斎藤工「今だからこそ生まれる必然性がある作品」代理出産やLGBTQを描くドラマに出演

2021/03/17 07:00 配信

ドラマ

(左上から)猪塚健太、田村健太郎、宮田早苗、井上肇、(左下から)細田善彦、斎藤工、松本若菜(C)フジテレビ

神谷晃役:斎藤工(友情出演)


――友情出演を決めた理由はなんでしょうか。

そんな偉そうな立場では全くありませんが、数年前から自分の監督作の現場では、極力“託児所”を設けています。出産・育児という希望に満ちたタイミングで、映像業界で働く女性が現場から離れてその多くの才能が現場から失われることは、業界として損失だとかねてから思っていました。海外の映像業界の体制では家族が休憩時間に訪れたりと、スタッフ、キャストのプライベートも当たり前に守られている場面を目撃してきました。日本は日本の事情がありますが、その変わるべき“変わらぬ体制”には疑問を持っていたので、小さくとも行動することで少しずつでも何か変わっていくと良いなと思っています。また、去年から児童養護施設のドキュメンタリーを作るために、とある施設に時より通っています。そんな私事と作品の内容が少し重なって、必然的な流れで出会わせてもらったと思っています。

――大賞作品である台本を読まれた感想を教えて下さい。

大型のドラマや映画は、準備、撮影、仕上げ、そして届けると数年掛かりなので、でき上がった時に時代との誤差が出ることがあると思うのです。「サロガシー」は、今作られ、今発表されるべく、数年前だと生みだされなかったドラマだと思います。本を読ませていただき、2021年の今だからこそ生まれる必然性がある作品だなと感じました。

――今回の役は女性を特別視して対立しますが、演じていていかがでしたか。

そうですね。個人的には女性蔑視と同時に、過度な女性へのケアということもなんだか逆差別という気がしていて、そのバランスがすごく難しいですよね。部分的に切りとられたら、差別的になってしまうこともあるのだと思います。

――読者の方へメッセージをお願いします。

この作品を一言でまとめることは難技ですけれど、「ヤングシナリオ大賞」はとても素晴らしいプロジェクトで、より最前線で本質的なテーマに迫っているのが今回の「サロガシー」なのだと思います。僕は血縁関係だけが家族じゃないと強く思っていて、それ以上に命が紡がれていくことに思いを馳せます。そして “進化に向かう”のが、本能的な僕らのミッション。この作品はそこに大きな選択肢を与えてくれる。誰かがその選択肢によって大きく救われることを期待したいなと思います。ただ、やはりドラマはエンターテインメントなので、主人公の環さん含めて、キャラクターたちの生きた時間というのを気軽に楽しんでいただけたら。何が残るかは、見てくださる方次第だと思うので、気軽に楽しんでいただきたいです。