シリアスで緊張感のある会議シーンが見どころ
さらに会議は続く。ディアブロ(CV:櫻井孝宏)からファルムス王国攻略の進捗報告があり、こちらは計画通りとのこと。ひとつだけ気がかりなのは、レイヒム(CV:藤井隼)が神聖法皇国ルベリオスから戻ってきていないこと。この話題をきっかけに、会議のテーマはテンペストを滅ぼそうとする一連の事件や戦争の首謀者、つまり黒幕探しへと移っていく。シュナ(CV:千本木彩花)は、ヒナタがリムルを襲ったのと同時にテンペストが襲撃を受けたことを関連付け、さらにはクレイマン(CV:子安武人)の行動も含め、それらすべての裏には「あの方」が関与しているのではないかと推測し、明確な敵であると主張する。リムルはその話に耳を傾けつつも、ヒナタが誰かの命令で動いていることは考えにくいとの疑問を抱くのだった。
前半までのほのぼのした雰囲気から一転、シリアスで緊張感のある会議シーンへと突入する。同じメンツでも話題によってここまで変化するものかと驚かされつつも、これが本作の醍醐味であることを実感する。ヒナタの危険度を知りながら「ここで雌雄を決しておきたい」と息巻くベニマルの勇猛さやシュナの「敵」発言、黒幕の動きを視野に入れた対策を取るべきと進言するハクロウなど、様々な意見が飛び交うなか、自分の直感にしたがって違和感を追求するリムルの姿が印象的だ。場の雰囲気に流されずに新たな問題提起をすることで議論が深まったことを思えば、密かなファインプレーだろう。我々がふだん行なっている会議の場でも見習うべき姿勢かもしれない。
ラファエルさん、黒幕の正体に迫る
会議もいよいよ終盤戦。ヒナタを軸としてさらに黒幕の真相へと迫っていくリムルたち。なかでも智慧之王(ラファエル)のサポートは手厚く、リムルの思考を先読みするかのように解説や推測を提供し続ける。ラファエルの見立てでは、すべての出来事がひとりの黒幕によるものとは考えにくく、事態はもっと流動的とのこと。その意見に賛同するリムルや一同は、断定は避けつつも、黒幕はひとりではないという結論に至る。こうして、長かった幹部会議はようやく幕を降ろすのだった。
終盤、テンペストを巡る一連の事件の黒幕を探っていくリムルたちは、ラファエルの見事な解析のおかげもあって、真相にかなり近いところへと着地する。これにはSNSでも「ラファエルさん無双!」「名探偵ラファエルやんw」などの声があがっていた。ちなみにこの「真相」については、第50話で各勢力の思惑が詳細に描かれているだけに、視聴者にとっては周知の事実。それだけにここでは、「リムルたちがどこまで真相に迫れるのか?」というのが興味の焦点となっており、さながら『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』シリーズのような展開とも言える。ちなみに、あらかじめ視聴者に提示されている「答え」に対して、主人公側がどのようにしてそこにたどり着くのかを描いた作品のことを「倒叙もの」と呼ぶ。この一連のシーンはまさにそんな「倒叙もの」の魅力に溢れていて、推論を重ねたリムルたちが「真相」に迫った瞬間は、思わず拍手を送りたくなる。今回はさすがにユウキ・カグラザカ(CV:花江夏樹)の存在までには届かなかったが、彼にたどり着くのも時間の問題かもしれない。さて、こうして実りある幹部会を終えたテンペストだが、ラストシーンではヒナタが登場。どうやら来週はヒナタ側の視点で新たな会議が描かれそうだ。次回第53話「両翼会議」は5月3日(金)放送予定。期待して待とう!
■文/岡本大介
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