宮川愛李、“変幻自在な歌声”のルーツは式根島「自然と大きな声が出るような環境には育ったのかもしれません」＜Interview＞

――『Reboot』には「再起動」というニュアンスもあるとのことですが、アルバムを作るに際して特に考えたことは？

こういう世の中になったことで、私としても思うように活動できなかった部分があります。2020年は、ファンの皆さんと交流する機会も極端に少なくなって、私の中でも、自分の存在感がどんどん薄くなっていくような感覚になった不思議な1年でした。

『Reboot』というタイトルは、ネガティブな部分を一度払拭したいというか、まるっと一からやり直したいという意味を込めて名付けました。

成人を迎えて初めてフルアルバムを出すに当たって、新しい私の顔を知ってもらえる作品にしたくて。以前に出したミニアルバムと比べるとずいぶん、印象が変わっていると思います。

――『スマホ映えの向こうの世界』(2019年6月)ですね。大変、話題になりました。

でも、あの頃の自分を一回捨て去って新しいものを作ることをイメージしました。以前から尊敬しているandropの内澤崇仁さんに楽曲を提供していただいたことも、光栄でした(「Reboot」「凪ぐ」「わすれもの」)。

今の私が表現できる全力を、内澤さんの楽曲にぶつけてみたかったんです。「Reboot」の場合、曲を頂いてから作詞をしたのですが、デモを1コーラス聞いたその瞬間から私の中で「このメロディーにはこの歌詞だ」と組み上がっていって、言葉がすぐに出てきたのには自分でも驚きました。

――内澤さんのメロディーが、宮川さんの言語感覚をインスパイアしたと…？

「これはちょっとドキドキしてきたな」と思いながらレコーディングのずっと前から楽曲を何回も何回も聴き直して、自分自身に体に入り込ませて、レコーディングの前に内澤さんにアドバイスを頂いたり。自分なりに研究して臨んだレコ―ディングではありました。

――『スマホ映えの向こうの世界』と異なり、今回は全曲aireen(宮川愛李を中心とする楽曲制作チーム)名義の作詞です。「すごく生き生きしている日本語だな」と思いました。歌詞だけを見ていても、詩集を読んだような気分になりました。

もともと読書とか、文字に触れることがとても好きだったので、そういう経験と、自分の今までの思い出が混ざり合って作詞しているのかな…。

小さいころから、日記というか自由帳に、思った気持ちを書きつづり、気に入ったフレーズを書き留めていましたから。

楽曲に詞をつけることを始めてからは日が浅いですが、だからこそ逆に今は新鮮な気持ちをストレートに書ける時期かもしれないです。

始めたばかりだからこそ表現できる想いなどが直接現れているのだとしたら、それは今しかできないことですから、どんどん大事にしていきたいですね。

――１stシングル「Sissy Sky」(フルアルバム『Reboot』にも収録)がTVアニメ「名探偵コナン」のエンディングに抜てきされ、2021年からは「Reboot」が新エンディングテーマとして流れています。「コナン」で宮川さんを知ったファンも多いと思うのですが。

「コナン前」と「コナン後」で本当に大きく変わったと思います。リリースイベントを行ったときも「コナン見ました」とおっしゃる方が多くて、「Reboot」で2回目のエンディングテーマになった時も「前回の『Sissy Sky』の子だ、うれしいな」とか、「またコナンのエンディングで歌声を聴けた」という声をファンの方から頂きましたね。

でも1年半ほど前、「Sissy Sky」がエンディングに決まった時は、正直かなりプレッシャーでした。デビュー間もない私にいきなりエンディングを任せてもらえるなんて、なんという圧の大きさだろうと(笑)。

でも、私も曲も愛していただいて、新たに「Reboot」がエンディングに決まって。今回は楽しくできたかなと思います。