――終盤へと進むにつれ、出雲には図太さやしたたかさが出てきたのではないかと思います。そうした「変化」に対して思うところがあればお聞かせください。
正直なところ、撮影中は自分の力不足を感じて落ち込みながら帰宅することがよくありました。でも落ち込んでも、最終的には「楽しいし自分がやりたいんだから、意地でもしがみつこう」という結論で、翌朝の撮影に向かう日々でした。(その気持ちが)結果として、出雲麗音の図太さやしたたかさにつながったのかもしれないです。もしそうだとしたら、あの頃の落ち込みまくっていた自分に教えてあげたいです。
――出雲麗音について、何か裏設定があるようでしたら教えてください。
家に帰ったらバイク雑誌を眺めながら一人晩酌が日課。捜査一課配属直後は髪形をオールバックにして、なめられないようにした(つもり)。好きな音楽はエレファントカシマシ。生い立ちや過去のバックグラウンドはいろいろありますが秘密にしておきます!
――水谷豊さん、反町隆史さんとのエピソードを教えてください。
お二人には温かい言葉やアドバイスをいただいたばかりでなく、撮影中にたくさん和ませていただきました。ヒロコママの回(第15話「薔薇と髭の不運」)の撮影中、スナックでの待ち時間に、反町さんが水谷さんに「豊さん、もう一回あの話してくださいよ、あの話」とうれしそうにおっしゃって。
そうしたら、水谷さんがイタズラを始める前の子どものような表情で「あぁ、あの話?」と、物まねをしながらある飲食店の面白い店員さんのお話をしてくださったのですが、その店員さんの物まねがめちゃくちゃ絶妙でクオリティーが高くて。「あぁ分かる!そういう人いる!」と爆笑してしまい、刑事モードを取り戻すのに苦労したことがありました(笑)。
とにかくお二人が誰よりもハードなスケジュールなのに、いつも明るく現場にいてくださることが、「相棒」という作品の要になっているんだなと思いました。
――同じ捜査一課刑事役の川原和久さん、山中崇史さんとの関係についてもお願いします。
川原さん、山中さん、お二人とも、本当に底無しに温かいお人柄です。演じるシーンについての具体的な相談もさせていただいたりして、本当にたくさん助けていただきました。
お二人とは、やはり一緒に撮影する時間が一番長かったので、月日がたつうちに自然と3人でいるときの役割や空気が生まれてきて、それと同時に芝居もリラックスしてご一緒できるようになってきた気がします。
毎朝メイクルームにお二人が「おはよう〜」と順番に入ってこられると、なんだかワクワク楽しい気分になるんです。
――「相棒season19」で印象に残っている回を、第1・2話以外で挙げていただけますか。
第10話「超・新生」は、警視庁VS半グレ集団のアクションシーンがあったり、内村刑事部長(片桐竜次)が死んでしまうかも…という緊迫の展開があったりして、レギュラー陣の一体感を感じるシーンもたくさんあって楽しかったです。
元日スペシャル「オマエニツミハ」は、少年犯罪と被害者家族という重いテーマでしたが、水谷豊さんと岸谷五朗さんの濃厚さがとにもかくにもすごかったですし、お正月にあえてこのテーマに踏み込んだ製作陣の覚悟も感じました。右京さんの傷を知った亘さんの寄り添い方もすてきでした。
あと、TELASAで配信されているスピンオフも、キャスト・スタッフみんなが楽しみながら作った感じが出ていて面白かったです。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)