三木孝浩監督が11月22日、東京・ユーロライブで映画監督デビュー10周年を記念した映画上映イベント「三木孝浩 filmo day ~音楽と映画~ 2020」を開催。
イベントでは、これまでの三木監督作品の中から映画3作品、三木監督の映像作家としての原点となるミュージックビデオをスクリーンの大画面で上映。
上映後にはゲストの宮崎あおい、野間口徹と舞台あいさつ、ティーチインを行い、これまでの作品を振り返りながら当時を語った。
初めに、三木監督は「今年は長編映画監督デビューをして10周年になるんですが、この10年を振り返って、皆さまにご満足いただけるようなラインアップになっていると思いますので、楽しんでいただけたらうれしいです」とあいさつ。
「ソラニン」(2010年)上映後の舞台あいさつでは、サプライズゲストとして主人公・井上芽衣子を演じた宮崎が登場。
三木監督は「控室で何をしゃべろうかと考えていたのですが、謝罪から始めさせていただければと思っています(笑)。長編映画の第一作で、それまでミュージックビデオはたくさん撮っていたのですが、映画は不慣れで、今思い返すと背筋が凍るくらい宮崎さんにご迷惑をお掛けしたんじゃないかと思っていて」と、当時を振り返る。
宮崎は「私の中では監督もキャストも含めて、一緒に青春をしているみたいな、そんな印象がすごくあります」とコメント。
また、三木監督は「現場中、今思い返すとデザインとしての画を見てるけど、ちゃんと宮崎さんが出してくれている心の動きをちゃんと見られていたかなと、後になって反省することが多くて。『ソラニン』はすごく良い映画になったし、評価もされたんですけど、僕自身はすごく悔しかったんです。
キャストの皆さん、原作、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの音楽も素晴らしい、でも僕は監督として何か貢献することができたかなと。その悔しさがあったからその後の映画作りに生かすことができたと思っていて、そういう意味では特別な作品なんです」と明かす。
宮崎は、企画を聞いたときの心境を聞かれ「元々歌も苦手ですし、楽器を弾いたこともなかったので、ギターを弾くというのがすごく楽しそうだなと思って。ギターの練習もさせていただけたし、とてもやりがいのある役だったなという印象があります」と振り返るとともに、「いまだに自分の中ですごく好きな作品で。会う人に『ソラニン』好きですと言ってもらえることが多くて、自分が好きな作品は10年たっても(好きだと)言ってもらえるというのは良いなと、しみじみ思う作品です。演奏シーンが好きで、自分でも見たりします」と笑顔を見せる。
撮影当時はコード進行も完璧だったという宮崎は、「ギターを背負って歩いているのが楽しくて、どんどん芽衣子ちゃんに近づいていくような気持ちもありましたし、指が固くなっていく感じもすごく楽しかったです。今も自分でギターを持っているのですが、10年たっているので弾き方を忘れちゃっているんですよね。ところどころしか覚えていないので悔しいな、思い出したいなと思っています(笑)」と明かした。
続いて、観客からの質問に答えるコーナーへ。「キャスティングはどう決まりましたか?」という質問に、三木監督は「最初に宮崎さんにお声掛けしまして、その後、高良(健吾)くんという順番で、高良くんは『蛇にピアス』(2008年)に出た後くらいで、種田みたいなイメージがなかったんですけど、プロデューサーからの提案で顔合わせをしたときに、ふわっと雰囲気のある感じが種田っぽかったのでこの人だと思いました。
僕がこの映画に唯一貢献できたなと思っている部分は近藤(洋一)くん。すごくポジティブマインドの持ち主で、僕が元々サンボマスターのライブを撮っていたというのもあるんですけど、それで無理を承知でオファーしたら快諾していただけました」と回答。
その後、三木監督が「今日お会いできて本当にうれしかったです。公開した後ってそんなにお会いする機会もないので、作品がどうだったとか、現場がどうだったとかゆっくり話すこともないですし、来てくださってありがとうございます」と話し、宮崎に「またご一緒していただけますか?」と聞くと、「ぜひぜひ」と宮崎が答え、会場は拍手に包まれる。
また、宮崎は「作品に入るに当たってクリアしなきゃいけない課題、大きな壁があればあるほど燃えるので、そういうのがある方が好きですね」と話した。
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