「間に合えばいいんだけど」という浩一に満が怒る
夜になって浩一から連絡が入り、バックに病院の呼び出しの声が聞こえる。満が病院に走って駆けつけると、浩一がぽつんと椅子に座っていた。
浩一は「ここ居心地がいいんだ、赤ちゃんの近くにいると楽なんだ、身体が。やっぱ吸い取っちゃってんのかな…」と話す。満は浩一の頬をつつき、やさしくバカという。そして「鏡屋の話、今したばっかだろ。お前が奪うんじゃなくて相手がくれるんだ」と諭した。
赤ちゃんから生命力を感じるという浩一に、満が「もうじきたくさんくれる弟か妹が生まれるじゃん」と励ますと、「うん、間に合えばいいんだけど」と浩一は伏し目がちに言う。満は浩一に向き直って、なんだそれときつく言い放つと、浩一は「怒んないでよ、みっちゃん」と言った。思わず怒ってしまう満の気持ちも、満を思うがゆえにやるせない浩一の気持ちも痛いほどわかって涙が出る。
そこに看護師がやってきて満に話しかける。看護師には浩一が見えていないようで、「見えないのもたまには便利なんだよ」と浩一は言った。満は浩一が消えゆく運命にあることが受け入れられず、浩一は運命を悟って受け入れているようすが切な過ぎる。
浩一は立ち上がって満の反対側に座り直すと、満の顔をじっと見つめて微笑み、そっと満のほっぺたにキスした。満が驚いて「バカ!こんなところで」というと「な、見えないのもたまには便利だろ」と浩一はほほ笑む。かわいいキスが尊くてキュンとするが、限界が近づいている浩一のほうが満を慰めている姿が切なすぎて、とめどなく涙が溢れた。
構成・文/牧島史佳
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