吉田羊さん演じる「トキコ」の母親を演じました。回想シーンでの出演です。「トキコ」の記憶の中の母です。
正確な事柄や人柄より「トキコ」がなぜそのことが心によぎったのか、その思いを大切にしたいと考えながら演じました。人の死とは、その人を思い出さなくなること…そんな言葉を何かの本で読んだ記憶があります。家族というのはやっかいで不思議なもので、思い出さなくても、記憶から消えてしまっても生き続けているように思います。
監督の指先や手元に対する演出を受けながら、そんなことを考えていました。幸せな時間でした。高橋優さんのテーマ曲も楽しみです。
たとえば「大切な人」の顔を思い浮かべる時、いくら大切といえど四六時中仲良しでいられるわけでもないのが人の常のように思います。派手なケンカこそなくても微妙なすれ違いでイライラしたり、小競り合いになったりした経験はどなたもお持ちなのではないでしょうか。
大切な人は、ときに誰より憎たらしい存在に変貌します。と同時に、そこまで見せ合える相手とはなかなか巡り会えないようにも思います。
弱い自分、恥ずかしい経験、一番誰にも見られたくないシーン…そんな過去を“あれからもう…”と振り返り、語り合える人。いいところだけじゃない部分も見せ合える人。一度の人生の中で、一体どれくらい巡り会えるものなのでしょう。きっと多くない気がします。
そんな誰かを思い浮かべて聴いていただけたらと思い、この曲を作りました。
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