<西野亮廣>ゴミ人間〜『えんとつ町のプペル』誕生の背景と込めた想い〜「日本中から笑われた夢がある」【短期集中連載/最終回】

2020/11/17 07:00 配信

映画

映画『えんとつ町のプペル』より。ルビッチに、信じぬくことの大切さを教えたのが父ブルーノ

早いもので最終回です。最後は、挑戦することを選び、しかし、いつまで経っても光が見えず、今この瞬間、もがき苦しんでいるキミに手紙を書いて終わります。

どうだ? 辛いか? 辛いよな。同世代の成功者が気になるか? 気にならないと言ったら嘘になるよな。「人と比べても仕方がない」と言われても、比べちゃうよな。しかし、どこで差が開いたんだろうな? もちろん「運」もあるだろう。ただ、全てが「運」じゃない。そんなことは、もうわかっているだろう?

胸に手を当てて考えてみろ。これまで、お金が足りなくて捨てた選択肢がどれだけある? 胸に手を当てて考えてみろ。これまで、人が集まらなくて途絶えた企画がどれだけある? あったか? あるなら、何故、改善しない? 原因がわかっているじゃないか。

お金の勉強をしろ。広告の勉強をしろ。たった、そんなものにキミの夢を邪魔させるな。お金の勉強をするキミを、世間は「銭ゲバ」と言うだろう。広告の勉強をするキミを、世間は「作品(商品)のクオリティーを後回しにした者」として扱うだろう。構うな。誰よりも届ける努力をして、そして最後は作品のクオリティーで圧倒しろ。才能の違いを見せつけろ。 

人は、圧倒的な結果を創出する力を「才能」と呼ぶ。才能は、「生まれ持ったモノ」でも何でもない。才能とは、「挑戦した数」だ。挑戦し、そこで背負った想いや傷の集合体が「才能」だ。キミがそれを持ち合わせていないのならば、怯むな。今すぐ手に入れに行け。

その際、アイデアには決して酔うな。まだまだ知識のないキミから捻り出されたアイデアは洗練されていない。それに、そのアイデアが世の中にない理由も考えろ。「世界が必要としているアイデア」を、これまでキミ以外の人間が思いつかなかったわけがないだろう。「あったけど、必要とされずに消えた」と考えろ。アイデアに酔うな。誰よりも手足を動かせ。頭を下げろ。恥をかけ。

キミには、日本中から笑われた夢があるか? 僕には、ある。その夢を叶える覚悟もある。キミにはあるか?

僕は、いいかげん仕事に戻らなくちゃいけない。映画『えんとつ町のプペル』の公開まで、あと1ヶ月。やれる努力は全てやります。背負えるものは全て背負います。想いも傷も恥も。どうか映画公開までの僕の姿を見届けていただけると嬉しいです。覚えていただけると嬉しいです。そして、次はキミの挑戦を見せて欲しい。そうやって刺激を交換し合いながら、同じ時代を生きていきたいです。頑張ろうね。

めっきり寒くなってまいりましたが、お体にお気をつけてお過ごしください。

西野亮廣(キングコング)

映画『えんとつ町のプペル』より。星の見えない町でも、友達がいれば、空を見上げ続けることができる

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