宮川愛李、“変幻自在な歌声”のルーツは式根島「自然と大きな声が出るような環境には育ったのかもしれません」<Interview>

2021/03/17 19:00 配信

音楽 インタビュー

宮川愛李がインタビューに応じた撮影:永田正雄

――幼少の頃から音楽家を目指していたのですか?

音楽家になることを意識するようになったのは高校に入ってからですね。それ以前から兄(宮川大聖みやかわくん)の動画を手伝ったり、イベントにゲストで出たりしていたのですが、直接的なきっかけは兄のスタッフの方に「音楽活動をしてみたら」と誘われたことが始まりです。

進路に迷っていた時期だったので、新しい自分を見つけるチャンスでもあるし、「今、自分の手元にあるのは声だけだ」という気持ちも持っていたので、やってみようと飛び込んでいきました。今まで応援してくださったファンの方に大きい恩返しをできるとしたら、それはソロデビューなんじゃないかという思いもありました。

――デビュー前はどんな音楽を聴いていましたか?

子どもの頃から、割と幅広く聴いていました。一時期、両親がビアガーデンを経営していて、サザンオールスターズさんの曲とか、ノリのいい歌がたくさん流れていたのを覚えています。

私がよく聴いたのは大塚愛さん、木村カエラさん、あとはORANGE RANGEさんを聴いていました。歌うことは好きでしたが、まさか自分が歌手になるとは思っていませんでした。

――中学生の頃まで住んでいた故郷の式根島について教えていただけますか。

自然に恵まれた小さい島です。タクシーもコンビニもカラオケも電車もないですし、横断歩道も一つしかなくて、「せっかくなのでつくりました」という感じの十字路があるだけです。

島の人たちはみんな、一つの家族みたいな気持ちでいると思います。人と人の距離がすごく近くて、協力し合いながら一緒に働いて、とにかく仲がいい。それに夏になると、海のシーズンということもあって、キャンプに来る観光客の方が増えてすごくにぎやかになるんですよ。

魚の種類も多いし、運が良ければウミガメを見ることもできます。自然が好きな方にとっては癒やしがもらえる場所だと思いますし、大切な地元です。

――宮川さんの豊かな声量は、式根島の森の中で歌うことで鍛えられたんじゃないか、と勝手に推測しているんですが…。

森ではよく木登りをしましたが、歌ったりはしませんでしたね。ただ私の声は大きいのか、子どものころからよく「一番うるさい」って怒られたんです。何と比べて一番うるさいのかよく分からないんですけど(笑)、自然と大きな声が出るような環境には育ったのかもしれません。

――その力強い声が、フルアルバム『Reboot』に注ぎ込まれています。佐野康夫さん(ドラムス)、美久月千晴さん(ベース)など、百戦錬磨のすご腕ミュージシャンと堂々と渡り合って、見事なアンサンブルを作っていますね。

まだわずかなキャリアしかないので、最高の演奏をしてくださる方々に臆さないよう、負けないよう、恥じないような強い声で歌いたいという気持ちはありました。それにバンドの皆さん、とても優しいんです。「ちゃんと食べてる?」とか「学校行ってる?」とか心配してくださったり、話を聞いてくださったり。

レコーディングの雰囲気もとても良くて、リラックスも集中も両方できたまま歌えるんです。皆さん、私がこの道に進まなければ出会えなかった方たちです。そうした素晴らしいミュージシャンと共演できる縁の面白さも感じながら、いろいろ吸収させてもらっています。