との謁見を許される。一方、都市には“正義”でも“悪”でもない影法師集団の飢餓同盟が現れ、人々を不安にさせていた。
この世界で唯一の人間の少女ベルは、師シアンの命でチェイサー湖に出現した巨大生物の撃退に向かい、湖の周りの種族たちを助ける。しかし、種族的な特徴を何一つ持たないベルは奇異な目で見られていた。唯一の友はかつて“剣の国”で出会った大剣“唸る剣(ルンディング)”だけだった。どこかもの寂しさを感じていたベルが自分のルーツを探すため旅に出ることを決意すると、シアンは師としての最後の試練として自分と戦うことを命じる。