映画「泣く子はいねぇが」主演・仲野太賀インタビュー「柳葉敏郎さんの圧倒的な説得力…やっぱりさすがです」

2020/11/11 13:30 配信

映画

「泣く子はいねぇが」場面写真(C)2020「泣く子はいねぇが」製作委員会

「柳葉敏郎さんにすごく影響を受けながら芝居してました」


――柳葉さんとは昔からのご縁ということですが、今回共演してみていかがでしたか?

太賀「柳葉さんは、プライベートでも本当に自分が子供のころから知っている人なので、今回たすくと夏井さん(たすくが参加している地元の「なまはげ存続の会」会長)という関係性でお芝居できるっていうことがすごい縁だなと思っていて、最初から感慨深かったです。それでいざ対面してみると、柳葉さんのオンリーワンの空気感というか、柳葉さんならではの現場の居方というのがすごく印象的でした。言ってしまえば、とんでもない圧なんですけど(笑)。とんでもない圧の中、本当に柳葉さん自身も夏井さんに、そしてこの作品に情熱をかけられていて、夏井さんの「伝統を守る」という気持ちを体現されてました。柳葉さんが現場に来ただけで、スタッフ・キャストが『夏井さん来た!』という圧倒的な説得力はやっぱりさすがですよね。すごく影響を受けながら芝居してました」

――現場での柳葉さんについて、太賀さんはどのようにご覧になっていましたか?

太賀「きっと柳葉さんは、自分のスタイルを色々な現場で貫いていらっしゃるんだろうなっていう風に思っていて。やっぱり、柳葉さんにしかできないお芝居があるんだなと。芝居に嘘が無いというか……なんですかね、あの“本物感”。同世代にこういう俳優さんってなかなか居ないので、稀有な方ですよね」

――プレミア上映会では柳葉さんから「監督も自分も秋田に対する思いが強すぎて、けっこう揉めました(笑)。ただ、お互いに何も提供しないで作るよりは、情熱をぶつけあって作る作品の方が好きです」というコメントもありました。

太賀「今回は現場のスタッフもキャストもすごく足並みが揃っていて、監督がやりたい方向性を楽しみながら、理解し合いながら共有していたんですけど、映画は大人数で作るものなので、これまでがきっと、語弊を恐れずに言えば、うまくいきすぎていたのかな。柳葉さんのように、自分の美学を持っている方々、ストイックな姿勢を持っている方々と今後、佐藤監督は対峙していくことになると思いますし、向き合っていかないといけない。そういう人をどうやって監督自身の世界に引き込んでいくのか、違う人間同士、まったく違うもの同士をどのようにより沿わせるのか、そういう意味でこれまでが本当にうまくいっていたのかな、と思います。

現場に柳葉さんがいらっしゃることで、緊張感もありましたけど、言ってしまえば、嫌われ役を買うぐらい緊張感を持ってやってくれたと思うんです。でも、それが良いか悪いかという話ではなくて、映画はそもそもそういうものなんだと思います。今回スタッフもキャストもみんなすごい穏やかですし、ああいう、叱咤激励じゃないけど、発破をかけてくれる人がいるとやっぱり一気に緊張感が増して、現場の色が変わっていく感じはすごく楽しかったですね。いやでもすばらしかったなぁ柳葉さん……。向き合ってお芝居させてもらって本当に良かったです」