長瀬智也、“ど真ん中”を宿命づけられた少年マンガの主人公 大物たちが絶賛する役者としての“凄み”

2021/03/24 08:40 配信

芸能一般 コラム

TOKIOボーカル担当の長瀬智也

「こういう人になりたい」という人を自然に演じられる俳優


長瀬智也の凄さを端的にあらわすエピソードがある。それは映画に出演し、泣きのシーンで監督の宮藤官九郎から細かな演出を受けていた時だ。長瀬はそれを途中で遮り「それはギャグの方ですか?マジですか?」と尋ねた。「マジの方だ」と答えると見事に監督の思い描く通り演技をしたのだ。

「ふたつしかないんだ…」と宮藤は唖然としつつ感服したという(「A-Studio」2010年7月2日)。宮藤は長瀬の良さを「やっぱり思い切りがいいところ。自分で限界を決めずに向き合ってくれるのは気持ちいいですね。笑わせるところも、テクニックや小手先だけでやろうとせずに力いっぱいやってくれる」(「オリコンニュース」2021年1月16日)ことだと表現する。

磯山も「実際は細かいことを気にされながら演じられているのに、画面上ではものすごくスケールが大きい。もし、私が男子だったら“こういう人に生まれたい”という体現化。顔がいいとか、カッコいいからではなくて、『こういう人になりたい』という人を自然に演られる人」(同)と絶賛。

ナインティナインの矢部浩之が「成長の早い小6みたい」(「ぐるぐるナインティナイン」2014年9月25日、日本テレビ系)と形容するように天然エピソードも数知れない彼だが「バカだからこそ、『考えたけど、わかんねぇから、もうやるしかねぇ!』ってリミッターを解除してきた」(「週刊SPA!」2014年9月16日・23合併号)と言う。

大胆な動きと豪快な表情、ぶっきらぼうな口調でいて、そこからにじみ出る繊細さや優しさ。それはまさに少年マンガの主人公、あるいは戦隊ヒーローのレッド(=リーダー)のよう。そう、長瀬智也は“ど真ん中”にいることを宿命づけられた男なのだ。きっとヒーローはいつか僕らの前に戻ってきてくれるに違いない。

文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2021年5月号