杖と剣のウィストリアのあらすじ一覧
【最終回】“杖”と“剣”に導かれるまま、ウィルはシオンの火炎魔法を剣に取り込み、「炎貴の魔剣(イグニス・ウィース)」と唱えグランドデュークを一刀両断する。駆け付けた“至高の五杖(マギア・ヴェンデ)”光皇の杖(マステリアス・ノア)、アロン・マステリアス・オールドキングの遠征隊に助けられ、ウィルたちはダンジョンから脱出する。ウィルは学院に戻っても、魔剣を手にしたときの感覚とアロンのかたわらにいた少年・フィンのことが忘れられないでいた。激闘を繰り広げた者たちにしばしの休息が与えられる中、学院最後の卒業試験が始まろうとしていた。
謎の魔導士たちが怪物イヴィル・グランドデュークを召喚し、10層の床を破壊する。さらに無数のモンスターに包囲されるという絶体絶命な状況に陥る。それでもウィルは「戦おう」と告げる。彼を信じて全員で魔法攻撃を仕掛けるも、イヴィル・グランドデュークにはいまだ及ばない。恐怖と戦いながらも立ち上がったウィルは、勇気を出して敵に向かい駆け出す。ウィルはコレットの魔力から生み出された巨剣を振り下ろし、イヴィル・グランドデュークの翼をたたき斬る。
ウィルたちは謎の巨大モンスターによって10層から11層に落とされてしまう。ここから先は学院の管理外であり、“塔”の領域の危険地帯だった。11層でウィルと二人きりになったイグノールは、自分はエルフの落ちこぼれだと語り出す。“至高の五杖(マギア・ヴェンデ)”の一人、エルノール・リヨス・アールヴはイグノールの乳兄妹だった。親しい者のために“至高の五杖(マギア・ヴェンデ)”を目指すイグノールに、ウィルは自分の姿を重ねる。その頃、コレットとリアーナの前に、闇の魔力をまとった二人組の魔導士が現れる。
リアーナ、イグノール、ユリウス、シオンにウィル。そしてコレットも追随しての総合実習が始まる。それは普段は行けない7層以下で高単位のモンスターを倒す、危険なサバイバル実習だった。リアーナたちの能力が高すぎるあまりにお荷物となっていたウィルだが、それでもくじけずに自分ができることを探す。目標の敵“赫灼のナベルス”を探して10層にたどり着いたウィルたちだったが、そこで大量のモンスターが死骸と化しているのを目にする。そして、さらにはナベルスも屍となっていた。
ドワーフたちの名誉を懸け、ユリウスと戦う決意をしたウィルはコレット、シオンと小隊を組んで魔導大祭へ出場する。大祭当日、エルフが魔法で作り出す五つのフィールドを舞台に、3人1組で祭壇の王冠を奪い合う競技“奪冠(クラウン・アタック)”で勝負することに。コレットの魔法に自身の驚異的な腕力を掛け合わせて順調に進んでいくウィルの様子に、会場は騒然となる。一方、コレットに頼まれて渋々ウィルのチームに加わったシオンは、ダンジョンでウィルに助けられた屈辱を抱え込んでいた。
ウィルの友人コレット・ロワールやシオンは実技試験に軽々と合格する。そして学年トップ3であるリアーナ・オーウェンザウス、イグノール・リンドール、ユリウス・レインバーグにいたってはすでに1万を超える単位を取得していた。一方のウィルは卒業に必要な単位数すら満たしておらず、塔からスカウトが押し掛ける魔導大祭では活躍も見込めない。そんな大祭を控えたある日、ウィルがアルバイトをするドワーフ族ジーナの居酒屋に、ユリウスがやってくる。
深窓の氷姫・エルファリアから学院全体への勅令オーダーが出る。「フロスト・ウォーカーの氷核を採取せよ」という依頼に挑もうと、ルームメートの魔工師ロスティが作ったマジックアイテムを手に、ウィルは討伐に向かう。ダンジョン内で出会ったアイリスと共にダンジョンを進むウィルは、“探知サーチ”の魔法の代わりに知識と知恵、経験から“大物”の気配を探り当てる。相手の弱点を熟知した戦い方をするウィルを見て、アイリスは驚嘆する。
学院内では、優等生のシオン・アルスターが強敵を倒した話題で持ち切りになる。しかし真の討伐者がウィルであることを、シオンと一部の教師たちだけは知っていた。その事実を知ってもなお、教師のエドワルドは、魔法が一切使えないウィルの存在を認められずにいた。エドワルドは、かつて“至高の五杖(マギア・ヴェンデ)”に限りなく近づき、闇蛇(あんじゃ)と呼ばれ恐れられている魔導士だった。そんな彼が学院教師として、ウィルのみに特別な課題を用意する。
リガーデン魔法学院6年のウィル・セルフォルトは、“筆記のみの優等生(ラーナー)”だった。初歩的な魔法すら使えず、学院の落ちこぼれとみんなに見下されている。幼なじみのエルファリアとの約束を守るため、魔導士として最強の称号“至高の五杖(マギア・ヴェンデ)”を目指しているが、その道は果てしなく遠い。ある日、いつものようにダンジョンでモンスターを倒して単位を稼いでいたウィルは、自分をさげすむ同級生のシオンたちが、本来であれば低層階(フロア)にいるはずのない強敵に襲われている場面に遭遇してしまう。