芥川賞受賞『推し、燃ゆ』の宇佐見りんが語る「推しを頼りに生きる生き方」<世界一受けたい授業>

2021/03/26 07:00 配信

バラエティー

3月27日(土)放送の「世界一受けたい授業」に宇佐見りんが講師として登場する(C)NTV

3月27日(土)放送の「世界一受けたい授業」(夜7:00-9:54、日本テレビ系)に、第164回芥川賞を受賞した「推し、燃ゆ」の著者・宇佐見りんが登場。「芥川賞『推し、燃ゆ』の作者 宇佐見りん先生が教える『推しの世界』」と題した授業では、「推し、燃ゆ」を入り口に、宇佐見が「自分の力だけで生きることが難しいときに、推しを頼りに生きる生き方もありなのではないか?」とアドバイスを送る。また生徒には、IKKO佐藤栞里城田優浜辺美波水卜麻美アナウンサーが登場する。このたび、授業を行った宇佐見のオフィシャルインタビューが公開。タイトルの秘話や、「推し」をテーマに選んだ理由を語った。

「推し、燃ゆ」ストーリー


物語の主人公・あかりは、通っている高校でも家庭でも「普通」のことができず、常に生きづらさを感じている。唯⼀の生きがいは、ある男性をアイドルを推すこと。

「推しを推すことがあたしの生活の中心で絶対で、それだけは何 をおいても明確だった。中心っていうか、背骨かな。」

ある日、その推しがファンを殴ったことで炎上。さらに芸能界を引退すると突然発表する。生きがいである推しを失い、あかりはどう生きていくことになるのか?というストーリー。

タイトル『推し、燃ゆ』は「愛称として呼んでいたもので…」


――「推し、燃ゆ」、印象的で素敵なタイトルですね。どうやって決まったのでしょうか?

ありがとうございます。実は「推し、燃ゆ」は、タイトルが決まっていない状態で作品を書き始めて、編集部の担当者さんと愛称として呼んでいたものだったんです。それがいつの間にか正式タイトルになりました。他にも色々案出ししたんですけど、分かりやすいしやっぱりいいよねって。

そもそも推し、とは推したいメンバー「推しメン」がさらに省略された、一番のお気に入りの人を指す言葉。AKB48のブレイクにより、2010年頃から一般に広く知られるようになったといわれている。 今年、21歳の現役大学生で、自身も8年ほど前から推している俳優がいるという宇佐見にとっては、小さい頃から身近にある言葉だったに違いない。


――「推し」をテーマに選んだ理由は、何だったんでしょうか?

いまは「推しを推す」ことが周知されてきた反面、「妄想上の恋愛」と決めつけられたり、「趣味の一環なのにそんなに入れ込むなんて」と冷ややかな視線がある気がします。でも、推しを推すことは必ずしも恋愛感情とは限らない。いろんな推し方があるし、推すことを趣味以上の生きがいと感じている人たちもいます。そういう人たちが推しの炎上という事件に直面した時、どうなってしまうのか?そこに書けるものがあるなと感じました。

担当編集者も、宇佐見から物語の構想を聞かされたとき、推しというテーマだけでなく「いつか推しはいなくなるものだと分かって推している」=「生きがいとしているものを失う予感」から始まる 物語は新しいと感じたという。

およそ半年に及んだ「推し、燃ゆ」の執筆期間で、書き出しの⼀節「推しが燃えた。」は、最後まで変わることはなかったが、そこ以外、エンディングまで書き上げたものを、宇佐見はほぼすべて書き直したという。

私はプロット(物語の構成)をキッチリと決めてから書いていくタイプではないので、書いているうちにいろいろと変わっていくんです。だからテーマと書き出し以外は最後まで二転三転しました。はじめは主人公のお姉さん視点で書いてたりして、また違う話でしたね。