安田顕が棋士とうつ病患者の“対極”に挑む「演じるのはすごく苦しいし、難しいなと思いました」

2020/12/19 10:00 配信

ドラマ インタビュー

先崎学を演じる安田顕撮影=阿部岳人

安田顕「すごくうれしかったのを覚えています」


――先崎さんご夫婦が語るうつ病の話から、実際に役作りで生きた事はありますか?

本当に先崎さんになることは不可能なので、ご夫婦の思いや、原作に書いていたことに、奥様からの視点でどのように見えていたかなどを聞きました。
例えば、先崎さんの原作の中では、表情がこわばっている状態と表現されていたのですが、奥様から見たときには、全ての筋肉が緩んでいるような無表情であったとおっしゃっていて。生気がないと言いますか…。
原作で表現されている“こわばっている”という言葉に捕らわれていると、同じ無表情でも筋肉が緩んでいる状態とは全く違いますよね。なので、僕がお芝居する際には、先崎さんのお話よりも奥様の話を参考にさせていただきました。

あとは、奥様が先崎さんの目が死んでいたということもおっしゃっていて…これは作りようがない、難しかったですね。
なので、僕は目が悪いのですが、撮影の時にはコンタクトレンズを外して、周りがぼやけて見えない状態をつくって演じていました。気分の問題なのですが…。先崎さんにとってうつ病の回復の兆しが見えるある場面があるのですが、その前まで外していました。
周りのスタッフさんの顔も見えなくて、ずいぶんと目を見てご挨拶できていなくて、迷惑をかけてしまったなと思います(笑)。

――先崎の妻・繭さんを演じてらっしゃる内田有紀さんのご印象はいかがでしょうか。

出会った時から撮影が終わるまで、思っていた通り素敵な方だなと思いました。序盤はコンタクトレンズをしないでお芝居していたものですから、コンタクトレンズをして目を合わせたときに、自分の嫁さん役にはきれいすぎる方だなと思いました(笑)。時々、演じていても「内田有紀さんだ!」って(笑)。それくらい素敵な方でした。

内田さんとは、演じる前にそのシーンにおいて大事なことなどを話しました。僕の好きな、このドラマにとって大事な先崎さん夫婦の場面があるのですが、そこを内田さんもご自分の台本に“山場”と書いてらっしゃって。内田さんも「その場面が好きなんです」ということをおっしゃっていたことが印象に残っています。

――先崎の兄・章を演じてらっしゃる高橋克実さんとの共演シーンも印象的でした。どのようなお話をされましたか?

居酒屋で高橋さん演じるお兄さんにビールを注ぐというシーンがあるのですが、高橋さんに「改めてお話するのは恥ずかしいですが、15年くらい前に舞台をご一緒させていただいて、それからずっと憧れや尊敬を抱いておりまして、こういった場面で一緒にお芝居させていただけて、本当にうれしくて幸せです」ということを話したら、高橋さんが「俺もちゃんと見ていたよ」と言ってくださって、すごくうれしかったのを覚えています。

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