柴咲コウ主演の大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK総合ほか)。3月5日(日)放送では、いよいよ“桶狭間の戦い”が描かれる。言わずと知れた桶狭間の戦いは、今川義元が織田信長に敗れた一戦。今川の配下として出兵した井伊家も当然無傷というわけにはいかず、この敗戦が次郎法師(柴咲)らの人生を大きく動かしていく。
放送を前に、次郎法師の父であり、井伊家当主・井伊直盛役の杉本哲太を直撃。当主としての直盛の心情や、桶狭間を前にした思いを語ってくれた。
――昨年9月がクランクインでしたが、撮影の手応えはいかがですか?
僕はスタジオでの撮影から始まったのですが、初日から直盛の見せ場の収録があったので、せりふもすごく多かったんです。初日で、僕の役割は8割方終わったと思いましたよ。
最初ロケから始まって共演者とも絡みながら少しずつ役に慣れて、そこからスタジオに入って芝居の見せ場の方が…と言いたいところですが、撮影スケジュールも制約がありますからね。俳優も対応していかないといけません(笑)。
――その後、岩手や静岡・浜松でのロケがあったかと思いますが、そちらのご感想はいかがでしたか?
僕自身のロケは、ものすごくゆるかったんです(笑)。岩手は前日入りして1日で1シーンくらい撮影して、翌週も前日入りしておいしいものをいただいて、また1シーンだけ撮影して帰るといったスケジュールでした。
浜松は5日間くらい滞在しましたが、それもほぼ毎日午前中で撮影が終わったので、レンタカーを借りて周囲を巡りました。井伊家の菩提寺である龍潭寺に行ったりしました。
――岩手ロケでは、井伊谷の集落を再現したオープンセットがあったそうですが、ご覧になった印象はいかがでしたか?
あれはすごかったです。一面に田んぼがあって、そこに櫓(やぐら)が建っていて、通りもあって…写真を撮っておけばよかったですね。
川がすぐ近くを流れているのですが、この川沿いがまさに断崖絶壁。こんなところを見つけるなんてさすがだと思いました。前田吟さんともお話したのですが、こんな自然にさらされてしまうと自分たちの芝居がちっぽけな気がして、恥ずかしく思うくらいでした。
――大自然に囲まれた“井伊谷”を体感したことは、当主・直盛の人物像を作る上でどのような影響がありましたか?
当時を再現した棚田でのロケにしても、龍潭寺に行っても、自然に守られているということを感じました。そこで暮らす直盛は、単なる戦国時代の殿様というより、自然や村の人と密着している人物という印象を受けました。
――亀之丞(藤本哉汰)、鶴丸(小林颯)を分け隔てなく扱うなど、フラットな感覚を持った当主だとも感じます。
実際の、この時代の人たちがどうかは分からないのですが、直盛はすごくやさしい人で、悪く言えば優柔不断です。中間管理職的な立場なので、上から叩かれ、下から突き上げられ、妻からもつつかれ、娘は娘で自由奔放に行動するものだから、普段から答えを出せず、ストレスで胃を痛めている…そんなイメージで役作りしてきました。
――今川家との間で板挟みになりますが、直盛にとって今川という存在はどのようなものだったのでしょうか?
祖父である直平(前田)の代で、すでに娘が人質になっていますし、井伊にとっての今川は、かなり因縁深い存在です。おそらく、直盛も生まれた時からそう思って育ってきたと思います。そもそも、自分の娘を人質に出して関係を保つというのが、想像できないことですよね。
――柴咲さんとの共演の印象を教えてください。
以前にも映画で共演しているのですが、彼女の存在感や目の力の印象は変わりません。柴咲さんとの最初のシーンは、成長した次郎法師と井戸端で話すシーンで、それまでの子役の新井美羽ちゃんから、柴咲さんに変わったことに、違和感はほとんどなかったです。「すごく自然にバトンタッチしているなぁ、打ち合わせしているのかな」と思うくらいでした(笑)。
――3月5日(日)放送では、桶狭間の戦いが描かれます。見どころを教えてください。
最初にお話をいただいたとき、僕の中では、1週間くらいのロケで撮るんだろうなと想像していたんです。9月の炎天下、雨に濡れながら足場の悪いところで、ものすごい立ち回りを3日くらい…そこまでイメージが出来ていました。
それで、衣裳合わせの時に、プロデューサーさんに「桶狭間のロケはいつ頃なんですか?」と聞いたら、「…ロケはしません」と言われて。いや、勝手に妄想した僕がいけないんですよ(笑)。でも、映像はすばらしいものになっていると思うので、ぜひご覧いただきたいです!
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