宮川愛李、“変幻自在な歌声”のルーツは式根島「自然と大きな声が出るような環境には育ったのかもしれません」<Interview>

2021/03/17 19:00 配信

音楽 インタビュー

宮川愛李がインタビューに応じた撮影:永田正雄

“春の思い出の曲”はあいみょん「今日の芸術」


――そしてフルアルバムも無事にリリースを迎え、最近は気候も暖かくなって春めいてきました。宮川さんがパッと浮かぶ「春の思い出の曲」は?

あいみょんさんの「今日の芸術」です。高校の卒業式が終わって、学校の先生に「ありがとうございました」と言う間もなく友達とカラオケに直行して、途中で私が抜けて中目黒まで急いで行って髪を染めてもらって、茶髪になった私がカラオケに戻ってバッとドアを開けて一発目に歌ったのが「今日の芸術」。

そこで高校の全力を出し切った思い出があります。春になるとその情景が思い浮かびます。

――岡本太郎的に言えば「青春は爆発だ」という感じですね。

何か熱血なことをしたいという気持ちは今もありますね。中学の時に硬式テニスをやっていて、一応、小さい部ながらキャプテンだったんですよ。

別に実力とかじゃなくて単純に人が少ないから消去法で決まったんですけど(笑)、地面も芝生だからぜんぜん球が跳ねなくて…。

当時培ったスポーツ的な根性などが最近一切失われてしまって、全力で歯を食いしばって汗をダラダラ流しながら生きていたあの頃みたいな熱さをもう一度感じたいと思うことがあります。

――早く日常が戻って、宮川さんの沸騰するようなライブステージを味わってみたいものです。

なかなか皆さんの前で直接歌唱できる見通しがないのは悔しいですね…。予想がつかない、不安な毎日が続いていて、きっとそれは私を応援してくださる方も一緒だと思うんです。

ただ、私は、この時間を、自分について考え直したり、課題に立ち向かったり、いろいろなものを吸収したり、自分の道をしっかり決めて歩いていくためのクリエーティブな時間だと思うようにしています。

『Reboot』のレコーディングにも時間をたっぷりかけることができて、私の息遣いが皆さんに伝わるぐらい臨場感のあるサウンドになるよう、心を込めて作りました。

多くの方の心に寄り添う作品になっていると思いますので、ぜひ繰り返し聴いていただけるとうれしいですね。


◆取材・文=原田和典