「共演NG」大根仁氏 奇跡的にまとまった最終回は『中井貴一さんも“絶対無理だと思ってた”と』【受賞インタビュー後編】

2021/02/19 20:01 配信

ドラマ

「共演NG」を手掛けた大根仁氏と樋口卓治氏がドラマアカデミー賞脚本賞を受賞(C)「共演NG」製作委員会

「第106回 ザテレビジョン ドラマアカデミー賞」では、映像業界の裏側を描きながら大人のラブコメを展開した「共演NG」(テレビ東京系ほか)の大根仁氏と樋口卓治氏が脚本賞を受賞。演出も兼ねた大根氏へのインタビュー後編では、自身もよく知る業界の裏側をどのように脚本に落とし込んだかや、コロナ禍での撮影などについて聞いた。

<脚本賞は「共演NG大根仁氏は劇中ドラマに『自分だったら絶対やだ』【受賞インタビュー前編】より続く>

大河の現場を客観的に見られたことが役立った

――今作では、映像業界ものとしてのリアリティーが高く評価されました。

ドラマの裏側は、いつも自分たちがいるところなので、そこは経験値で書けました。

あとは、大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(2019年、NHK総合ほか)に参加したとき、演出の中の一人だったので客観的に現場を見られたことが大きい。キャスト降板などのトラブルがあり「こういう時のプロデューサーのリアクションってこんな感じか」「なるほど、まずこことここに連絡して…」と、当事者なのに客観的に見ていた経験が役に立ちました。今作のセリフにもちょっと取り入れましたけどね。「オリンピックどころかスキャンダルの金メダル連発だったもんな」と。まあ、僕が書くならいいだろうっていう(笑)。

――大物俳優である中井貴一さん、鈴木京香さんを演出していかがでしたか。

俳優が“俳優を演じる”って本当に難しいこと。でも、お二人ともすごく楽しんで演じてらっしゃいました。(作中の遠山英二と大園瞳が)かつて付き合っていたからこそ出来る会話があって、元カノや元カレと会って時間が巻き戻る感じというか「もう二度と付き合わないんだけど、このノリはこいつとしか出ないよなあ」と思うことってあるじゃないですか。そういった阿吽(あうん)の呼吸というか間合いみたいなものはお二人とも上手なので、撮っていて気持ち良かったですね。

――中井さん、鈴木さんの共演場面で気に入っているところは?

不倫スキャンダルをテーマにした第3話は、ここ数年で僕が業界にいながら考えていたことも採り入れ、うまくできた手応えがありました。若いキャスト同士の不倫が発覚して、瞳が英二を目線で「ちょっと来なさいよ」と呼び出す場面。あの目線で呼び出すのがすごく好きで、お二人の表情も良かったですね。

その後、誰もいないスタジオで二人が話すシーンも気に入っています。いつもならセットが組まれ、まぶしい照明が焚かれて、たくさんのスタッフが走り回って、いろんな番組が収録される場所が“空っぽになる瞬間”。その夢の残骸みたいな雰囲気が好きなんです。そこで二人が会話をするのは、すごくセクシーな感じがしました。