海外コンペで入賞の“新感覚クイズ”が番組化!若手ディレクターに“テレビの現場”を聞く

2021/03/19 12:00 配信

バラエティー

動く選択肢の中から、実際に歌っている人物を当てる(C)カンテレ

配信や海外を見据えた番組が求められるように


――そもそも、このコンペに応募した理由は?

吉川:最近、地上波の番組の予算が限られていて、地上波で企画をすることが減ってきているという、悲しいですがそういう事情があって。企画の出しどころがない中で、新たな企画の出し口が募集されたので、せっかくだったらチャレンジしてみようかというのが、表向きの理由です。本当は、このコンペ、表彰式がシンガポールで行われるんですよ。だから、会社のお金でシンガポールに行けたらいいなと(笑)。今回、リモート開催になったので行けなかったんですけど(笑)。

田中:行ける権利までは手に入れていたと思うんですけどね(笑)。なぜこの2人かというのは、企画を考えた当時、僕も「土曜はナニする!?」を担当していたんです。

吉川:「こんな企画募集があるので、一緒に書きませんか?」と言われて、面白そうだったので2人で考えたという感じです。

田中:(結果発表後は)僕らが思ったより、周りの人が「すごい!すごいことやで!」と言ってくださるので、すごく驚きました(笑)。

吉川:軽い気持ちで出したら、大事になってびっくりしています(笑)。

――今回のコンペにカンテレとして初参加されたということですが、テレビの制作現場では海外の市場も重視されてきているのですか?

吉川:入社して8年目になるのですが、入社した頃と今の状況を考えると、やっぱり海外とか配信とか、地上波以外にどう出すかということは求められていると思います。

田中:そういうのを見据えて番組を作りましょうと言われたのがここ1、2年くらいですかね。2、3年前はそうではなく、いかに数字が取れるかというところを求められていて。例えば、数字が取れなくても、めちゃくちゃ売れたら会社としてはOKみたいな。

――現在は放送後にTVerなどで配信される番組が増えてきました。それに関して、制作の上での具体的な変化は?

田中:細かい話でいうと、「ちゃちゃ入れマンデー」では、関西の方にインタビューをすることが多いのですが、そこの権利処理みたいなところがより明確になってきています。配信するとなると、常に見られる状態になるじゃないですか。なので、そこが結構厳しくなりました。やる作業は増えたと思います。

吉川:「土曜はナニする!?」では、男前の方たちのショートドラマみたいなものがあって、それをTVerなどで出しているんですね。そういうことは確実に増えています。地上波でやっている番組を少し目線を変えて配信で出すということが、もっとできたらいいんだろうなと思います。

――確かに、一部分だけを配信している番組も増えていますね。

田中:準キー局はそういうことをしなきゃいけない立ち位置にあると思うのですが、今後、もっとそれが進んでいくのかなと。番組作りレベルで「何か作るものに影響がありましたか?」というと、そうでもない状況なので、今後は配信に向けて切り取れるような企画が多くなっていくと思っています。

吉川:「有吉の壁」(日本テレビ系)では、カットされたものが配信で流れているじゃないですか。ああいうのはすごいなと思いますし、同じく有吉の壁では、ロケバスの中の音だけというものも配信しているんですよ。地上波の番組を普通に作る中で、“ここ配信にできそうだな”と常に考えているんだろうなと思いますし、僕たちも考えなくてはいけないと思っています。配信って、好きな人しか見ないじゃないですか。特に好きな人に向けた特典みたいなものは、考えていきたいです。