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脚本家・高橋悠也が語る「天使と悪魔」の裏側(3)

2015/05/08 06:00

「天使と悪魔-未解決事件匿名交渉課-」の脚本を務める高橋悠也氏
「天使と悪魔-未解決事件匿名交渉課-」の脚本を務める高橋悠也氏

毎週金曜に放送中の剛力彩芽主演ドラマ「天使と悪魔-未解決事件匿名交渉課-」(夜11:15-0:15ほか、テレビ朝日系)。“天使のような警察官”・ヒカリ(剛力)と、“悪魔のような弁護士”・茶島(渡部篤郎)がタッグを組んで未解決事件を解決する本格ミステリーだ。

同作を手掛ける脚本家・高橋悠也氏が「天使と悪魔-」の裏側を語る最終章。今回は脚本が生まれる瞬間や、後半の見どころなどを語ってもらった。

悪魔のような弁護士・茶島というキャラクターだが、そんな悪魔の中にも天使のような面が垣間見える瞬間も。

「プロデューサー・脚本陣が企画の意図を全話通した本作りの中に投影し、天使と悪魔の2人が出会ったことによって化学反応が起きていくさまが描かれています。物語上はまだ出てきていませんが、茶島にも人を信じて疑わない時期があったんです。でも、世の中の裏側を知り、人の裏の顔を知った上で、悪魔のようなキャラクターへ変貌していって、今の茶島になった。

誰だって天使だった時期もあれば、悪魔のようになっていく時期もあると思うんです。単純な二元論ではなく誰もが天使と悪魔の両面を持ち合わせている。このドラマにおける登場人物みんなにそういう要素を持たせて、人間の深い心理を描いていきたいと思っています」

そんな中、ヒカリや茶島のファッション、茶島の持つ車、小道具なども細部にわたってこだわりが感じられるセットとなっている。

「セットに関しては、美術スタッフさんが物語の意図をくんでくださって見事に表現しています。面白いなと思ったのは、白いところに黒いものがあれば黒いものが目立つように、“天使の空間”のような上品な茶島法律事務所の中に茶島がいるからこそ悪魔な茶島が目立つよう計算された作りになっているところ。

天使の空間だったら普通は笑顔で人当たりのいい人がいそうなんですけど、その場に似つかわしくない茶島のお芝居があればキャラが引き立ちますし、反対に押し込まれた狭い場所で、ヒカリのようなキャラクターがいれば引き立つ。まさに黒いところに白があると目立つ、そういうコントラストができたセットになっています。その他で注目すべきアイテムと言えば、茶島が乗る高級車ですね」

超高級車を劇中でヒカリと茶島が捜査に行く際に豪快に乗り回している。惜しげもなく狭い都会の道路を乗り回すところから見ても、茶島は相当なお金持ちのような設定に思える。

「プロデューサーたちと話していたんですけど、茶島は東大法学部を首席で卒業、在学中に司法試験に受かるようなエリートで、家は裕福なんでしょうね。茶島のセットはスペースの割には物が少なく、ゆとりのある空間になっていて、そういうところも性格が表れているのかなと。財力的には問題なく、心に余裕があるというか。投資とかをして資産運用しているので、無限に金があるんでしょうね。いずれ、お金持ちの茶島の一面も描きたいです(笑)」

難しい設定のシナリオ。生み出すまでには常人には計り知れない苦悩がありそうだが、制作スタッフによると高橋氏は書くのは早いタイプだとか。高橋氏がアイデアをスムーズに生み出す、秘訣(ひけつ)は何なんだろうか。

「脚本家の世界には、締め切りという名の“悪魔”がいますので、どうしてもそれに間に合わせようと思って缶詰めになってやることがあるんですけど、なったからといって面白い話が書けるというわけではない。

逆にいうと、ネタが湧いてきたときは書き上げるのも早いです。僕に限らず脚本家の皆さんはそうだと思うんですけど。でも、連続ドラマという性質上、基本的には缶詰めにならざるを得ないんです。

だから、思い付かないところは書かないようにしています。ビジョンが見えているところから先に書いていって、思い付かないところは締め切り直前まで悩みます。そして監督やプロデューサーの皆さんのアイデアをいただいて突き詰めていくことも。書くのが早いと言われますが、本当に日々苦しみながらやっているんですよ」

脚本家ならではの“生みの苦しみ”があった。中でもこのドラマは複雑な設定がはりめぐらされていることもあり、そういう意味でも苦労しているようだ。

「特にこの作品は難しいので、トラウマになるんじゃないかなって思っています。『相棒』などの刑事ドラマも書きましたけど、またちょっと違う。普通の事件モノの倍は難しいんじゃないでしょうか。普通、事件って全てのことが初めて出合う証拠なので、比較的作りやすいんです。殺人事件が起きた、現場に行く、そこで知る情報ってどの刑事も初めて知るもので、どんなものが出てもいい。

でも、未解決事件となるとちょっとしたことだったら、以前刑事が捜査して解決しちゃっているはずなので、刑事でも簡単には気付かない状況にしなければならない。だから道具の配置とアイデアがすごく難しいんですよ」

難しいからこそやりがいはある。でも、次に挑戦する人へは大きいプレッシャーを与えたのではなかろうか。

「おそらくこのドラマが終わった後、誰も司法取引モノには手を出さないんじゃないでしょうか。日本では最初で最後というか(笑)。みんなダメだぞ!やるとヤケドするぞ!と言いたいです」

その中でも毎回違うパターンの司法取引を試している高橋氏。理由はワンパターンになりたくないという思いからだそう。

「毎回、決め手が司法取引なのは当然なんですけど、司法取引が水戸黄門でいうところの“印籠”で終わってしまうと、『はい、出ました司法取引!』ってお客さんがどんどん飽きていってしまうと思うんです。ちょっと予想を裏切る司法取引の使い方というか、バリエ―ションを楽しめると思います」

後半にかかるに連れてますます2人の関係性や、未解決事件の質も変わってきそうだ。最後に、高橋氏に後半の見どころを聞いた。

「人を信じるヒカリと人を疑う茶島が、そのままのキャラクターでは終わりません。ヒカリが抱える闇とか、茶島が抱える光が見え隠れするドラマになっていきます。立場が逆転していくのが見えていくというところが見どころになりますし、あとはなぜ匿名交渉課というものが生まれて、なぜ茶島が弁護士なのにこういう未解決の事件を捜査しているのかっていう謎が、全話を通して描かれていきます。

特に茶島がなぜ今司法取引のようなことをしているのか、ということに注目してほしいです。あとはヒカリの成長にも期待してください」

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

ドラマ「天使と悪魔-未解決事件匿名交渉課-」
毎週金曜夜11:15-0:15
テレビ朝日系で放送
※一部地域では放送時間が異なる

画像一覧
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  • 「天使と悪魔-未解決事件匿名交渉課-」の脚本を務める高橋悠也氏
  • 【写真を見る】高橋氏は「このドラマが終わった後、誰も司法取引モノには手を出さないんじゃないでしょうか」と苦笑い!
  • ヒカリ(剛力彩芽)と茶島(渡部篤郎)の今後の関係性にも注目したい!
  • 5月8日(金)放送の第5話では2つの主婦殺人事件を再調査する
  • 高橋氏は裕福な茶島の一面もいずれ描きたいという

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天使と悪魔〜未解決事件匿名交渉課〜

出演者:剛力彩芽 渡部篤郎 長谷川朝晴 内藤理沙 中村静香 荒川良々 兒玉宣勝 宇崎竜童 

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    剛力彩芽

  • 渡部篤郎

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