次週最終回を迎える大河ドラマ「麒麟がくる」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。ここにきて、本郷奏多演じる変わり種の公家・近衛前久が存在感を強めている。1月31日に放送された第43回では、明智光秀(長谷川博己)と織田信長(染谷将太)の溝が深まり混沌としてきた情勢の中、冷静に現状を分析。なにやら思案をめぐらせ、クライマックスに向けて含みを持たせている。
前久は、たぐいまれなる行動力で、公家でありながら自ら政治に介入してきた元関白。大河ドラマ「麒麟がくる」では、主人公の明智光秀の他、織田信⾧、帝などさまざまな人物との交流が描かれている。一方で、きょうだいのようにして育った伊呂波太夫には本音を覗かせる場面も。クールな“オンの顔”とのギャップでも視聴者をにぎわせてきた。
第43回「闇に光る樹」では、前久の久々の登場シーンが描かれた。
第13第将軍足利義輝暗殺の嫌疑をかけられ関白を失脚し、京を追われて以来、約10年ぶりに戻ってきた場面。三條西実澄の館にて、前久は細川藤孝(真島秀和)、伊呂波太夫と３人で、今後の朝廷や帝の先行きを案じていた。
信⾧の言いなりで新たな御所へと移る朝廷について、酒を飲みながら話をする3人。中でも前久は終始落ち着いた様子で、伊呂波太夫の「信⾧様が頼りにならないのなら、帝は誰を頼りに世を治めればよいのです？」という問いに対し、「目下のところ、やはり明智でしょう」と光秀の名前を挙げた。その目は鋭く、時代の先を読む前久の賢さを象徴している。光秀が秀吉(佐々木蔵之介)、ひいては信長との溝を深めていることを知り、なにやら考え込んだ。