金曜ドラマという枠は、自分にとってドラマの原点というか、特別な思いがあります。「ずっとあなたが好きだった」(1992年)、「誰にも言えない」(1993年)、「ダブル・キッチン」(1993年)など、90年代を神奈川・緑山スタジオで共に過ごしたプロデューサーの植田(博樹)さんたちと、またご一緒させていただけることになり、歳を重ねて実家に帰ってきた思いです。時の流れが実人生とも重なります。
広告代理店を定年したのに、まだそこにしがみついて自立できていない弱い男を演じるのですが、組織に依存して働いてきた男が、それがなくなった時にどう生きていくのか? 他者に依存していたら「大変な目にあうぞ、ちゃんと自分で考えなさい」というメッセージを感じました。
さらに、離婚問題を通して、家族とは何だろう? 夫婦、恋人、親子、自分にとって何が大切なのか? と考えることになるのですが…。年齢に関係なく、会話やコミュニケーションを大切にすることを忘れてはいけないとドラマを通じて感じています。
人生において、あらがえないことが起きてしまったとき、それをどう受け止めるか。時代を超えても変わらぬメッセージが込められている、大切なホームドラマとなりそうです。
昔、ドラマで見ていたような父親をこの時代に体現できることに魅力を感じています。このお父さんが鶴田浩二さんだったら素敵だろうな? とか、今日は藤岡琢也さんかな? とか。時代、時代で見てきた日本のお父さん、いろんなお父さんが、たくさん僕の中にはいるので。そういう方の力を借りてやらせていただけるのは楽しいですね。
僕は僕なりのお父さんしかできませんけど、父が戦争に行った軍人だったので、厳格さという意味では昭和の男の面影は自分の中に残っているのかもしれません。「自分の何が悪かったんだ」というせりふが出てくるのですが、すごく親身に感じました。
うちの親は大丈夫かな? きょうだいの夫婦はうまくいっているのかな? 同世代の人にも伝わるものがあればすごくうれしいですし、若い世代にとってはこの先、体験することですからね。順風満帆に結婚して、そのまま一度もけんかをしないで終わるという事はなかなかないと思いますから。このドラマは、夫婦になった時の何かこう…資料みたいな(笑)。人に優しくなることを考えられるのではないかと思います。
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