観客からの質問に回答
そして、SNSの質問に答えた後は、会場に集まった観客とのティーチインが行われた。
――フェスでの歌唱シーンで、何度も歌っていたアイナさんはどのように気持ちを維持していましたか? また、岩井監督が本編で使用したシーンの起用理由をお伺いしたいです。
アイナ:あの日の岩井さんは覇気王だったんですよ! 粗品さんとか(村上)虹郎くんのスケジュールもあって、その日しか撮影できないのに雨予報だったんです。だから絶対に晴れてほしいと思っていたし、岩井さんもそう思っていたんです。
すると撮影が始まった瞬間に、岩井さんがいつもと違うオーラを放っていて! いつもは柔らかいオーラで、お父さんみたいな優しさがあるのに、その日はどこかヒリヒリするオーラで。そのおかげで、負けてられない、妥協は許されないという思いが湧いてきて、岩井さんの覇気に刺激を受けて、気合を入れて歌っていました。そしたら晴れたんですよ!!
岩井監督:歌い出すと風が吹いてきて、木の葉が舞ってきて。本当に良い瞬間になりましたよね。
アイナ:岩井さんの覇気が空に届いていたんだ。覇気をコントロールしたんだなって思いました。
岩井監督「アイナさんが歌うシーンは“幸せ”と思いながら撮影した」
最後にアイナは「キリエとして役をいただいてから、1年半以上経ちました。頭の中にずっとキリエがいました。公開してからいなくなると思っていましたが、まだいます。自分の人生にとって『キリエのうた』は、とてつもなく大きい影響を与えてくれたと思う日々です。岩井俊二さんに見つけていただいて、今日も”あなた”と出会えて、私はうれしいです。よかったら何度も何度も劇場に足を運んでくれたら、キリエが待っています。映画の中で、みんな生きています。また映画の中でも会えたらうれしいです。本日はありがとうございました」とコメントした。
岩井監督は「2年前にアイナ・ジ・エンドという方を知り、知れば知るほどすごい才能の持ち主だなとほれ込んで。アイナ・ジ・エンドの映画を作るんだ!という気持ちが興奮冷めやらぬまま撮影に挑みました。そこに松村北斗という光り輝くスーパーノバのような才能がやってきて、広瀬すずというまた違う重力を持った才能がやってきて、黒木華というまた違った才能もまた入ってきて。本当に熱量の高い撮影でした」と撮影時を回顧。
続けて「何よりアイナさんが歌うシーンがある日は、『誰よりも先に聞ける!』というファン心理で“幸せ”と思いながら撮影したりと、アイナさんと一緒に長い旅をしながら作品を作り上げたという思いで、胸が熱くなります。ここからは、腰を据えて、ゆっくりお付き合いいただいて、『キリエのうた』をまだ見ていない方が周りにいたら、『見た方が良いと』と何度も言っていただけると、10年後くらいにはアイナさんの歌声がいろんなところに届くと構えております。旅はまだ長いですが、しばしお付き合いいただけたら」と思いを込めて語り、イベントは幕を閉じた。